在京キー5局の2021年度決算では、各社ともスポット収入が前年度比2ケタ増となった。コロナ禍前の19年度比でもフジテレビを除いて増収だった。下期にかけて広告出稿量が増加した。タイム収入には東京五輪や北京冬季五輪が貢献。オンライン配信での広告収入も伸びている。
5局合計は前年度比19.0%増となった。全体の伸びを上回ったのは、TBSテレビの同比21.0%増とテレビ東京の同比28.9%増。TBSテレビは5局中、唯一2018年度比で増収となった。テレビ東京は19年度比でも11.2%増。18年度比は2.2%減と届かなかった。
スポットでは、通信関連や外食などのサービス、非アルコール飲料が伸びた。テレビ東京ではほかに、人材系や法人向けサービスの新興企業が好調をけん引した。一方、各局ともに自動車関連が減収傾向にある。
タイム収入を伸ばしたのはテレビ朝日で、20年度比13.8%増だった。同社のみ19年度比でもプラス。テレビ東京も全体の伸びを上回り、同比8.5%増だった。タイム収入の5局合計は同比5.2%増で、各社ともに東京五輪、北京冬季五輪が貢献した。
22年度は、原材料高や燃料費の高騰、円安などから、番組スポンサーやテレビCMを出稿する企業が一部慎重姿勢を見せている。「足元のセールス状況は減速してきている。4月については前年水準の計画通りにスタートを切れたものの、5月以降は物件の動きが鈍い。5月、6月のキャンペーンを中止するといった例は少なく、実施時期を先送りにしているため、今後の回復を期待している」(テレビ朝日)
タイム収入も五輪の反動減を中継によって埋まっていたスポットCM枠のセールスで補えるかがポイントだ。広告収入トップの日本テレビは、タイム収入は減少の見通し。フジテレビは全国ネットのタイムは21年度並、ローカルのタイムは2.9%増を見込む。
この4月にはオンラインでの同時配信が開始。22年度は動画広告の成長も期待される。日本テレビホールディングス(HD)は「TVer」などの動画広告が増収で、地上波放送、BS・CS以外の広告収入が前年度比60.9%増の45億7500万円に。「TELASA」や「ABEMA」なども擁するテレビ朝日HDは「インターネット事業」を新たに事業区分(セグメント)として設定。21年度実績は209億6000万円とした。22年度は10.2%増を見込む。
TBS HDは「TVer」のほか「TBS FREE」「GYAO!」での無料配信による収入が前年比60.8%増、「Paravi」や「Netflix」「Disner+」の有料配信は同比51.3%増だった。
テレビ東京HDは無料、有料配信プラットフォームの配信ビジネス収入が44.6%増の85億3500万円の拡大したほか、傘下のテレビ東京コミュニケーションズが手がけるYouTube配信やEC事業などを含むコミュニケーション事業も前年度比9.0%増の50億2000万円で着地した。イベント収入でも、「あちこちオードリー」や「ゴッドタン」など人気バラエティ番組のオンラインイベントが貢献。コロナ禍中だったが、イベント収入も67.4%増と急伸した。