ファミマ、店頭で処方せん薬預かり 薬局は年3万件出荷見込む

ファミリーマートは5月26日、店頭で処方せん薬を受け取れるサービスを東京都内の約2400店舗で開始する。凸版印刷子会社が提供している処方せん薬宅配サービスの配送先として、ファミマ店舗を選べるようになる。ファミマ利用客の利便性向上のほか、来店機会を生むことにもつながりそうだ。一方、コロナ禍でのオンライン服薬指導では、患者とのやり取りの難しさも伺える。

凸版印刷100%子会社のおかぴファーマシーシステム(東京・千代田)と提携した。会員向けに処方せん薬の宅配サービスを2020年3月から提供している。会員が受診した医療機関からFAXで処方せんを受け取り、直営薬局で調剤して配送する。薬剤師からは電話で処方せん薬の服薬指導を行う。2022年は、年間3万件以上の出荷を見込む。会員数は非公表。

自宅のほか、東京都内のファミリーマート約2400店舗を配送先として選べるようになった。店舗へ到着後、受け取りに必要なバーコードが通知される。バーコードをレジで提示すると薬を受け取れる。

コロナ禍で見えたオンライン服薬指導の難しさ

コロナ禍を契機として時限的に始まったオンライン服薬指導は、4月1日施行の薬機法の改正で恒久的に可能となった。調剤した薬剤の受け渡しについては、品質の保持のほか、患者本人が確実に受け取るための措置を講じること、配送後にも確認すること、といった通達が出ている。

しかし、コロナ禍中ではオンライン服薬指導の難しさも浮き彫りになった。厚生労働省の調べでは、2020年5月〜21年8月(21年3月を除く)のオンライン服薬指導の実施件数は、全処方せん枚数に対して0.3%〜0.6%だった。また、20年4〜9月にかけては、「オンラインでの服薬指導を希望」とした処方せんの約9割で、実際には患者が来局して薬剤を受け取っていた。

処方せんの送受信の仕方が統一されていなかったり、患者の情報が得づらいという課題もあった。厚労省は23年にも電子処方せんの運用を始め、複数の医療機関や調剤薬局の間でのデータのやり取り、管理をしやすくしたい考え。

一方、直接対面での服薬指導となった要因では、「難聴患者だった」「電話では動作や表情を確認できない」「ヘルパーの同伴が必要だった」「電話だと説明を聞いてもらえない」「連絡がつかない」など、患者の事情に対応せねばならない難しさも伺える。

コンビニ店頭での処方せん薬受け取りは、セブン-イレブンが21年5〜11月と、ことし2月〜6月末に店頭に設置したロッカーでの配送・受け取りの実証実験をしている。ファミリーマートは21年8月から、ミナカラ、西濃運輸と組んで、処方せん薬のコンビニ受け取りサービスの実験を行っていた。


 

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