選手への質問を考える時間は、わずか数秒!瞬発力が求められる、アナウンサーの過酷な現場とは?(ゲスト:宮司愛海アナウンサー)【後編】

【前回コラム】北京オリンピックの取材に持ち込んだ荷物は、スーツケース3つ分!?(ゲスト:宮司愛海アナウンサー)【前編】

今週のゲストは、先週に引き続きフジテレビアナウンサーの宮司愛海さん。今回は、当意即妙な受け答えが求められるアナウンサーの、オリンピック取材での苦労話を聞きました。

今回の登場人物紹介

左から、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、宮司愛海アナウンサー。

※本記事は2022年3月20日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

北京市内と山を“超高速鉄道”で往復!

中村:北京オリンピックの取材の話に移ると、今回日本は、過去最多の18個のメダルを獲得したわけじゃないですか?現場は、どういう感じなんでしょうか?

宮司:「この日はメダルが出るな」という日を予測してできるだけ現場に行く、という感じです。ただ、冬のオリンピックというのは大体、市内と山とに分かれるんですね。スノーボードのハーフパイプもそうですし、モーグルなどの雪がないと出来ない競技は、離れた山奥でやっているんですよ。

市内だと、建物の中でできるフィギュアスケートやスピードスケートなどですね。大体その2つの場所に分かれているんですが、山と市内の行ったり来たりが大変でした。

澤本:どれぐらい距離が離れているんですか?

宮司:市内と山を時速350キロメートルの高速鉄道がつないでいて、片道50分で行けます。

澤本:なんだそれ?!

中村:ええ~!!

宮司:車内にモニターがあって、現在の時速が出るんですよ。300キロ、320キロ、340キロ……と上がっていって。でも、350キロまではいかないんですよ。「349」でずっと止まってる(笑)

中村:いかないんだ!(笑)

宮司:そう。海外のメディアの人も、「うーん……」みたいな(笑)

中村:「今日は山に行くか!」みたいに、決めてから行くという感じなんですか?

宮司:そうですね。でも結局、往復で4時間はかかってしまうので……。高速鉄道が50分だとはいえ、駅まで行くのに1時間かかっちゃうし、山に着いてからも会場まで移動時間がかかるんです。山に泊まることもあれば、日帰りで帰ってくることもあり。結構、私は自由に様々なところに行ってましたね。

澤本:僕、ずっとテレビで観ていましたけど……あの競技を現地で観れたって事ですもんね?

宮司:はい。観ることができました。

澤本:とっても羨ましいですね。

宮司:ふふふ。何が印象に残りました?

澤本:なんだかんだ言っても、やっぱり平野歩夢くんじゃないですか?

宮司:ああ~、そうなんですね~!すごい流れでしたからね。

澤本:はいはい。 決勝の発表のときは、久々にテレビの前で飛んだりしていました。「やったやった!」と、子どもみたいに。あれは現場にいて、どうだったんですか?

宮司:それこそ、2回目の得点がなかなか伸びなかったんですよね。なので周りも「ええ~?」みたいな。

澤本:それは、日本人だけじゃなくて?

宮司:はい。さすがに平野選手にしか出来ない技を決めていたので「これを決めたのに、点が伸びないんだ?」とザワザワしていました。

その上での、3回目はものすごくプレッシャーがかかるじゃないですか?また、あの難しい「トリプルコーク1440」という技を決めるのか。みんなが固唾を呑んで見守る中で、完璧な演技でしたからね。それはそれはもう本当に、大歓声でしたね。

澤本:ほお~。でも歓声って、お客さんはあんまりいないんでしょう?

宮司:お客さんは、中国の抽選で選ばれた方々だけですね。でも、観戦に来ている中国の方々は、中国選手以外はそんなに……(笑)。まあ、どっちかというとスノーボードの現場は各国のメディア関係者が盛り上がっていたという印象です。人が多かったですね~。

現場でしか見られない「ドラマ」に、涙腺崩壊!

中村:宮司アナ的には「これが面白かったよ」という競技はありますか?

宮司:私も現場で観た中では、平野選手の金メダルが一番印象に残っていますね。あとは、スキージャンプの小林陵侑選手のノーマルヒルの金メダルですね。今回は中継に葛西紀明選手に一緒に加わっていただいたんですが、その2人は師弟関係なんですよ。小林選手が高校生の時に葛西さんがスカウトして、以来7、8年ずっと育ててきた選手だったんです。

澤本:はぁ~、そうだったんだ。

宮司:もちろん、葛西さんは現役選手として北京を目指してきたんですが、出場が叶わなくなったので「コメンテーター」と「選手」という関係で、この北京オリンピックで再会しました。小林選手がメダルを取った瞬間に葛西さんの目に涙が溢れていたのを見て、「わあ~、素敵だなぁ」と思いましたね。それはかなり印象に残ったシーンでした……。生で観ると、やっぱり迫力がありますし、師弟関係のストーリーにも、すごくジーンときました。

澤本:スケートは観ました?

宮司:観ました。スピードスケートでいうと、高木美帆選手の1000メートルの金メダルですね。会場でちょっとうるうるしちゃいました。高木選手は1500メートルで金メダル最有力と言われていたんですけど、1500では取れなくて、最後に挑んだ1000で金を取ったんですね。高木美帆選手の何がすごいのかといえば、短距離から中長距離までオールラウンドに滑れるところ。スプリンターかつマラソンランナーの選手って、普通いないじゃないですか?

澤本:はいはい。

宮司:かなり稀有な存在なんですよね。今回は、5種目出場したうちの4種目でメダルを獲得しています。そのオールラウンダーぶりを遺憾なく発揮してくれました。スピードスケートってオランダがすごく強いんですけど、オランダの選手からも一目置かれる存在でしたね。誇りに感じるし、カッコいいなぁ~って。うるうる……。

澤本:オランダの選手って、ものすごく体が大きくないですか?

宮司:大きいです。オランダの選手に限らず、ノルウェーやアメリカの選手も大きいですね。フィジカル的な差もありながら、こういう選手たちと対等に渡り合っているのはすごいな〜、と思いますね。

澤本: 現地でのインタビューは、結構できました?

宮司:はい。インタビューもしましたね。

澤本:僕らが知らない、ここだけの裏話があったら、聞きたいなと思うんですけど。

宮司:それこそ、今回銀メダルを獲ったカーリングでの出来事ですね。「ロコ・ソラーレ」の石崎琴美さんが、冬季オリンピックの最年長メダリスト記録を更新されたじゃないですか?ちょうどそこに葛西さんもいらっしゃって……。葛西さんから直々に、「レジェンドの称号は次のオリンピックまで与えませんよ~」みたいなやり取りをされているのを聞いて……これはすごい会話だなぁ~、と(笑)

澤本:カーリングは現地で観たんですか?

宮司:決勝を現場で観ていました。

澤本:あれも素晴らしかったですね〜。

宮司:カーリングの良さって、みんなの会話が聞こえるところにあると思いませんか?あれ、ピンマイクが付いてるの知っていました?

中村:みんなに聞かせるようにしてるんだ?

宮司:そうなんです。だから、公式でちゃんと音を拾うようにしているんですよ。そのおかげで、あれだけクリアに聞こえるんです。イヤじゃないのかな〜、と思って(笑)。

中村:選手たちも、ちょっと喋り方に気をつけてますもんね?昔は「そだね~!」ってよく言われていたのに、今回は言わないなぁ~、と思ってました。

宮司:そうですね~。あまりにも有名になりすぎたから(笑)。また言われちゃうから、というのもあったのかもしれないですね。

中村:カーリングって、相当な尺を取るので、パッとテレビを点けたらカーリングをやっていることが多かったですよね(笑)。で、ジーッっと観ちゃって。

宮司:そうなんですよね!

中村:素人からすると、なんとなくしか分かってないから(笑)。斜めの端っこの方に石を置いて「上手いところにつけてきましたね!」という解説を聞いて、「うん。これが上手いところ、なのかな?」みたいな(笑)

宮司:ははは、分かります!(笑)

中村:分かんないまんま観てる(笑)。


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