Googleは6月2日、YouTubeで高い効果をあげた動画広告を表彰する「YouTube Works Awards Japan 2022」の受賞作品を発表。最高賞のGrand Prixに「VOICE PROJECT 投票はあなたの声」が選出された。
【参考コラム】トップランナーと考える“私的”YouTube考
「YouTube Works Awards」は、YouTubeにおいて高い効果をあげた動画広告を表彰する広告賞で、イギリスから始まり、日本での開催は今年で2回目となる。
審査対象となるのは、2021 年に実施されたYouTube を活用したキャンペーン。「Best Innovation」「Best Sales Lift」「Best Target Reach」「Creative Effectiveness」「Force for Good」「Performance for Action」「YouTube Creator Collaboration」の7部門で審査が行われた。
最終審査会は2日間にわたって行われ、一次審査を経て各部門のファイナリストとして選出された計40作品から、部門賞を選出。その中でもっともストーリー性があり広告効果を発揮したと判定されたキャンペーンをGrand Prixとして選出した。
審査員を務めたのは、次の12名(氏名五十音順)。
・ワンメディア 代表取締役CEO 明石ガクト氏
・SHIBUYA109エンタテイメント SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣氏
・電通 Planner /Creative Director 尾上永晃氏
・LIFULL 執行役員 / Chief Creative Officer 川嵜鋼平氏
・テレビ東京 プロデューサー 工藤里紗氏
・博報堂 執行役員 嶋浩一郎氏
・YouTubeクリエイター Fischer’s リーダー シルクロード氏
・日本マクドナルド 取締役 上席執行役員CMO ズナイデン房子氏
・サイバーエージェント インターネット広告事業本部 統括 羽片一人氏
・リクルート Creative Director 萩原幸也氏
・ADKクリエイティブ・ワン Copywriter /Creative Director 三井明子氏
・資生堂 チーフクリエイティブオフィサー/資生堂クリエイティブ 代表取締役社長 山本尚美氏
受賞作品
Grand Prix/
Best Innovation(YouTube を活用した革新的な取り組みを行い、成果を上げたキャンペーン)
VOICE PROJECT 投票はあなたの声
広告主:VOICE PROJECT
ブランド:―
広告フォーマット:YouTube動画
講評:制作プロセスやタレントの位置づけ、スピード感も含めて、YouTubeならではの情報発信だった。あれほど多くの人が参加しているにもかかわらず、“身近さ”を保って表現できているところが素晴らしい。
同じ考えの人が集まっている点も、YouTubeカルチャーを体現していると言える。「広告賞」ではあるが広告主がいないというのも、「広告」の在り方を変える可能性を感じられる作品ではないか(尾上氏)。
Best Sales Lift(オンライン・オフライン問わず、売上拡大に貢献したキャンペーン)
恋スル!チャミスル
広告主:眞露
広告会社:ジェイアール東日本企画
制作会社:xpd、AOI Pro.
ブランド:チャミスル
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告
講評:制作者が韓国ドラマを徹底的に研究し、ストーリーだけでなく、コピーやアングルまで魅力的に表現。「あるある」を陳腐化させずに愛をもってクリエイティブジャンプさせ、SNS上のクチコミにつながる仕組みが丁寧につくられていた(山本氏)。
Best Target Reach(ブランドの顧客へ効率的かつ効果的にリーチし、マーケティング目的を達成したキャンペーン)
モンハン保険
広告主:東京海上⽇動⽕災保険
広告会社:ワンメディア
制作会社・関連会社:カプコン、シオン
ブランド:東京海上⽇動⽕災保険
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告
講評:保険という難しいテーマに対し、ゲームならではの表現、社員の起用など、新しいアプローチでターゲットに刺さるコンテンツとなり、保険会社のイメージを変えることにもつながった。ターゲティングが明快だったことが、この作品の素晴らしいところだと思う(ズナイデン氏)。
Creative Effectiveness(優れたアイデアで、大きくビジネスに貢献したクリエイティブ)
カロリーメイトWeb movie『夏がはじまる。』
広告主:大塚製薬
広告会社:博報堂
制作会社:AOI Pro.
ブランド:カロリーメイト
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告
講評:ターゲットであるコロナ禍の中高生のインサイトを丁寧に捉えて、それを表現につなげている。部活生をずっと応援している大塚製薬だからこそできたこと。長期のブランド戦略を、毎年進化させ続けていることも素晴らしい(三井氏)。
Force for Good(自社のブランドパーパスを表現し、社会的意義のあるコミュニケーションを展開したキャンペーン)
赤十字「不安が見えなくなるメガネ」9月防災減災キャンペーン
広告主:日本赤十字社
広告会社:電通、電通デジタル
制作会社:xpd
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告
講評:日本赤十字社だからこそ扱うことができるテーマ。国民の防災・減災に誠実に向き合い、観た人の意識を変えるものだった(川嵜氏)。
Performance for Action(視聴後にクリックやサイト訪問などの行動を促すことに成功したキャンペーン)
【ホットペッパービューティー】〜ナダルとオカンの押し問答~
広告主:リクルート
広告会社:xpd
ブランド:ホットペッパービューティー
広告フォーマット:TrueView インストリーム広告、TrueView リーチ広告、動画リーチキャンペーン
講評:女性向けというイメージが強いホットペッパービューティーだが、本作を通して”男性も利用できる”という気づきを与えることができた。また、サービスの画面もしっかりと映っており、成果に繋がったことが良かった(萩原氏)。
YouTube Creator Collaboration(YouTube クリエイターとのコラボレーションを通じて高い効果を獲得したキャンペーン)
夏はカレーメシ カレーメシ×ホロライブ コラボ動画
広告主:日清食品
広告会社:博報堂
制作会社:Headlight
ブランド:カレーメシ
広告フォーマット:YouTube動画
講評:本作は、YouTube の主役である視聴者たちが応援してきた『ホロライブ』のクリエイターたちが、日清食品とのコラボで地上波のCMに進出。また、視聴者自身がメディアとなり動画が広がっていった。協創によって、単独ではなしえない偉業にたどり着いたものが、うまくいったコラボレーションだと定義できると思う(明石氏)。