博報堂DYホールディングス(HD)は、3DCGで制作した分身=アバターを制作するサービスの開発に乗り出す。5月31日に、アバター制作のVRC(東京・八王子)との資本業務提携を発表した。取得価額や比率については「非開示」とした。VRCには小学館も同時に出資しており、3社での取り組みも視野に入れる。
アバターは、「メタバース」やゲームなどデジタル空間内における参加者の「分身」として機能する。博報堂DYHDは、作成したひとつのアバターを、複数のサービスで使えるようにする「アバターサービスプラットフォーム」の実現を目指す。当座、3年後をめどとするが、「アバターを活用する有望なプラットフォーマーが登場したタイミングに合わせて、開設を目指したい」(博報堂DYHD)とした。それぞれのサービスでの行動データなども取得する。
VRCは、実際の人体をスキャンして、実物に近いアバターを生成する技術や、アバターを暗号化して保管する特許などを持つのが強みという。博報堂DYHDは2021年、VRCと3Dアバター技術利活用の共同研究契約を結んでいるほか、事業子会社の博報堂が同社とアバターを用いた試着サービスの試作品を開発している。
VRCへの出資は新株予約権の引き受けによるもの。発行個数や潜在株式数、取得価額などは「非公表」とした。
試着サービスは「じぶんランウェイ」と命名。異なる洋服を着た参加者のアバターが6体、ファッションショーのモデルのように歩いていく。ことし2月にも体験会を開くなどしていた。これまでにアパレルやエンターテインメント企業の社長や役員など約100人が体験しており、好感触を得ていた。従来型の試着シミュレーションより楽しいといった情緒面のほか、複数を一度に、全方位から確認できるといった機能面の評価もあった。
博報堂DYグループは、三越伊勢丹が提供する仮想空間「レブワールズ(REV WORLDS)」での広告掲出の実証実験や、多人数参加型の仮想空間「ロブロックス」の広告枠の販売を始めている。