事実に基づき約10種のコピーを制作
政府のDX推進の一環で「宅地建物取引業法」が5月18日に改正され、不動産取引における重要事項説明書類と契約書類の電子化が解禁となった。このタイミングで大型プロモーションに踏み切ったのが、2013年設立のGA technologiesだ。同社は不動産取引の世界にAIの技術を持ち込み、オンライン上の取引が可能なマーケットプレイス「RENOSY」を運営している。
同社にとって、今回の法改正は優位性あるポジションを確立する最大のチャンス。2021年末ごろから、2022年5月を山場とした広告展開を検討していった。「不動産業界内の話題を、世の中全体の話題に変えることが狙いです。そこでオンライン完結の不動産取引を新たに『ネット不動産』と定義し、発信することにしました」と話すのは、執行役員 CCOの川村佳央氏だ。
同社には10人超のクリエイターが所属しており、今回は社内からアートディレクター 山本真理子氏、デザイナー 久保田芳枝氏、コピーライター 近藤英恵氏も制作に参加。さらに外部からクリエイティブディレクター/プランナーとして岡部将彦氏(Que)も参画し企画を進めていった。
予算には限りがあるため、今回は東京都内の主要駅でのOOH連貼り、タクシー広告などを中心に実施した。グラフィックでは「営業よりエンジニアが多い。こんな不動産会社、きっと他にない。」「不動産は高い買い物だ。だからこそ信頼できる業界であるべきだ。」など、約10種のコピーを採用している。
いずれも同社に対し、岡部氏が感じた驚きや面白さをそのままコピーにした。「たとえば『営業よりエンジニアが多い』という事実は社内にいたら当たり前かもしれない。でも第三者が客観的に見たら驚きがあるし、『ネット不動産といえばRENOSY』と認知してもらう強い根拠になると思ったんです」(岡部氏)。
「旧勢力vs新興勢力」の構図をCMに
さらに岡部氏は「ネット不動産、解禁」と題した3本のCM企画を提案。業界の重鎮たちが率いる「旧勢力」と、主役の染谷将太が率いる「新興勢力」の対立が描かれる。
「不動産取引に不満があるらしいな。違ったかね?」「青いことを言うねぇ。そう簡単に変わりますかねぇ?」と嫌味たっぷりに投げかける重鎮に、「変わります。いや変わらなくちゃいけないんです!」と強い眼差しで切り返す染谷さん。その舞台は、ゴシックな建物の大階段、高級クラブ、役員のための社用車が乗り付けるビルの車止め……と、作家・池井戸潤氏原作のドラマで一度は見たことがありそうなシーンが続く。
「『正直不動産』というNHKのドラマもあるように、旧来の不動産業界はどこか正直ではない、信頼できない部分があるのではという世間のイメージがある。その中で“何か変えてくれそう”“この会社を応援したい”と思ってもらえるようなコンテクストが必要だと考え生まれたのが、新旧が対立するストーリー。ベタな展開なのですが、演出の神谷(佳成)さんとセリフを何度も書き換えながら進めました」(岡部氏)。
効果検証はこれからだが、ブランド認知度の定点調査や指名検索数などのスコアも上昇しつつある。「広告を見ての問い合わせも増え、KPIの達成だけでなく社内のモチベーションアップにもつながりました。今後もCMの続編などを検討しつつ、いつかこの設定を活かしたドラマなども制作できたら面白いですね」(川村氏)。
スタッフリスト
- 共通
- 企画制作
- 東北新社
- CD
- 川村佳央
- C
- 岡部将彦、近藤英恵
- AD
- 山本真理子
- Pr
- 戸田和也、海老澤伸
- PM
- 上領玲央
- ST
- 前田雅也
- HM
- 光野ひとみ
- PRプランナー
- 早田菜美、増田剛士
- 出演
- 染谷将太
- CM
- 企画制作
- Que
- CD+企画
- 岡部将彦
- 演出
- 神谷佳成
- 撮影
- 儀間眞悟
- 照明
- 鳥羽宏文
- 美術
- 秋葉悦子
- 編集
- 岡本博一、小野秀一
- 音楽
- 坂口雄一
- MIX+MA
- 太斉唯夫
- ST
- 柚木一樹
- HM
- 古久保英人
- CRD
- 嶋田郁良
- CAS
- 垰由紀子、元川益暢、中西竜太
- NA
- 屋良有作
- GR
- 企画制作
- GA technologies
- D
- 久保田芳枝
- レタッチ
- 福井修
- 撮影
- YOSHIMURA
- 製版+印刷
- 富士フイルムイメージングシステムズ
- スタジオ
- イメージスタジオ109
- 掲出
- JR新宿・東京・品川・渋谷、東京メトロ銀座・表参道・上野・日本橋・新橋・赤坂見附・渋谷・大手町・東京・新宿・茅場町・六本木・六本木一丁目、大阪メトロ西梅田(5/16~5/22)