カンヌライオンズ最終日、「SUPER. HUMAN.」とAPPLE「Escape from the Office」がフィルム部門グランプリに

カンヌライオンズ5日目、最終日となる6月24日は、Film Lions、Glass: The Lion for Change、Sustainable Development Goals Lions、Titanium Lionsの各部門の受賞作品が発表された。

2,028のエントリーがあったFilm Lionsには、2つの作品が選ばれた。一つは、東京2020パラリンピック競技大会開催時に制作されたCHANNEL 4「SUPER. HUMAN.」(4CREATIVE, London/SOMESUCH London)。もう一つは、APPLEの長尺動画「ESCAPE FROM THE OFFICE」(APPLE, Sunnyvale / SMUGGLER, Central LAWORK EDITORIAL Los Angeles)。

また、牛乳石鹸共進社「穴があったら」篇(電通関西支社/キャンディーフィルム)がFilm Lionsでブロンズを受賞した。 

性差別や偏見を打ち破るクリエイティブを讃える部門であるGlass: The Lion for Changeは、Creative Data Lionsでグランプリを受賞したWECAPITAL「DATA TIENDA」(DDB MEXICO, Mexico City / DDB MEXICO, Ciudad De México)に贈られた。

Film Lions

GRANDPRIX
CHANNEL 4「SUPER. HUMAN.」(4CREATIVE, London/SOMESUCH London)

イギリスの公共テレビ局CHANNEL 4のオリンピックキャンペーン「SUPER. HUMAN.」のシリーズで、東京2020パラリンピック開催時に制作されたもの。本作では「To be a Paralympian there’s got to be something wrong with you.」というコピーを掲げ、アスリートをステレオタイプな「スーパー」として提示するのではなく、彼らの人間的な側面である「スーパー」を示そうと考えたという。彼らアスリートを際立たせているのは障害ではなく、世界の舞台で競い、もう一つ上に進むための執着、競争、犠牲という非常に人間的な資質であることをメッセージする。

 


APPLE「ESCAPE FROM THE OFFICE」(APPLE, Sunnyvale / SMUGGLER, Central LAWORK EDITORIAL Los Angeles)

中小企業向けのデバイス管理システム「Business Essentials」のプロモーション動画で、4人のチーム「The Underdogs」(負け犬)シリーズ第3弾。彼らが会社をやめて、Apple製品を活用し、連携しながら新規事業を立ち上げる様子がユーモラスに描かれている。映像の最後には、映像内で使用されたApple製品および機能のリストが掲載されている。

 


※日本の受賞作品
BRONZE
牛乳石鹸共進社「穴があったら」篇(電通関西支社/キャンディーフィルム)

 

Glass: The Lion for Change

WECAPITAL「DATA TIENDA」(DDB MEXICO, Mexico City / DDB MEXICO, Ciudad De México)

メキシコの女性の大多数(83%)は信用履歴がないため、ローンの申し込みを通じて起業したり、経済的自立を得る機会がない。女性たちはクレジットカードなどを持っていないが、地元の店では非公式の信用履歴がある。女性起業家らを支援するWeCapitalは、地元の店での支払い行動を分析し、情報を収集するべく、プラットフォームとなるDataTiendaを立ち上げ、女性たちの信用履歴を作成。それによって、23%の女性が起業などにあたってマイクロクレジットを受け取ることができた。

 

Sustainable Development Goals Lions

P&G Whisper/Whisper Sanitary Pads「The Missing Chapter」(Leo Burnet,Mumbai)

インドでは生理のタブーと偏見は今日でも続いており、若い女の子の生理と生理用品についての知識と教育が不足している。インドの思春期の少女の71%は、始まるまで月経が起こることを知らず、始まるとそれがひとつのきっかけとなり、学校を中退してしまう人も少なくない。フェミニンケアブランドWhisperは、#KeepGirlsInSchoolに取り組むことを目的にムービー「The Missing Chapter」を制作。生理教育の欠如がインド社会にどのような影響をもたらしているかを伝えている。また、Whisperはブランドアンバサダーであるインドの女優 ブーミー・ペードネカーをフィーチャーし、製品のパッケージに生理の重要性と生理用品の使い方を記した限定版カバーを付けて、理解促進に努めた。

 

Titanium Lions

KIYAN PRINCE FOUNDATION/EA SPORTS, /QPR, MATCH ATTAX「Long Live The Prince」(Engine,London/ FRAMESTORE London/FRAMESTORE London / NINETEENTWENTY London / STRING AND TINS London)

英国 クイーンズ・パーク・レンジャーズのU16サッカーチームに所属していた15歳のKIYANは、2006年に学校で友人のケンカを止めようとして刺殺され、帰らぬ人となった。生きていれば30歳、おそらく同チームで活躍する選手になったであろうKIYAN。そんな彼の才能と可能性に敬意を表し、「FIFA21 」のゲーム内にクイーンズ・パーク・レンジャーズの選手として登場させた。「FIFA21」開発者は、彼の家族、友人、元チームメイト、コーチらと協力。 高度なAIテクノロジーと写真のようにリアルなイラストを組み合わせて、10代のKIYANの写真から30歳のプロサッカー選手を再現した。また、彼に最も近い人々と話したことに基づいて、ピッチ上での特徴やプレーのスタイルを開発し、スーパースターとしてのKIYANをつくりあげた。また、アディダスのサポートを経て、彼の姿はアドボードにも登場。こうした収益は、父親のマーク・プリンスOBE博士による若者をサポートする財団「Kiyan Prince Foundation」に寄付された。

 

訂正履歴:記事中のキャンディーフィルムの社名に誤りがあり、訂正いたしました。(2022年6月29日)


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