動画撮影も含め効率的な制作が可能に
2022 年5 月、東京・北参道に撮影スタジオ「TOGU STUDIO」がオープンした。約210 平米と広々とした撮影スペースを確保し、サブスタジオを含めて最大で4 レーンの撮影が同時並行で可能だ。人物撮影はもちろん物撮りのほか、動画撮影などにも対応している。
立ち上げたのは、クリエイティブディレクター 大輪恭平さんが率いるクリエイティブカンパニー「むすび」と、アマナグループ出身のフォトグラファー 小暮和音さんが代表を務める広告写真の制作会社「コントラスト」の2 社。2 人は前職時代から面識があり、それぞれ独立後も仕事をともにしてきた間柄だ。
スタジオには2 人の観点から細部までこだわりが施されている。ヘアメイクやスタイリストの意見を採り入れたメイクルームをはじめ、物撮りやイメージカットなど多様な撮影シーンに対応できるようなインテリア、シズルカットや簡単な料理の撮影にも活用できるキッチンなども完備した。また、グラフィックと映像を同時に撮影可能とするスタジオ内の配線レイアウトや電源設備など、クリエイティビティを最大限に発揮できる環境をつくり上げている。
自社スタジオを持つことで、特に事前のリハーサルや機材設置のシミュレーションなど柔軟に対応できる点は大きい。「自社スタジオなら前後の時間を気にせずクオリティを追求できます」と大輪さん。小暮さんも、「前日にセッティングして当日は撮影に集中できる。撮影したその場でデザイナーに確認してもらうこともできるので、イメージを統一しやすいですね」と話す。
スタジオは約210 平米と広さも十分で、並行して複数の撮影を行えるというメリットもある。「たとえば化粧品メーカーの仕事で、人物撮影と商品の物撮り、SNS で使用するリール動画などをセットで依頼されることも増えています。通常は3 日かかるところ、TOGU STUDIO で撮影すれば1 日で終わることも。コストも時間も圧縮でき、効率的に進められると好評です」(大輪さん)。
クリエイターがフラットに交わる場所へ
「むすび」と「コントラスト」の両社がTOGU STUDIO を拠点に協業することで、新たなシナジーも生まれている。「コントラストは広告写真が専門の制作会社ですが、撮影に加えて企画ごとお願いしたいというオファーが来ることも。その際に大輪さんと連携して、『むすび』のメンバーとチームを組んだり、スタッフを紹介してもらったりと柔軟に対応できます」(小暮さん)。
現在、「むすび」にはプランナーやコピーライター、アートディレクター、Web デザイナー、Web ディレクターといったあらゆる領域のクリエイターが在籍している。以前はグラフィックやパッケージデザイン、Web サイトの案件が多かったが、2022 年3月には女性向け商材の動画制作に強みを持つプロデューサーが入社。映像制作やSNS 用の動画制作などにも対応できるようになった。
5 月のスタジオ開設時には、クリエイターや取引先へのお披露目の場となるレセプションを開催。約300 人の関係者が来訪した。双方それぞれのクライアントが大勢来訪することで、「スチール撮影だけでなくWeb サイトや動画撮影も頼みたい」「広告の仕事とあわせてカタログやEC サイト用の物撮りも依頼したい」といった声もあり、今後も広がりが生まれていきそうだ。
大輪さんはスタジオの今後について、「クリエイターがフラットに交わり、新たなプロジェクトが生まれる場所」を目指している。「今の時代は利己的な仕事の進め方ではなく、周囲と調和しながらコラボレーションをして、スキルやリソースをシェアしてこそ優れたクリエイティブが生まれる。案件ごとにベストなチームを組むべきだし、社内のデザイナーに限らず外部のクリエイターと組む機会をより広げていけたら。ここを拠点に小暮さんとタッグを組むことができる強みを発信し、新たな企画の提案も進めていきたいです」(大輪さん)。
ちなみにTOGU STUDIO の「TOGU」は、「研ぐ」に由来するそう。感性を研ぎ澄ます、切磋琢磨するという意味が込められている。「クリエイター同士が自然と集まり、切磋琢磨できる“たまり場”のような拠点になったら嬉しいですね」と大輪さん。「人と人をつなぐようなクリエイティブカンパニーでありたい」という思いから名付けられた、「むすび」という社名を体現するような場所となりつつある。
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株式会社むすび
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