7 月 30 日から 、富山県・富山県美術館のTAD ギャラリーにて「YUUGU ~佐藤卓の遊具と藤井保の写真展~」が始まる。
富山県美術館の大きな特徴の一つが、屋上にある庭園「オノマトペの屋上」。ここにはグラフィック デザイナー・佐藤卓氏がデザインした「つるつる」や「ぐるぐる」といったオノマトペ(擬音語・擬態語などの 総称)の名前が付けられた遊具が設置されている。
2021年に、佐藤氏は次世代のメディア遊具「OFURO」をデザイン。また、佐藤氏がデザインした遊具を写真家・藤井保氏が撮り下ろし、佐々木寿信氏の詩を添えた写真集『YUUGU2』(AD:佐藤卓氏)も同年に発売された。これを機に、富山県美術館の開館5周年に合わせ、本展は開催される。
「OFURO」は一見、生活の中にもある「お風呂」のよう。中をのぞき込むと、そこに はお湯ではなく、図形や文字を使った色とりどりの映像や、心地よい音が沸いてくる。子どもたちは外から眺めたり、浴槽に溢れる映像の中に飛び込んだりして、身体でメディアと触れ合う、新しい遊びを体験することができる。
佐藤氏は、「OFURO」について「その名の通りお風呂がテーマの遊具。子どもにとってお風呂は、ただ身体を洗うだけの場ではない。そこはほとんど遊び場でもある。私も小さな頃、よく模型の船を浮かべて遊んだ。そんなお風呂のような遊具をつくってみたいと思った。デジタルデバイスを使った新しい遊具をつくりたいという JAKUETS 徳本社長の想いも重なり、湯船の底にモニターを設置し、映像の上で子ども達が遊べるようにした」と説明する。この「OFURO」が広く一般に公開されるのは、本展が初めてとなる。
また本展では、写真集『YUUGU2』から藤井氏が撮影した約 20 点の遊具の写真を展示紹介する。今回の展覧会に、藤井氏は次のようにコメントを寄せている。
「富山県美術館の屋上に設置された遊具達をみた時、やはり不思議な生命体の匂いがした。 この遊具達は夜は地を離れ空を飛んでいる夜行性の生物に違いないと直感した。撮影は昼 間の静止した姿と、夜の動き出した直後の姿、そして雪の富山の眠りから目覚める瞬間にも 立ち会う事が出来た。卓さんのデザインには、いつも妖しさと愛らしさが同居している。堂々としているのに威圧感がない。妖しくて色気があるのに品がある。そして想像力を刺激される」
「遊具を考えるということは、大人が忘れてしまった記憶を思い出させてくれる、貴重な体験でもあるのです」と、佐藤氏。本展では「オノマトペの屋上」での屋上遊具の鑑賞とともに、「OFURO」の体験を通して、佐藤氏のデザイン・ワールドを堪能することができるだろう。
YUUGU ~佐藤卓の遊具と藤井保の写真展~
会期: 7 月 30 日(土曜日)~8 月 30 日(火曜日)
休館日:水曜日
開館時間:9 時 30 分~18 時 00 分(入館は 17 時 30 分まで)
会場:富山県美術館 1 階 TAD ギャラリー
入場無料
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クリエイティブライブラリー 佐藤卓編