※月刊『宣伝会議』2022年9月号(8月1日発売)では「マルチデバイス化にどう対応する?マーケティングにおける動画活用」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
新コンテンツ制作より前に考えたいこと
マーケティングコミュニケーション手段のひとつとして動画を活用する企業は増えている。
教育や出版事業を展開する学研でも、難関大学志望者向けのオンライン授業サービス「学研プライムゼミ」の新規顧客獲得を目的にYouTubeチャンネルを2017年に開設。実際の授業を3分前後でまとめた動画を配信している。
施策に携わる福田氏と永野氏は、「対象顧客が明確なサービスであるが、ターゲット層にどのような動画が響くのか、動画制作の方向性で課題を感じていた」という。
「開設当初から動画は投稿し続けていたのですが、ただコンテンツを格納する“動画倉庫”のような使い方になってしまっていたのも事実です」(福田氏)。
このような課題を解決するべく、本格的にアクションをとるきっかけになったのは「ある一定期間内にYouTubeで売上に貢献すること」が社内のKPIとして提示されたことだったと永野氏。そこで、短期間で成果が出るような施策はないかと相談したのがエビリーだった。「提案いただいたのが『サムネイルとタイトル、概要欄の整理』です。1カ月足らずでこれまで投稿した動画を一気に整えました」(永野氏)。
「学研プライムゼミ」にはこれまで培った良質な動画があり、まずはそれらを生かす形で提案したとエビリーの尾形氏は続ける。
「エビリーには『kamui tracker (カムイトラッカー)』というYouTubeデータ分析ツールがあります。YouTubeに投稿されている国内3900万本以上の動画のデータが蓄積されているため、どんなサムネイルが、どの年代のユーザーにクリックされているのかも調べることが可能。データに基づいて仮説設計ができます。今回は高校生に響くような言葉を使って整理し、流入を図りました」(尾形氏)。
過去動画が財産になることには驚いたという福田氏と永野氏。「私たちだけでは新動画を投稿することばかり考えてしまっていました。過去動画の整理が成果につながるとは灯台下暗し。驚きでしたね」(永野氏)
このサムネイルとタイトル、概要欄の整理を行った結果、YouTube上でのインプレッションが約6倍、クリック率が約3倍、視聴回数が約16倍増加した動画も。さらにはYouTube経由でのコンバージョンも発生し、流入経路のひとつとして成長している。また、YouTube経由で購入した顧客の分析を行ってみると、既存顧客が多いこともわかったと福田氏。それを受け、今後は改めて新規獲得のための手立てもエビリーと共に考えていきたいという。
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