※本記事は、2022年8月1日発売の『販促会議』2022年9月号の転載記事です。
アイランドシックス
中島美紗氏
デジタルサイネージは1970年代にアメリカで初めて使われたと言われており、海外では特に活用が進んでいます。ここでは、デジタルサイネージを発展的に活用している企業事例について2つ紹介します。
店舗演出で活用する「worten」
ポルトガルやスペインを中心に230店舗以上の家電量販店を展開する「worten」。ポルトガルのwortenでは店内にある1000画面ほどのディスプレイ全てをデジタルサイネージで一括管理しています。特徴的なのはその配信面です。店内に展示されているテレビはもちろんのこと、PCやスマートフォン、タブレットへもサイネージコンテンツを配信しており、お客さまが製品を試すまでは画面がサイネージとして機能しています。
テレビ、PC、スマートフォン、タブレットのサイネージコンテンツは金額や比較表などを表示し、お客さまにわかりやすく製品情報を伝えています。さらにこれらのスペックや金額はデータベースと連携しており、1日2回の価格更新や商品入れ替え時の更新も非常に容易になっています。
また、店舗の入り口付近のゲートや壁にディスプレイが埋め込まれており、季節やキャンペーンに応じてコンテンツを変えることで、物理的な模様替えをせずとも、店舗の雰囲気を大きく変えることができます。
これにより、従業員の無駄な業務が減り、効率よく仕事ができるようになり、顧客体験の向上にもつながっています。
環境に配慮しサイネージを活用する「EDEKA」
次にドイツ最大手のスーパーマーケットである「EDEKA」です。日本の小売店舗と同様に、商品の変更、金額の変更、セールやイベントがあるとその度に紙のラベルの変更が行われていました。これが週に何度も行われる場合もあり、作業効率と環境両方によくありません。
そこで、「EDEKA」では300を超えるワインのラベルを紙のものからシェルフディスプレイに取り換えるところからの業務改革をスタートしました。このシェルフディスプレイは現在日本国内でも店舗DXの一環として非常に注目されています。
EDEKAではシェルフディスプレイの活用による業務効率化だけでなく、バーコードリーダーとデジタルサイネージを連携させることにより、お客さまがワインのバーコードをサイネージ横に設置されたバーコードリーダーにかざすことで、より詳細な情報を得られるようにし、顧客体験の向上にもつなげています。コロナ禍で店頭のテイスティングができない、専門知識がある販売員がいないと詳細な情報が得られないといった課題も、デジタルサイネージを活用することで同時に解決させています。
このように、デジタルサイネージは表示させるコンテンツやスキームにより、単なるプロモーションツールの枠に収まらず、店舗DXの先鋒になると考えています。日本でもこの枠組みをそのまま活用することが可能です。ぜひ皆さんもデジタルサイネージの発展的な活用に挑戦してもらえればと思います。