※本記事は、2022年8月1日発売の『宣伝会議』2022年9月号の転載記事です。
エビリー
kamui tracker事業部
アドバタイジング&ライセンス部 プランニンググループマネージャー
尾形龍哉氏
銀行の法人営業を経て独立。水産関係のECサイトを立ち上げSNSマーケティングを担当。水産に特化したニッチなYouTubeチャンネルを運営し約半年で4,000名の登録者を獲得。ECサイト運営初月で1,000千円の売上につなげた。現在、エビリーにて「kamui tracker」を活用した企業YouTubeチャンネルのコンサルティングやアナリストとして活動。
Q. 広告主の動画活用について、特筆すべき潮流はありますか?
A. プロモーションを目的に、企業が自社アカウントで独自に動画を配信することが増えている。
YouTuberに自社の商品やサービスをそのチャンネルで紹介してもらう「YouTuberタイアップ」の手法を活用する企業は、美容、食品、家電などジャンル問わず2016年から2021年の5年間で6倍近くに増えています。
また、コラボしたYouTuberのチャンネルでの配信だけでなく、企業自身が公式チャンネルを開設し、自ら動画を配信する機会も増えています。
こうした企業側の動きに対して、国内の企業チャンネルの視聴回数は、2018年から2021年で247億回から541億回と2倍以上に増加しています。
企業の公式チャンネル活用の目的は多様化しており、商品・サービスの認知拡大などのマーケティング施策だけでなく、採用を目的とする企業ブランディングなどにも使われるようになっています。
Q. 広告主企業が抱える、動画活用の際の課題はなんでしょうか?
A. チャンネルを立ち上げたはよいけれど、思いのほか再生数が伸びない。
YouTubeチャンネルを立ち上げたはよいものの、動画が無秩序にアップロードされるだけの「倉庫」状態になっている、運用はしているが思ったように再生数が伸びない、などの課題を抱えている企業が多いのが現状です。
このような企業でも、時間をかけずに改善できるポイントがあります。それは「まずは動画が見られる工夫をする」ことです。具体的には、すでにチャンネルに上げられている動画のタイトル・サムネイル・概要欄を整理するというもの。他社や人気のYouTuberの伸びている動画やチャンネルを分析し、トレンドにあったタイトルの付け方、サムネイルのつくり方、概要欄に使用するキーワードを選定していくのです。これだけでもかなり効果が改善します。
Q. 顧客との接点創出のために、動画活用時に工夫すべきことは?
A. 「何のために」「誰に」「何を」を徹底して整理することが肝要。
継続的にチャンネルの登録者数や再生数を伸ばしていくためには、運用方針の再設計とそれに沿った運用が必要となります。運用方針の再設計では、目的×ターゲット×コンセプトの3項目を整えます。企業がチャンネル運用を行う主な目的は「商品やサービスの購買促進や認知拡大」「採用促進」「広告収益」の3つが代表的です。目的を明確にしたら、視聴者像(ターゲット)を具体的にし、視聴者がどんな情報を得たいと感じているのかを考えて、適切なメッセージ(コンセプト)を用意していきます。
目的やターゲット、コンセプトが複数存在する場合は、ひとつのチャンネルですべて実現しようとせずに、複数のチャンネルを開設してそれぞれで運用することも検討すべきです。