デビューのきっかけは「山の手線の車内」
中村:岸井さんは、デビューのきっかけが「山手線でスカウト」って書いてあるんですけど……。これは、電車の中?
岸井:電車の中です。
中村:ええ?変質者じゃないの?(笑)
権八:それ、おかしいだろ(笑)
岸井:「これが東京かぁ~!」と思いました。名刺を渡されて「これをインターネットで検索したら、絶対に出てくるから。連絡ください」と言われて……。
中村:怪しい者じゃありませんよ、と。
岸井:はい。で、家に帰って母親に相談をして。インターネットで調べたらバーっと出てきましたね。藤原江里奈さんという方でした。でも、心配なので母親と一緒に東京でお話を聞いて……。それで、写真を撮ってもらっているうちに「こういうのに興味があるなら、いい事務所があるよ」と言われたんです。そこからタクシーで向かったのが、今の事務所なんですよ。
一同:ええ~!
岸井:その日のうちに。人生、何があるか分からないですね~!
中村:すごいですね……。
権八:ずっとそういうことを、してみたかったんですか?
岸井:元々、ミュージカルが大好きで、映画も好きだったんですけど。自分がそうなるという選択肢はなかったので、「あ、そっち側もアリなんだ!」という気づきはありましたね。
澤本:でも、高1から卒業後の進路を他の学校に求めていたのはすごいですね。
中村:何でそんなに馴染めなかったんでしょうね?こうやって話をしていても、友だちが多くなりそうなのに。「遊びに行こう」ってなったら、「公式?非公式?」って聞いたんじゃないですか?(笑)
岸井:これには、実ははっきりとした理由があって。「スポーツ専攻」の学校に行っちゃったんですよ。
一同:ああ~。
岸井:私、小1から中3まで器械体操をやっていたんですけど、高校生でやるつもりはなかったんですね。もう「やりきった感」があったので。でも、スポーツ校に入ったので、全員がスポーツをしているんですよ。入学初日に「何部、何部?!」みたいな話になるじゃないですか?周りが「私バレー部」「バスケ部」と言っている中で「え、どうしようかな。分かんない……」って言ったら、「え?じゃあ、なんでこの学校に来たの?」って、クラスの子に言われたんです。もう「ガビーン!」ってなって。「間違えた~!!」と。
一同:あはははは!
岸井:うまくいったとしても、目指すところは違うんだろうな、とは思っていました。「3年後にどうしていたいのかな、私は?」と思って。切り替えました。
澤本:すごいね。じゃあ、身体能力が高いんだね。
岸井:そうですね。だからボクシングも「意識するのは、どこの筋肉だよ」って言われたほうが分かりやすいですね。
中村:武井壮 みたいですね。
岸井:あはははは。
実は、バック転もできる岸井さん
権八:器械体操というのは「バック転」的なこと?できちゃうの?
岸井:はい、そうです。
中村:「バック転」できるの、岸井さん?
権八:ちょっと待って(笑)
岸井:はい。今は分からないですけど、以前だったら。今でも「前宙(前方宙返り)」とかなら……。
一同:あはははは!
権八:ヤバ!すごい身体能力じゃん(笑)「そういう方」なんだ?
岸井:そうなんです、実は。できちゃうんです。
澤本:ええ~、今まで全然知らなかった。
権八:僕も知らなかった。
澤本:表面で見ている人と、中身はまったく違うんだね。
権八:いや、だからね。私たちは「世界の片面しか見えていない」んですよ。
澤本:うん。見えていないね。
中村:岸井ゆきのの、片面しか見えていない(笑)
権八:ホント、そうだよね。
岸井:そうですね。私のことを「動ける」って思っている人は、あまりいないみたいですね。
一同:(笑)。
土曜ドラマ『パンドラの果実』
中村:岸井ゆきのさん出演の、日テレ系土曜ドラマ『パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~』こちらは、どんな作品になっているのでしょう?
岸井:これは「近未来SF 科学捜査ドラマ」なんです。台本をいただいて最初に読んだ時、脳内のチップだったり、「AIには感情があるのか?」といった話が多かったので「こういう話って、どれぐらい近くにあるんだろう?」と調べてみたんですね。そうしたら、チップなどは既に入れている国があるんですよ、スウェーデンとか。
権八:なにぃ~!
中村:へえ~!
岸井: それぐらい、実はSFだと思っていたものがすごく近くにあるんです。もしかしたら、初見で見た方は「いや、こんなことないよ!」って思うようなSF感のあるドラマかもしれないですけど、実はすぐそこまで来ている近未来のサイエンス・ミステリーです。すごく面白くて、前衛的な作品になっていると思います。
中村:これまた、岸井ゆきのさんの「ほわーん」とコーヒーを飲みながら、古着を愛して……みたいな感じとは全然違いますけど(笑)。どんな役柄なんですか?
岸井:私は「天才科学者」の役です。
中村:あら!!
一同:あはははは!
岸井:天才科学者です、私は。なんと(笑)
権八:なんと!めっちゃ、ドヤ顔してますけど(笑)
岸井:元天才科学者役で、いろんな研究をして成果を挙げたものの、3年前に科学の「ある闇」を知ってしまって科学者をやめたんですね。そんな彼女の元に、ディーン・フジオカさん演じる警視庁の小比類巻さんが訪ねてくるんですよ。「こういう科学犯罪だったら、この天才科学者がいいんじゃないか?」って。
彼女は、最初は「興味ない」「知らない」と言って彼を突き放すんですけど、ついには「そんなに科学を信じてるみたいだけど、もっと闇が深くて危険なものだってことを教えてあげる」と。そんなわけで、バディーになって一緒に楽しく捜査する、っていう(笑)
一同:(爆笑)。
中村:面白いですね!
岸井:面白いんですよ(笑)
中村:映画とドラマでは、撮り方も違うと思いますけど。演じ方を変えたりはされてます?
岸井:今回は、映画監督の羽住英一郎さんが撮っています。実はもう、台本が最終回まであるんですよ。
澤本:最終回まであるんだ?それはすごいですね。
岸井:そうなんですよ。ホントに「10時間の映画」として撮っているので、ドラマを撮っているスピード感ではないですね。全体で10話まであるんですけど、1話から撮っていく感じではないんですよ。
澤本:「順撮り」じゃないってことですか?
岸井:そうですね。シーンごとに撮っていく感じですね。
権八:はあ~!
澤本:でも、10話を全部書き切っているって、すごいですね。
岸井:そうなんです。それがないとひとりじゃ全部撮れないということで。
澤本:あ、監督がひとりしかいないの?
岸井:そうなんです。10話分全部をひとりで撮っているんです。
澤本:え~、それはすごいなあ。
岸井:だから「10話の映画」なんですよ。
澤本:なるほど!
岸井:すごいですよね。もう、その心意気に心を打たれて。「やりま〜す!!」って(笑)
一同:あはははは!