「ちょっとヘンな家」で生まれ育つ
中村:でも、「お父さん周り」もなかなか大変なことが書いてありましたけどね、Twitterに。お酒をたしなまれたそうで……。
サノ:あー、そうですね。基本、お父さんが泥酔するとお母さんが軽トラで迎えに行くっていうのがいつものパターンだったんですけど。ある日、迎えに行った帰りにお父さんとお母さんがすごい口論になって。お母さんが「こんな生活に耐えられないから、もう出て行く!」って言ったら、なぜかお父さんが「いや、俺が出て行く」って言い始めて。
軽トラで走っているのに、お父さんがドアを開けてそのまま「ゴロン!」って外に飛び出したんですね。そしたら、8回転ぐらいゴロゴロ~!って。「それはやりすぎやろ!」って自分で言ってましたけどね。でも、自分で飛び降りてるんで。そういう、ちょっと変な家でした。
一同:ははははは!
権八:いや、だってさ。そもそも、お父さんとお母さんのなれそめが面白いじゃないですか?
サノ:あ、そうですね。父が女好きで、母は詐欺師なのかちょっとグレーなんですけど、当時流行ってた「デート商法」みたいなのでちょっと気を持たせて、高級布団を売りつけるっていう仕事をしてたんですけど。父はその高級布団を買うことでデートの約束を取り付けて。お母さんを転がして、無事結婚と。まあ、「デキ婚」みたいですけど。そこで生まれたのが僕、という。
権八:あっはっはっはっは!
中村:でも、見てると本当に「なんでそういうことするの?」ってことに果敢に挑戦していて。だって、整形もしてるんでしょ?
サノ:そうなんですよ。去年の10月に。
中村:いちいち行動がすごいよね、サノくんの。基本的には「切ない話」をずっとするから、悲観的なキャラかと思いきや、いきなり整形という。なんでしたの、整形は。どこをやったの、そもそも?
サノ:目ですね。
権八:変わった?
サノ:いや、「奥二重」から、「より奥二重」になっちゃって。
一同:(爆笑)。
サノ:二重には、なっていないですね(笑)。
稼ぐために働いたホストクラブで「ナンバー2」に
権八:でも、ちょっと美容的なことに興味があるの?さっきのレーザーの話もそうだけどさ。
サノ:それで言うと、元々ホストクラブで働いていた経験があるので。
権八:それは何なの(笑)。ちょっと、いろいろと突っ込みどころが多すぎてさ。
サノ:大学生の時にホストクラブで働いていたので、整形とか、男性の美意識が高いことに慣れていた、というのも大きいですね。
権八:でも、その度に切ないことになってるよね?(笑)
中村:でも、サノくんのキャラっていまいち僕はわかっていないんですけど。そこまで悲観的なキャラって、ホストとしてやっていけるんですか?やっぱり、そこに行くと変わるんですかね?
澤本:でもさ、ナンバーワンとかだったんでしょう?
サノ:いや、ナンバー2です。
一同:(笑)。
中村:でも、すごいけどね。「当店のナンバー2のサノです」って。
サノ:でも「お前のとこの席は、喫茶店みたいだな。」とか、よくいじられてましたね。
一同:あははははは。
権八:そうだよね。だって、「ウェイウェイ〜!」とか言って飲ませたりはしないわけでしょ?
サノ:そうですね。だから、ちょっと暗めの席ではありました。
権八:まあでも、この訥々としゃべるトークを聞きに、サノくんに会いに来るお客さんがいらっしゃったんでしょうね。
サノ:そこはいやらしい話をすると、割と戦略的にやっていたというか。僕は、「ナンバーワンの人たちが狙わない人たちを狙う」っていうのをしていました。
権八:あはははは!
澤本:そもそもさ、なんでホストクラブで働いたの?
サノ:僕、父と母がいない中で、当時はおじさんおばさんと、血も繋がってないような「第三者みたいな人」に育ててもらってたんですけど。
権八:その言い方!(笑)
サノ:僕、両親が中卒なんですね。だから「中学校を卒業したらもう就職だな」と思ってたんですけど。でも、拾ってもらった人が大卒だったから「大学まで行った方がいいよ」と言われて行きました。でも大学に入った途端、その第三者の方と僕のおばさんが別れてしまって……。学費は全部自分で払わなくちゃいけない、となったんですね。
でも、僕の父親が300万円程度の借金で自殺をしてしまったんですよ。で、300万円で自殺するんだったら大学にかかるお金が400万円とかだから、「めっちゃ自殺しそうだな」と思って。お金を稼げるところを探してもホストしか思い浮かばなくて。それでホストクラブで働きました。
権八:そっかあ……。すごい人生だね、なんだか。
サノ:たまたまというか、狙ってやったわけじゃないんですけど。
「歴代最年長」の新入社員
中村:それで、卒表後はバーも経営して、その後広告代理店に就職でしょう?
権八:ん?卒業してバーを経営して、広告代理店に入るまではどうなってんの?
サノ:ホストを卒業した後に、大阪でバーを出して。4、5年やった時に「お店をもっと大きくするにはどうしたらいいんだろう?」と思って大学院に進学したんです。で、大学院で2年間勉強した後に、当時お付き合いしてた彼女が「私、東京で就職したい」と言ったので、「じゃあ、僕も東京へ行って就職するわ」ってなって。東京で働ける会社だったんで、広告代理店を選んだんですね。
権八:ちょっと待って。卒業した後でバーをやって、大学院に行って?
サノ:で、広告代理店ですね。ただ、その付き合ってた彼女とは、東京に行ってすぐ別れちゃったっていう。
一同:ははははは!
権八:てことはさ、入社した時は何歳ぐらいだったの?
サノ:29とかですね。
権八:あ、そういうことなんだ。なるほどね。
サノ:そうですね、「最年長」って言われました。歴代の新入社員の中で。
投稿の「切なさ」は、周りが指摘してくれた
澤本:Twitterを始めたのは、どういう理由だったんだっけ?
サノ:それは、広告代理店で働いているのでSNSの相談とかを受けるんですね。僕は新入社員といっても30歳ぐらいだったんですけど、一応新入社員扱いだったので「Twitterってどうなの?バズるの?」って聞かれて。でも、やっていなかったので、何にも答えられなくて。それで、ちょっと申し訳ないなと思って始めたのがきっかけです。
権八:へえ~。なんか3、4日前もめちゃくちゃバズってたね。
サノ:あれは、僕がTikTokのとあるライブ配信をたまたま見ていたら、なぜかずっと犬の顔だけが映っていて。この様子に対して、リスナーがコメント欄に投稿してるんですね。「もっとこっち向いて」とか「スクショタイム、ちょうだい!」とか犬に言ってる姿が面白くて。僕のTwitterで「TikTokでこんなんありました」と紹介したんですよ。
権八:すごいね。でも、サノくんはそうはいっても投稿はちょっと狙いにいってるじゃん?
サノ:あ〜。自分の中で、「これはみんなが笑ってくれそうだな」っていうものはチョイスしてますね。
権八:そうそう。あれは何かコツがあるんですかね?
サノ:あんまりないんですけど。そもそも“切ない”っていうのも別に意図したわけではなくて。僕が始めたきっかけが、先輩のSNSに対する相談に答えられるように、から始めているので。何を投稿していいのかわからないから、自分の日常を投稿していたんですね。そしたら、周りが「こいつの投稿切なくね?」みたいに言ってくださったので、それで“切ないんだな”って気づきました。
澤本:あはははは!
サノ:特に“切ない”を意識してるっていうことではないですけど……。いや、最近はちょっと意識しちゃってるかもしれないですけど。逆に引っ張られて。
一同:(笑)。
権八:そうだよね、みんなが期待してるもんね、サノくんに切なさを(笑)。あと、サノくんといえば、いつもTシャツが面白いんですよ。
サノ:ありがとうございます。今日は普通で申し訳ないんですけど。
権八:いや、普通には見えないんだけども(笑)。でも、それもちょくちょくバズってるよね、「洋服ネタ」も。
サノ:そうですね、なんか「服がダサイ」というか。
中村:港区で「PIKO」を着ているのは君だけだよ。って言われたんでしょ?(笑)
サノ:あ~、それは言われましたね(笑)。
権八:あー、 あったね、PIKO。
サノ:みんな、中学校の時は一度は通っている服だと思うんですけど。「今着ている奴は、お前しかいない」と言われました。