クラシエホームプロダクツは、ヘアケアブランド「いち髪」のインバスヘアケアシリーズをフルリニューアル。同ブランドの新イメージキャラクターに女優の永野芽郁さんを起用し、新CM「日本の四季」篇のオンエアを開始した。
「あの人が、都会へ行く」。CMは、満開の桜の木の下、都会へ旅立つ女性を少年が見送るシーンから始まる。彼女が次に帰ってくるのは、1年後。桜の木の下で待つ彼の周りで、刻一刻と季節が移り変わっていく。そして一年という月日を経て、彼女は新たな美しさを纏い、故郷に戻ってくる。
「いち髪は、米ぬかや、なでしこ、明日葉、ムクロジなど、様々な日本の四季の恵みを取り入れたヘアケアブランドです。
だからこそ、今回のリニューアルCMでは、移ろう日本の四季の美しさや、日本人本来がもつ、絹のような髪の美しさ。その全てを余す所なく映像に焼き付けたいと思いました」と、catch クリエイティブディレクター 福部明浩氏は話す。
「いち髪」ブランドの象徴でもある“桜”の木を舞台に、日本の美しい四季の移ろいとともに別れと再会を描いた本CM。実は同じ場所で1年かけて撮影するという、通常のCM制作では考えられない労力と時間が費やされている。
「最も表現したかったのは、植物の生命力です。刻一刻と変わっていく日本の四季の中で、熱い夏も、厳しい冬も乗り越え、美しく実る和草たち。その成長していく姿には、圧倒的な生命力が宿っています。その生きる力を、1秒、1フレ余すところなく、映像に詰め込もうと考えた時、撮影手法は自ずと一択しかありませんでした」(福部氏)
その撮影方法とは、タイムラプスとコマ撮りの融合だった。永野さんが登場する春の別れと再会のシーンは、ムービーカメラで通常通り撮影し、季節が移り変わるシーンではタイムラプス撮影(1コマずつカメラを動かしながらスチール撮影を行い、その写真を並べて映像化する技法)を行っている。
「移ろう四季の全ての瞬間に敬意を払い、1コマ1コマ、タイムラプスで撮影していく。しかも巡る季節と共にカメラも動かしていく。目指すゴールは明確でした」(福部氏)
しかし、それはスタッフの想像を超える大変な撮影となった。
「通常のタイムラプス撮影のように定点カメラで変化を撮るのではなく、今回は巡る季節という表現でカメラが動き続けます。決めたカメラワークに対して1コマずつカメラの位置・高さ・角度などを計算して数値化し、ミリ単位で正確に動かしていくアナログな撮影を行いました。また、1秒=24コマ、24枚の写真を繋いで1秒の映像にしていく撮影方法で、1テイクを撮影するのにかかる時間は、1日10時間以上。季節の変化や光の変化を描くためには、どうしてもこの時間をかける必要がありました」(AOI Pro. 宮本卓氏)
最初の季節となる秋の撮影で、25日間かけて撮れた素材はわずか「4秒」。そして、最終的に総撮影日数85日。計800時間。総撮影カット数は、2万5000枚を超えた。
「まる1日かけて撮影したものを繋いでみて、ちょっと違うね、もう一回やり直そう、みたいに心が折れかける場面も何度かあり、吹雪の中での極寒の冬も、猛暑の中での夏も、四季全てこの方法をひたすら繰り返す、想像を絶するような撮影でした」(宮本氏)
1年かけた撮影は、雨、風、暑さ、寒さ。単調な作業の繰り返し。そして無数の虫との闘いだったという。
「そんな様々な困難に遭いながらも感じたことは、この国の四季は、とても長く、厳しいということ。そしてそれ以上に、とてつもなく美しいということでした」(福部氏)
CMの世界観をリアルに表現するため、撮影はすべてロケーションに。その選定にあたり、15箇所の撮影候補地が挙げられ、その中から四季の巡りを感じることができ、1年越しの2人の再会を美しく撮ることができるベストな場所として山形県最上郡が選ばれた。
「四季を感じられるロケーションで、かつ1年間、臨機応変に撮影が出来る場所。そして、なにより桜の一本木が象徴的に生えている場所。そんな場所は、日本全国リサーチしましたが見つからず、最終的に良いロケーションを見つけ、そこに桜を移植するというプランに決めました」(宮本氏)
撮影後も咲き続けられるように、樹木医・桜博士に監修してもらい、“いち髪の桜”は現在も撮影地に存在している。また、CMに登場するなでしこや稲(米ぬか)も、このCMのために一から植えて育てたという。その撮影の様子は、メイキング映像にまとめられ、YouTubeで公開されている。
SNSでは、映像の美しさとともに、その撮影方法のすごさやスタッフの情熱に感嘆する声が多く挙がっている。
また、発売にあわせて、東京・大阪・名古屋・札幌・福岡・宮城・広島の全国7ヶ所で大型交通広告も展開中だ。
スタッフリスト
CM
- 企画制作
- 博報堂+catch+AOI Pro.
- CD
- 福部明浩
- AD
- 川辺圭
- 企画
- 井上佳那子、本田玲奈、杉本陽平
- Pr
- 山田博之、川口正太
- Pr+PM
- 宮本卓
- PM
- 志塚茉莉乃、藤原真也、木下遥人、濱崎玲司
- 監督
- 田中嗣久
- 助監督
- 千代谷健史
- 撮影
- 伊藤元
- 撮影(タイムラプス)
- 清水大輔
- 照明
- 西田真智公
- 美術
- 桑島十和子
- ST
- 伊賀大介、岡部美穂
- HM
- 古久保英人、KUBOKI
- CO
- 高橋亨、米原直樹
- 桜監修
- 脇田陽一
- 編集
- 今村徳孝(オフライン)、水野正毅(オンライン)
- MIX
- 横山欣也
- CG Pr
- 宮武泰明、内藤順一
- カラリスト
- 高橋直孝
- CAS
- 増田恵子
- 音楽
- YOASOBI
- CAS(YOASOBI)
- 橘将人
- 音楽Pr(アレンジver)
- 緑川徹
- AE
- 村住守彦、江嶋土平、岡田港、野本活輝、岸本麻椰、津田尚紀、若佐晃子
- 出演
- 永野芽郁、東ヨシアキ
グラフィック
- 企画制作
- 博報堂+catch+キャベツデザイン+AOI Pro.
- CD
- 福部明浩
- AD
- 川辺圭
- 撮影
- 杉田知洋江
- 照明
- 大田宏幸、村上清志
- 美術
- 鴇田清美
- レタッチ
- 佐藤加奈子
- Pr
- 山田博之、川口正太
- Pr+PM
- 宮本卓
- PM
- 志塚茉莉乃、藤原真也、木下遥人、濱崎玲司
- PR
- 増子慶太、蜂須賀まゆ子、細井大輝、小川みゆう