中3でNHK『中学生日記』でデビュー
中村:元々、役者さんをやられる前は、どんな人だったんですか?
岡山:どんな人というか、15歳ぐらいから役者を始めたので、まだ物心もついてないぐらいの時で……。そこまで人格が形成されていなかったんですけど、恥ずかしがり屋でしたね。だけど、目立ちたがり屋みたいな。
中村:デビューは、スカウトとかですか?
岡山:中3の時にNHKの『中学生日記』という番組に出させていただいて。
中村:そっか!この『中学生日記 シリーズ・転校生』でデビューだ。
岡山:そうですね。でも、その時は本当にまだ普通の中学生で。その撮影が終わってから事務所のオーディションを探して、今の事務所のオーディションを受けて、という感じですね。
中村:すごい。『中学生日記』って、生徒をランダムにチョイスしているんですか?
岡山:そうですね。13歳から15歳のリアル中学生を選んでいます。撮影されていたのは、名古屋のNHKだったので、名古屋在住で、事務所などに所属していない中学生で、という。オーディションを受けに来た人の中から生徒を選んで、受かった子は呼ばれて撮影しているみたいな感じだったんですけど。当時は、全国オーディションというのが年に1回あって、夏休みの期間だけ名古屋に行って撮影するというものだったんですけど。それが15歳、中学3年生の時でしたね。
中村:それでやってみたら、周りの反響もかなり良くて「この道、面白いんじゃないか?」みたいなのが天音さんの中に芽生えた、と?
岡山:そうですね。もう普通の中学生だったので。そういう人間からすると、やっぱり撮影って、すごい非日常じゃないですか?それがやっぱり、とても印象的だったんですよね。「これを、もう一回やりたい」と思って。でも、そのためには事務所というものに入らないと難しいらしい、というのがわかって。それで、オーディションを探して、という感じですね。
中村:へえ~!そこから、今やメディアで見ない日はないほどに大活躍されている天音さんですが。そこまでのステップは、ご自身的にはどんな感じだったんですか?割とポンポンといけたな、みたいな?
岡山:いや、そんなことはないですね……。もう、なんだかんだで12年ぐらいはやっているので。最初は、すごく大変でしたね。やっぱり、恥ずかしがり屋というのがすごいあって。
中村:恥ずかしがり屋だったんですか?
岡山:はい。もう、恥ずかしくて、恥ずかしくて……っていう日々でしたね。「こんな人前で……」みたいな。
恥ずかしがり屋、役者になる
権八:でも、幼い頃からなんとなく役者への憧れみたいなものはあったんですか?「テレビに出る人になりたい!」みたいな。
岡山:まあ、普通にはあったと思います。誰しもが、一度はなんとなく憧れる感覚ではありましたね。夜にドラマを見て、次の日クラスでそれについてみんなで喋る、みたいなことも普通にしていたので。でも、具体的にどうこうみたいなのはあまりなくて。抽象的に思っていたぐらいですね。
権八:恥ずかしがり屋さんが役者になるっていうのも、ちょっとね……(笑)。始めてからもまだ恥ずかしかった、というのがすごく面白いですけど(笑)。
岡山:でも、今も恥ずかしいですよ。「なんか今日の撮影、恥ずかしいな~……」みたいな。
一同:ははははは!
岡山:今も、舞台の稽古をやっているんですけど。コメディーなので、「自分は、こういうふうにすると面白いと思います」っていうプレゼンを稽古場でするわけじゃないですか?もう、「恥ずかしい~!」とか思いながら。
権八:あはははは!面白いな。
岡山:みんなに「何やってんだ?」って思われたらどうしよう?みたいな。「これを面白いと思ってるんだ?」って思われたら、イヤだな……とか。
権八:そういう意味では、ご自身が出ているものを見たりはしないんですか?
岡山:それは、絶対に見ます、基本的には。
権八:ここはこうした方が良かったな、みたいなこともあるんですか?
岡山:それはもう、めちゃめちゃありますね。それに、家で出演したドラマを一足先に見ることがあるんですね、いわゆる「完パケ」っていうやつです。それを見ている時も、自分がどのタイミングで登場するのか、本人だからわかるじゃないですか?その時はやっぱり、部屋でひとりすごくドキドキしながら「ああ、出てくる、出てくる!うわ~、恥ずかしい!」みたいになりながら見てますね。あとは映画だと、試写会とか、他の関係者の方たちと一緒に見る時も、「すごい恥ずかしい~!」と思いながら(笑)。でも、見るようにはしてますね。やっぱり、自分で発したものの体感と、それがどう形になったのかというギャップについては知っておきたいので。
澤本:岡山さんぐらいの立派な役者さんになっても恥ずかしいんですね、出る瞬間とかって。
権八:ね、面白いですね。
中村:舞台での緊張とはまた別なんですか?
岡山:緊張はすごいしますね。その上でさらに恥ずかしいし。
澤本:でも、僕らがさ、例えば知り合いの監督とかに「ワンカットだけ出てよ」とか言われて、出たりするじゃない?
権八:はいはいはい!
澤本:その作品を試写で見た時に「あ、もうすぐ来る!」と思うと、本当にトイレに逃げ込みたくなりますよ。
権八:あはははは!わかります、わかります(笑)。
澤本:もう、本当に処刑されるような感じがあって。なにしろ、周りが役者じゃないですか?それなのに急に素人が出てきて、何か言ってるわけですよ。もう「申し訳ない」って気持ちになるもんね、あれは。
岡山:でも、次頼まれたらまた出演されるんですか?
澤本:そう。あれは、なんなんでしょうね……。なんというか、「自分の生きた証を残したい」みたいな。
一同:あはははは!
「演技に迷ったら、ワクワクする方を選ぶ」
中村:すごい基本的な話になりますけど、俳優さんというのは、役を演じている自分を客観視して「俺はこう見えているはずだ」と思いながらやっていて、その解像度が割とピッタリと合っている、ということなんですかね?
岡山:ああ~。でも、演技を仕事にしていると、何本も作品に出るので解像度は上がってくるんじゃないかな……。でも、どうなんですかね~。そこは僕もわからなくて。だからもう、選択肢がいっぱいある場合は、「今、自分がワクワクするのはどれかな?」っていう基準でやっちゃってますね。
澤本:ああ~、それはいいですね。
岡山:だから、どこかで開き直っちゃっているのかもしれないですね。やっぱり、そうじゃないと。
澤本:でも、その解像度の問題で「自分がこういう演技をしたら、こっちからはこう映っているはず」というのがわかるんですか?
岡山:それはもう、専門職にしていない方と比べたらわかると思いますね。
澤本:なるほどね。それがわかると、ずいぶんできるもんね。
岡山:確かに。でも、そこは俳優さんによっても全然違うと思うんですけどね。
澤本:いやもう、本当にね。役者さんってすごいな〜、と思うんですよ。
権八:いつもはモニター越しに「ここは、もうちょっとこうしてほしい」とかああだこうだ言っちゃうけど(笑)。
澤本:そうそう。でも、それはやってみたら難しいよね。
中村:その点は、岡山さんがあまり演技を勉強していない頃の作品、それこそ『中学生日記』とかを見て、ポジティブとネガティブの割合ってどのぐらいだったんですか?
岡山:ああ~。でも、基本的にはネガティブでしたね。「どうにかコレを、お蔵入りにできないかな?」っていう感じで。
一同:(爆笑)。
岡山:多分、いまだに自分が大きいスクリーンで何かをしているのを見る時って、そういう感覚だと思うんですけど。でも、もう慣れたんじゃないですかね。「恥ずかしさ慣れ」みたいなのをしたのかもしれないです。昔は本当に、映画の試写に行っても、自分が出た場面では顔を覆ったりしていたんですよ。もう、「恥ずかしい、恥ずかしい」を繰り返して、恥ずかしいけど、その恥ずかしさの濃度が薄くなってきている、というか。でも、「やめて~!」みたいな感覚が基本ありましたね、始めた当初は特に。