惹かれるのは「存在のきらめき」
権八:岡山さんは「この役者さんみたいになりたい!」とか、この人の芝居はすごいな、みたいな方っていらっしゃるんですか。
岡山:うーん……。あんまり……。いや、ブラッド・ピットですね!
一同:おお~!!
岡山:いや、「おお~!」って言われると、恥ずかしいんですけど(笑)。
一同:あはははは!
岡山:ブラッド・ピットさん、共演してみたいですね。なんかもう、すごいですよね。だって、何をしていても見ていたい「画力」があるじゃないですか?多分、隅っこで体育座りとかしていても、「俺もちょっと、体育座りしてみようかな」って思わせるような。
権八:ブラピの体育座りはだいぶシュールだけど、いいね!(笑)
岡山:なんていうんですかね、ブラッド・ピットの良さの次元は、お芝居のうまさとかじゃないのかもしれないです。もう、「存在のきらめき」みたいな。だから、僕はお芝居の内容よりもアーティストさんへの憧れの方が強いのかもしれないですね。あ、でも、どうなんだろう……?「お芝居は、お芝居」みたいな線引きが、あまりなくなってきちゃったのかもしれないです。人の目を引きつけるものに対する憧れ、みたいなことになっているのかもしれない。そういうパフォーマンスを見て、「こういう芝居をしたいな」と感じる、みたいな。僕、アニメとかもすごい好きなんですけど、例えば『エヴァンゲリオン』みたいな芝居がしたいなぁ、とか。
権八:面白い!
岡山:そんな感じですね。
澤本:ちょっと、全然違う質問かもしれないんですけど。僕らがCMをやっている時に、「もうちょっと、自然体でやって」みたいに言うことが結構あるんですけど。自然体って「やれ」って言われてできます?
岡山:いやいや、できないですね。
澤本:「自然体の演技」と言った時に、役者の方ってどうやって自然体になるんだろう?って、ずっと興味があって。
岡山:はいはいはい。
澤本:ただ、感情を落としていくと自然体に見えるんじゃないか?っていう、勘違いもあるじゃないですか?
中村:そうですよね。特にCMは秒数が短いから、岡山天音さんを配役した時点で、「岡山さん役でやってくれ」みたいな。「自然に、岡山さんっぽい感じでお願いします」みたいなことが結構ある、と。
岡山:僕は、あんまり自分ではやったことがないですね。それこそ、「すごい短いから、逆にインパクトを残さないと」って、デフォルメする方が多いかもしれない。でも、自然体って、すごい難しいんじゃないですかね。僕も仕事を始めた時に「もっと自然に!」とか「つくらないで」とか言われていましたけど、そう言われると、より硬くなっちゃうというか。でも、「できないよ」って思ったままやってます。
一同:あはははは!
岡山:「わかりました~!」とか言って。または「できません顔」をしておいて、一回保険をかけておいてやってみたり。なんですかね〜、やっぱり、ボソボソ喋ったりとかなんじゃないですか?(笑)それか、さっきおっしゃっていたことかもしれないですね。感情の幅みたいなものを落としていく感じで。
澤本氏、『さかなのこ』を大絶賛
澤本:なるほど。それで言うと、ちょっと自然体とは真逆の話になるんですけど。『さかなのこ』(沖田修一監督/9月1日公開)っていう映画の試写を、昨日見たわけ。
岡山:ありがとうございます。
澤本:これがね、もう、むちゃむちゃ面白いから!
権八:澤本さん、SNSで大絶賛していましたね。
澤本:いや、もうね。絶賛も絶賛。沖田修一監督の作品は全部好きなんだけど、『さかなのこ』は、面白いよぉ~!!
権八:あはははは!
澤本:もうね、権八は絶対に好きなはず。
権八:僕ですか?
澤本:でも「絶対好き」って言っといて、「澤本さん、好きじゃありませんでした」は、言いづらいでしょ?
権八:いや、今、それだけ指さして言われたぐらいだから、見たいなあ~!(笑)
中村:岡山さんは『さかなのこ』ではどんな役なんですか?
岡山:元々は、「さかなクンさん」?で、いいんですかね?「さかなクン」の書かれた自叙伝があって、それをベースにつくられた作品なんですね。で、女優の、のんさんがさかなクン役なんですよ。
中村:へえ~?!
岡山:で、「沖田監督カラー」が作品の解釈も含めてふんだんに入っていて。実際の人生に厳密に即したお話ではないんですけど、そこにちょっとファンタジーも入っている、みたいな。のんさんの演じる役が、子ども時代から描かれていて、僕は、彼と途中で出会う他校の生徒、みたいな感じで。最初は、彼にけんかを売る役で出させていただいているんですけど、多分、僕の役は実在していなくて。そういう創作もふんだんに織り込まれているので、実際は「原案 さかなクン」ぐらいの感じかもしれませんね。
中村:でも、さかなクンって、本当に好きなものにフォーカスしちゃうと、止まらなくなっちゃって、その分野で天才になるみたいなね。多分、ずっとそういう子だったってことですよね?
澤本:基本的に、あるひとつのことが大好きな子が、そのまんま大人になっていく過程で、いろんな人を巻き込んでいくというお話なんだけど。ただ、まあ、のんちゃんがうまいんだ。それは、一般的な意味での「上手い」なのかはわからないんだけど。だって、さかなクンの役をやってるんだよ?でも、これがさ〜、不思議とさかなクンに見えるんだよ。
岡山:たしかに、たしかに。
澤本:この一年ぐらいで「面白い」っていう映画はいっぱいあったけど、ヒューマンコメディーの中では、卓越して面白かったな。
権八:あら~!!
岡山:素敵ですよね~。
澤本:上映時間が2時間超えてるから、ちょっと長いのよ。だけど、全く長いとは思わなかった。大体、長いと途中で寝るじゃない?
権八:いやいや……。そうですかね?(笑)
澤本:くーっと寝そうになって、ヤバいヤバい!と。
権八:いや……。ならないですけど(笑)。
一同:ははははは!
権八:結構、笑って泣いて、みたいなイメージですかね。
澤本:自分が声を上げて笑ってるな、という意識を持つぐらいに笑ってる。
権八:あららら!え~、すごいね。それは見たいなあ。
澤本:ごめん、これだけ言ってみんなが「面白くない」って言ったら、人と違ってるのかもしれない。
中村:あはははは!
岡山:大丈夫だと思います(笑)。
未来の自分に、驚きたい
中村:天音さんは、今後もっとチャレンジしてみたい役だとか、こんなえげつない役をやらせてみたら、俺はいけるぜ!みたいなの、あったりします?
岡山:う~ん……。あんまりないですね。
一同:あはははは!
岡山:強いて言うなら、うーん……。なんですかね。でも、もう本当にいろんな役をやらせていただいたので、どんなところにも面白みを見つける、みたいなものはあって。そこは、鍛えられた気がするんですよね。だから「こういうのをやりたい!」とかって、あんまり……。なんでも面白いな、と思いますし、強いて言えば、僕が今ここで思いつかないようなものを振ってもらえたら、それが新鮮な役なのかな、とは思いますけど。でも、お芝居以外のこととかをどんどんやってみたいですね。
中村:お!お芝居以外、ですか?
岡山:はい。わかんないですけど。
一同:あはははは!
権八:なんだろう、いいっすね!(笑)
中村:自然体ですね(笑)。
岡山:なんか、あの~。話したことがない人と飲みに行ったりしてみたいですね。全然、求められている答えと違うことを言ってるのはわかっているんですけど(笑)。仕事でも、これまでやったことがないジャンルのことをやってみるとかもそうですし。プライベートでいろいろやってみたいなあ、というふうには思いますけどね。それこそ、一人旅じゃないですけど。
権八:さっきほら、ご自分でミュージシャンのパフォーマンスに感化されるというお話があったけど、自分で何かをつくるとか、書くとかは?
岡山:絵を描くのは子どもの頃から好きですね。忙しくなっちゃうと、あんまりしなくなるんですけど。文章を書いたりするのも好きですし。受け手として好きなものはいっぱいあるので。「自分がこんなことをやるんだ?」ってびっくりしていたいですね、近い未来に。
権八:ほ~、面白い。
岡山:……。はい。
一同:あはははは!
中村:天音さんは、なんでもできそうですからね。みなさん、ぜひ、岡山天音くんがびっくりするような配役をお願いします。そういえば以前、岸井ゆきのちゃんが「大きい斧を持った役をやりたい」って言ってましたよね、『ベルセルク』の世界みたいな。そういうのも面白いですよね。
権八:あれ、同じ事務所?
岡山:そうですね。変な……子ですね。
一同:あはははは!
岡山:それもう、変な子じゃないですか(笑)。でも、めちゃめちゃ見てみたいですね、岸井さんのその姿。絶対、面白いですもんね(笑)。