揚羽
ブランディングコンサルタント
板倉マサアキ氏
人的資本への投資に注目が集まる昨今。その重要性が再認識されているのが「インターナルブランディング」だ。組織が目指す方向性に従業員が共感し、生産性が高まれば、顧客ロイヤルティや投資家からの信頼度の向上に直結する(図参照)。企業価値を高める源泉となっているインターナルブランディングだが、その成功のポイントはどこにあるのか。揚羽 ブランディングコンサルタントの板倉マサアキ氏は 1目的を設定する・効果を理解する 2プロセスに従業員を巻き込む 3プロセスを価値に変える 4巻き込んだ従業員を味方にする、の4つを挙げた。
実は1で失敗する例は少なくないという。目的なしに手法から入ってしまうケースが多いのだ。だがブランディング施策は、社長メッセージや映像などエモーショナルな仕掛けに加え、研修・制度といった機能的な仕組みもあり、その打ち手は幅広い。例えばビジョンの認知を高める段階なら「経営トップのスピーチ」を、ビジョンの世界観を伝えたいなら「動画」を、とい ったように、施策を通じて得られる効果まで認識しておく必要がある。
いかに社員を巻き込むか
「インターナルブランディングは、経営と現場をつなぐ取り組みです」と板倉氏。経営陣だけで推進するのではなく 2プロセスに従業員を巻き込み、認知、共感、行動へと進めることが肝だと強調する。
その成功事例が、コアバリュー浸透を揚羽が支援した、某大手製薬会社の取り組みだ。同社では、浸透のインフルエンサーとなり得るターゲット従業員のペルソナを設定し、それに近しい従業員一人ひとりにインタビューを実施。その内容からコアバリューを導出し、メッセージ化。認知を広げるキャラクターも開発した。加えてキャラクター名の社内公募、キャラクターグッズの社内展開、コアバリューを体現した従業員の表彰などを行った結果、「メッセージ・キャラクターを通じて、自身の行動に変化があったか?」という社内アンケートで、75%が「変化した」と回答している。
さらに板倉氏は、3インターナルブランディングのプロセス自体が価値になる、と説く。「例えば経営層へのインタビュー内容は文章化して配布。ワ ークショップの様子は撮影し、参加できなかった人に現場の熱気を伝える。途中過程も含め、こうした情報開示をすることで、社内への相互理解が生まれやすくなります。また数年後にブランドの成り立ちを振り返る時にもこれらが活用できます」。
そして、社内浸透を加速する段階では、4ブランドづくりのプロセスに参画した従業員を味方にすることが有効だ。社内の旗振り役としてポジティブなメッセージを発信してくれる人を「アンバサダー」として正式に任命すれば、使命感も育ちやすい。揚羽では「アンバサダー研修」を開き、担ってほしい役割を説明しつつ、アンバサダーに任命された従業員が自発的に浸透活動を行えるよう支援する取り組みも実施している。
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