ピアノ漬けだったせいで、「漫画の読み方」がわからない?!
中村:絶対音感が身についたのは5、6歳頃から、ということでしたが。どうしても聞きたいのは、子どもの頃の生活についてですね。やっぱり、ピアノばかり弾かれてました?
ハラミちゃん:もう、おっしゃるとおりで。幼少時代はホントにピアノばっかりで。食べるのと寝ること以外はピアノ、という感じでしたね。アニメとか漫画とか、そういうことに親しんでこなさ過ぎて……。大人になってから、私はあまりにも世間を知らないんだ、ということに遭遇することが多くて。
権八:へえ~!!
ハラミちゃん:だから、漫画の読み方もわからなくて。
権八:出た!(笑)
澤本:コマの進め方、ですか?
ハラミちゃん:そう、コマが……。
権八:え、じゃあ、ちなみにいつわかったんですか?
ハラミちゃん:まだわからないんですよ!
権八:え、まだ?!
一同:あはははは!
ハラミちゃん:すみません、ごめんなさい、ごめんなさい!(笑)。
権八:え、ホントに?!
ハラミちゃん:ホントです、ホントです。これは皆さんに聞けばわかると思うんですけど。同じところをぐるぐるしちゃって、どっちに進めばいいかわからなくて。
権八:はははは。すごい真面目な顔をしておっしゃっていますけど(笑)。
ハラミちゃん:そうなんですよ(笑)。
中村:厳しくて、何も与えないご家庭だった、というわけではなくて?
ハラミちゃん:全然。私、兄がいるんですけど、兄はマンガ、アニメ好きですし。めちゃくちゃ禁じられてとか、スパルタで、とかでは全くなく、自らそうなっちゃって。
ピアノがすごい好きで、ピアノばかりやっていたら、金曜ロードショーも見たことがない、漫画も読んだことがない、みたいになっちゃって。そのまま大人になってしまったという(笑)。
権八:すごいな!じゃあ、最初にピアノを始めたきっかけというのは、どんな感じだったんですか?
ハラミちゃん:一番最初は、それこそ兄の影響で。兄が家で弾いていて、私も弾きたいなと思ったので見学に行って、そこから興味が湧いて始めた、という感じですね。
澤本:じゃあ、ご両親に「やりなさい」って言われたわけではなく?
ハラミちゃん:はい。自分から言いました。
小1で「音大受験」のテキストを渡される
権八:ちなみにですね、全く似合わないんですが、私も子どもの頃にピアノを習っていて……。
ハラミちゃん:あぁ~!そうなんですね?
権八:例えば、「練習が嫌だな」とか、「次のレッスン嫌だな」とか。そんなことばっかり思っていたんですけど。そんなこと、思ったことないですよね?
ハラミちゃん:いや、ありますよ。でも、正直言ってそんなに深く思ったことはありませんね。小学校1年生の時に、音大に行くテキストを渡されまして。
中村:小1で?
ハラミちゃん:はい。
権八:ちょっと待ってください(笑)。
中村:「音大に行きなさい」ってこと?
ハラミちゃん:そうなんですよ。
権八:誰に渡されたんですか?
ハラミちゃん:ピアノの先生から、音大受験のテキストを渡されて。その時に「私は音大に行くんだ」って思っちゃって。ある意味で刷り込みというか、ふわっと自分の中で決めつけちゃって。だから、やめるという選択肢がなくなっちゃったんですね。それでやめなかったという、浅はかな……(笑)。
中村:めっちゃ笑ってますけど!(笑)。すごいですよね。
権八:それは、やっぱり先生が「この子はすごい!」と感じたからですよね。
澤本:そうだよね。
権八:だって、どの子にも音大のテキストを渡しているわけじゃないでしょ?
ハラミちゃん:あ~、まあ、たしかに。
中村:そんなこんなで、音大に行かれて。
ハラミちゃん:そうなんですよ。
「パワーポイント」の使い方を知らなかった結果……!!
中村:インタビュー記事によると、卒業後、一度は一般企業に就職された、と。
ハラミちゃん:そうなんですよ。新卒の時に一般企業へ。でも、ピアノ以外やったことがなかったので、同じキーボードでもパソコンのキーボードは初めてで。
権八:ええ?!
ハラミちゃん:もう、パソコンの「S」とか「A」の場所さえわからないまま入社してしまって。なので、人事の人に「ウソでしょ……」って絶句されて。
一同:あはははは!
ハラミちゃん:「なんで、IT業界に来ちゃったの?!」みたいになっちゃって。私、一番最初の新人研修の課題を紙とペンで提出したんですよ。「パワーポイント」の意味がわからなくて。パワーポイントを「力の入れどころ」だと思っていて。
一同:(爆笑)。
中村:なるほどね!(笑)。
権八:知らないと、そう思っちゃう(笑)。
ハラミちゃん:本当に知らないので。で、紙とペンで「ここがパワーポイントです」って言って出したんですけど「マジでヤバい子がきた」みたいになっちゃって。
権八:「パワポ」を提出しなさいと言ったら、それが出てくると……。面白すぎませんか?!(笑)
ハラミちゃん:そこから始めたという感じですね。
権八:すご~い!でもそれ、仕事にならなかったんじゃないか、というか……(笑)。何年ぐらい働いていたんですか?
ハラミちゃん:そこは、数年間勤めさせていただいたんですけど。本当にゼロスタートというか、マイナスからスタートした私を丁寧に育て上げてくれて、本当にありがたいんですけど。そこでの毎日は、めちゃくちゃ充実していて、凄く楽しく働かせていただきました。
権八:なるほどね~!
休職中、先輩に連れ出されたのが「ストリートピアノ」の前だった。
澤本:YouTubeはどうして始めたんですか?
ハラミちゃん:会社員時代にちょっと体調を崩してしまって、休職してお家にいたんですね。家から出ようにも、勇気がなくてなかなか出られなかった時に、会社で仲が良かった先輩がこう言ってくれたんです。「ピアノが好きだったよね?ストリートピアノっていうものがあるから、気分転換に一回弾いてみようよ」と。
その時は、まさか動画を撮るなんてことも知らず、本当に気分転換で何年かぶりに弾いたんですね。それを先輩がスマホで撮っていて、ノリで「YouTubeに上げていい?」って言われて。
澤本:うん。
ハラミちゃん:そんなの、誰も見ないだろうし、いっても2再生ぐらいだろうから「どうぞどうぞ!」と。そしたら、それが30万再生を超えて、あっという間に200万再生までいってしまって。それで、「YouTube、続けてみる?」と言われて始めた、という感じなんですね。
なので、自分から「YouTuberになりたい!」と思ったわけではなく、本当にきっかけはリハビリだったという。それがきっかけで、その先輩が今もマネージャーをしてくださっていて。一緒に脱サラしてやっている、という感じです。
澤本:そうなんだ。
権八:ふ〜む。
中村:でも、家から出られなくて、だいぶ重苦しい気持ちだったのに、いきなりストリートピアノの前に連れてこられた時は、どんな気持ちだったんですか?
ハラミちゃん:さすがにちょっと怖くて。ピアノに座るまでは、誰も見ていないのに見られている感覚というか、「怖いな」と思ったんですけど。椅子に座った途端、なんか昔の感覚が戻ってきたというか……。私、何年間もずっとこれをやってたわ、って。それが謎の安心感だったんですね。
すれ違う人も気にならないし、むしろ、すごい楽しくなって。アドレナリンがめちゃくちゃ出てる感じで……。「あ、これは自分、めっちゃ幸せかも」って、一曲目で思いましたね。
権八:すごい……。でも、ピアノはずっと続けていたんですか?
ハラミちゃん:いや、もう一切触っていなかったです。
権八:え、ウソ?!
ハラミちゃん:だからもう、物置きみたいになっちゃっていて。本当に、久々に弾きました。
権八:もう、体が覚えているというか?
ハラミちゃん:正直、演奏的にはあまりにボロボロだったんで。本当はYouTubeには上げたくなかったんですよ。
権八:あ~、最初の最初、はね。
ハラミちゃん:そうです。世間に聴かれたくないと思ったんですけど。本当にこんなことになるとは1ミリも思わなかったので。2再生ぐらいなら、個人の思い出保管ビデオみたいでいいかな、と思って。
澤本:事前に練習とかしたんですか?
ハラミちゃん:いや、してないです。ただただ、ホントに記憶にある『前前前世』という曲をその場で弾いたっていう。
権八:それがなんか凄すぎて……。
中村:うん、それがホントすごいですよね。