アイフルは、2月から「TikTok」を用いて若年層などの潜在顧客へのリーチを強めている。第1歩として実施したのは、テレビCMを転用した「ヨコ型」動画で、一定の成果を収めた。今後は、「TikTok」のユーザーインターフェース(UI)に合わせた、タテ型動画の展開にも意欲的だ。
今回実施したのは、「TikTok」アプリを起動した直後に表示される動画として配信する「TopView(トップビュー)」。起動直後に最初に表示されるため、TikTokの広告メニューの中でもリーチを最大限に伸ばしやすいのが特徴だ。
配信したのは、アイフルのテレビCMシリーズ『凛とした女将』から「最強女将」篇。2018年開始のロングランで、ことし9月26日で18篇をオンエアしてきた。老舗料亭の「女将」役の女優・大地真央さんと、板前「今野」役のお笑い芸人・今野浩喜さんがかけ合いを演じる。「女将」が意表を突くシーンで現れ、「そこに、愛はあるんか…?」と決めゼリフを残すのが定番のパターンだ。
同シリーズはCM総合研究所調査で、2021年度企業別CM好感度・獲得効率部門で1位に輝くなど、上々。しかし、アイフル宣伝課課長の徳永敦氏は、「テレビでリーチ(到達)できない層、いわゆるノーテレ層に対し、どのようにアプローチするかが課題でした」と話す。
「四半期サイクルでアンケート調査をしているのですが、若年層においてはテレビでも認知率が伸びない、という現状がありました。しかし、テレビ以外の主要メディアでも情報接点としてポイントが低く出ていたのです」(アイフル宣伝課の何媛媛氏)
「TikTok」を新たなメディアとして提案したSepteni Japan パフォーマンスグロース本部の前川純一氏は、こう話す。
「やはり、ユーザーの伸びが好調という点と、若年層などの潜在顧客層に認知を大きく広げたいという狙いから、『TikTok』が適しているのではないかと考えました。同じタイミングで、アイフル側からも注目したいプラットフォームであると聞いていました。新CMのローンチも予定されていたので、これは好機ではないかと」(前川氏)
実施上のハードルとなったのは、「TikTok」のタテ型の画面にどう調整するか、だ。「好感度の高いCMシリーズなので、『TikTok』でも流せれば、楽しんで見ていただけると考えていました」と前川氏。スマホ画面に合わせて、上下にCMに連動したアニメーションを追加し、配信した。(編注:2022年9月現在Topviewは縦型フルスクリーンでないと配信できない)
結果として、他プラットフォームと比較して視聴率やエンゲージメント率は高い結果に。ブランドリフト調査では、広告認知が14.2ポイント増、ブランド認知が10.1ポイント増、ブランド想起が7.4ポイント増と、いずれも高いアップリフトを達成した。「TopView」実施期間のWebサイト来訪数も、それ以前と比べて3倍ほどにまで高まった。
「広告効果が実際どれくらいあるかという期待と、ヨコ型のコンテンツで大丈夫かという懸念との両方を抱いていました。一定の反響も得られたと思いますが、タテ型ならもっと成果も上がりそうです。『TikTok』向けのタテ型動画の検討を始めています」(何氏)
この結果を基に、アイフルは、プロモーションの認知拡大に最適なインフィード広告「BrandAuction(ブランドオークション)」を今年5月から定常的に配信をスタートした。新CM「現代文講師」篇でも「TopView」を実施するなど、継続的にTikTokでの取り組みを強化している。また、広告出稿だけでなく、ビジネスアカウントの本格的な運用も視野に入れる。「アイフルのブランディングを実施するプラットフォームでの一つの挑戦として、活用していきたい」と話すのは徳永氏だ。
同社の重要目標達成指標(KGI)は、契約利用者数で1位となること。それを達成する上での成功要因として外せないのが純粋想起でトップ、すなわち第一想起にアイフルが挙がるようにすることだ。
「集客については昨年度1位となったものの、ご利用契約者さまの数においては、まだ盤石とは言えません。トップとしてのポジションを築いていく上でも、TikTokの活用が必要と考えています。タテ型コンテンツの制作だけでなく、ビジネスアカウントでの発信も含めて、PDCAを回しながら活用したいと考えています」(徳永氏)
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