体験型店舗「b8ta(ベータ)」を展開するb8ta Japanが、2022年末からの本格的な事業展開に向け、ローカライズを進めている。日本の来店者ニーズに合わせ、スタッフ数の増員や接客方法を見直すなど、旧米国本社との違いも鮮明になってきた。
店舗を運営するb8ta Japanは現在、東京・有楽町、新宿、渋谷と、埼玉・越谷の4店舗を展開する。1店舗あたり毎月約1万人の来店がある。来春には大阪に常設店舗をオープンする予定だ。10月12〜16日には、名古屋駅JRゲートタワー1階でポップアップストア(期間限定店)を実施。日産の電気自動車「日産サクラ」などが出品した。
「b8ta」は2015年、米国で生まれた。新製品へのユーザーの反応などを知りたいメーカーに対し、店頭スペースを貸すことで収益を得てきた。国内では20年8月に店舗を構えたが、翌9月に日本の子会社が米国本社との資本関係を解消。ことし2月に事業運営に必要な権利を買い取り、独立運営を始めた。
日本向けにローカライズした店で最も意識したのは、店舗スタッフの人数と接客方法だという。ベータ・ジャパンの広報担当者は、「日本のお客さまは、来店してすぐ声をかけられるのを嫌う一方、聞きたいことがある場合は手厚くじっくり対応してほしいという独特なニーズがある」と話す。
国内客の心情に合わせ、日本の各店舗では、かつての米国の店舗の基準を大きく上回る数のスタッフを採用した。評価基準は、売り上げや販売個数ではなく、「顧客から良質なフィードバックをどれだけ得ることができたか。それが出品企業の皆さまにとって意思決定や改善につながるか」(同)。来店者の質問に答えられるなど、製品知識も重要で、スタッフの育成にはトレーニング担当が店長と連携して当たる。学習の進み具合を視覚化するツールも活用しているという。
国内では2025年までに8~10店舗の出店を目指すほか、アジアの他地域への進出も計画する。視野に入れているのはタイや台湾、韓国などだ。
「23年以降、まずは期間限定店舗として進出し、現地の消費者意識をつかみたい」(ベータ・ジャパン広報担当者)