学生の言葉を未来へのメッセージに
10月1日、工学院大学新宿キャンパスの地下に創立135周年の記念展示が登場した。全長12メートルのディスプレイ空間の中央に位置するのは、大学を象徴する「K」の立体ロゴ。このロゴを境に左側には135年の歴史が、右側には未来に向けた学生たちの言葉が流れていく。鉄柱とセンサーを用いた巻き物機構と映像モニターを組み合わせ、動きのある表現を可能とした。
「歴史を振り返るだけでなく、未来に向けた宣言の部分をどう表現するかが課題でした。加えて、工学院大学には『工の精神』が受け継がれている。私たち博展も“ものづくり”への思いが共通することから、機械的な動きと視覚的な驚きのある展示を目指し提案しました」。そう話すのは、博展 空間デザイナーの関真美さんだ。
今回は4種の透明ペットシートに過去の写真や文字情報を印刷。このシートを8本の鉄柱を軸としてセンサーで上下平行に左から右へと動かすことで、過去から未来へと進む流れが明確になった。
これらの機構や電子制御を手がけたのは、博展のテクニカルディレクター 三谷悠人さん。「工学や建築を学ぶ大学なので、あえて鉄柱などをむき出しで見せているのもポイント。センサーなどの動きが気になる学生さんもいるようで、仕掛け自体にも興味を持ってもらえたら」(三谷さん)。
実現にあたり、工学院大学で建築を学ぶ1~2年生が所属する学生プロジェクト「WA-K.pro」のメンバーも参加した。右側の「未来」パートの言葉の数々は、「将来の夢、どんな未来を生み出したいか」「未来に向けたメッセージ」をテーマとした学生向け調査の回答を組み込んでいる。「AIロボットで介助者を助けたい」「日本のコルビュジエになる」といった思いや、先進工学を学ぶ学生らしく環境汚染やインフラの問題に踏み込む内容などさまざまだ。
「一部の学生の皆さんには博展の制作スタジオで仮組みの様子やモックアップを見てもらい、テンションが上がっている様子を見て僕らも嬉しかったです。中央の『K』の立体ロゴのアイデアも、学生の皆さんに提案してもらったもの。設営にも加わってもらいました」と説明するのは、今回のプロダクトマネジメントを担当した博展 熊崎耕平さん。「K」のロゴは過去の粒子をグリッドで表現し、過去から未来へと連なっていくモチーフとしても機能している。
この展示は今後一年間、展開される予定。卒業式や入学式といった節目にはコンテンツを拡張することも検討している。
- 企画制作
- 博展
- D
- 関真美、伊藤響
- デジタルインテグレーション
- 三谷悠人、久我尚美、金兌妍
- プロジェクトマネジメント
- 村松加奈江
- プロダクトマネジメント
- 熊崎耕平、林佳雯
- 制作
- 田草川貴、河本洋介、北岡花都、齊藤能斗也
- 機工
- 鈴木章久(蒼天)、小島鉄工
- サイングラフィック
- 小林大介、フォトビション・ジャパン
- 企画・制作協力
- WA-K.pro(工学院大学 学生プロジェクト)
博展
人と人、人とコトが出会い、そして未来が動き出す。博展は、そんな唯一無二の“体験”を生み出すために、“コミュニケーション”に関わるさまざまな「表現」「手段」「環境」を“デザイン”しています。