あらゆる「体験」を生み出す会社へ
右脳事件は2021年10月、「映像制作の会社から、媒体を問わず体験コンテンツ全体のエクスペリエンスデザインを担う会社に進化する」という将来像に向け、新たな5カ年計画を打ち出した。代表取締役の影山二郎さんによると、従来型の16:9といった映像のフレームに留まらない、クリエイティブへの挑戦を意味するという。
「具体的には、従来型の動画である“Frame”、空間デザインの“Space”、メタバースやXRなどの“Virtual”、イベントなどを含む複合的な演出である“Composite”、運用を含むクリエイティブ全般のコンサルティングの“Consultation”という、5つの重点領域を掲げ、新たな知見やノウハウ、スキルを今後5年で伸ばしていく方針になります」と影山さん。同時期には、社内組織も変革した。プランナー、プロデューサー、ディレクターといった役割ごとに縦割りだったチームを、現在は職種を横断して人材を配置した3ユニット制に変更している。
影山さんは「今後は肩書に捉われない役割が求められるため、一人ひとりが領域を超えてマルチに活躍し、アイデアを出してもらいたい」と組織変革の狙いを明かす。今回登場するディレクター/カメラマンの信江祐紀さん、プロデューサー/プランナーの森永悠仁さんについては「これらの新たな方針のもと、広い分野のスキルや知見を身につけていく可能性を持っている」と評価。2人は現在の所属ユニット内でも、マネージャーやサブマネージャーとして、メンバーを牽引する存在でもある。
皆で課題と向き合う「一体感」を大事に
2014年に新卒で入社した信江さんは、倉敷芸術科学大学出身。大林宣彦監督が客員教授を務めていた縁もあり、在学時から大林監督の撮影現場に出入りしていた。その経験を経て映像を仕事にすることを決意。「広告は映像の表現の幅が広い。より短いスパンで完成したときの達成感があり、多くの作品に関わることができるのでは」との思いから、新卒で右脳事件に入社した。
入社後は企業のドキュメンタリー案件などを手がけ、撮影からインタビューまで自ら担当。取材対象の魅力や思いを紡いでいくことを得意とする。最近では企業のプロモーション案件を担当することも増え、学生への認知度アップを狙った太陽誘電の採用プロモーション動画では、就活中の男性と彼女を主人公にしたシリーズのディレクションを担当。現在はシリーズ第3話の制作を開始したところだ。
「撮影現場で大事にしているのは、セッション感やコミュニケーション。皆で一緒に課題と向き合っていこうという、一体感のある空気をつくることを目指しています。時には、撮影現場で芸人さんのように“前説”をすることも(笑)。ディレクターとして、企業の担当者と直接対話しながら現場を盛り上げていくようにしています」と信江さん。クライアントや代理店、制作会社といった立場の区分なく、誰もが楽しみながらプロジェクトに関わることができる雰囲気を大切にする。
信江さんが手がけた仕事
企画制作から広告運用まで広く提案
プロデューサーの森永さんは武蔵野美術大学出身。映像学科で映画を専攻し自主制作もしていたが、信江さんと同様に広告に興味を持ち、新卒ではアマナに入社。CM制作のアシスタントを2年経験した後、 2017年に右脳事件にジョインした。学生時代はディレクター志望だったが、企業との直取引の仕事を経験する内にプロデューサーとして広告制作に関わるやりがいを体感する。そのひとつが、2019年に手がけた大手ネット証券の認知向上と機能理解を狙った商品プロモーション動画の企画だ。
「自分の力を総動員した思い入れのある仕事です。責任者として自らプレゼンした提案内容を評価いただき、社内のマーケタ ーと広告運用のメディアプランも提案しました。結果として、YouTubeやFacebook、TwitterなどのSNS広告やタクシー広告などにも出稿。ブランドリフト調査の数値も手応えがあり、第二弾動画の制作にもつながりました」(森永さん)。商品の売上やコンバージョンなどの数字にも目を配るなど、プロジェクト全体の責任を負った経験によって、仕事の幅が広がった。
「映像制作の仕事はそれぞれの専門職から成り立っていますが、誰でも映像がつくれるようになった今では、制作物の質の高さだけで世間の反応が得られるわけではありません。制作面のプロデューサーでありながら情報を届けるためのコンサルティングができるようにもなりたいですし、時には映像以外の解決策を提案していくことで、最適解を導いていきたいです」と森永さん。このような実感から、「エクスペリエンスデザイン」を目指すという会社の方向性にも納得感があるという。
森永さんが手がけた仕事
「いいクリエイティブ」の一歩先へ
右脳事件は企業ビジョンとして、「Take FUN,Make FUN.」を掲げてきた。代表である影山さんの「社会のために働くことも大事だけど、まずは自分自身が楽しく、ハッピーだと感じられる楽しい作品づくりをしていこう。それによって右脳事件のFANを獲得していこう」という思いが込められている。
その思いは若手のメンバーにも受け継がれている。「僕らはあらゆる仕事で、FUNを生み出すことを大事にしています。いいクリエイティブをつくるのは当たり前のこと。一つひとつの仕事で、自分自身や会社にとっての FUNをつくれるかにこだわっていきたいですね」(信江さん)。
信江祐紀(のぶえ・ゆうき)
右脳事件 ディレクター/カメラマン。1991年生まれ。倉敷芸術科学大学芸術学部映像学科卒業。新卒で2014年入社。
森永悠仁(もりなが・ゆうじん)
右脳事件 プロデューサー/プランナー。1992年生まれ。武蔵野美術大学映像学科を優秀賞で卒業。アマナを経て、2017年入社。
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