日産、SAに顧客接点 EVオーナーに無料で水なし洗車

日産自動車はNEXCO中日本と共同で、電気自動車(EV)オーナー向けのサービスを期間限定で提供する。コロナ禍で減った、消費者との直接の接点として活用する。ことし2月にもオーナー向け施策を打っており、約2000人が体験している。

機動洗車隊が水なし洗車


日産がEV所有者向けに提供する水なし洗車サービス
日産がEV所有者向けに提供する水なし洗車サービス

サービスエリア(SA)でEVを充電している間の待ち時間に洗車サービスとドリンクを提供する。いずれも無料で、日産以外のEV所有者も対象。

洗車は環境に配慮し、排水を出さないようにした。担当は「機動洗車隊」。フランチャイズの出張水なし洗車サービスで、KCBプランニング(岡山市)が運営する。ガソリンスタンドや洗車場が減る中、需要が増しているという。

期間を分け、東名高速道路・足柄SAと新東名高速道路・岡崎SAで実施する。いずれも上り。足柄SAは10月27日〜11月9日、岡崎SAは11月17日〜30日。オープン時間は午前9時〜午後5時。


レストラン「sio」の鳥羽周作シェフが監修したオリジナルドリンク
洗車サービスを受ける間に、無料のドリンクを提供する。レストラン「sio」の鳥羽周作シェフ監修

発表会に登場した女優の小雪さん
発表会には女優の小雪さんが参加。「使う洗剤も天然由来で、環境への配慮を感じさせる」と話した

リアル接点の重要さ増す

EV所有者向けの優遇サービス「GREEN PASS」の第2弾。日産自動車日本マーケティング本部ディビジョンゼネラルマネージャーの増田泰久氏は今回の企画について、「コロナ禍でリモートやデジタル施策が主流になった。一方で、お客さまとの交流の場が減っており、リアルでの接点の重要さがこれまで以上に増している」と話す。


2022年2月から1カ月間設置したEV所有者限定のラウンジ
海老名SAに2022年2月から1カ月間設置した、EV所有者限定のラウンジ

「GREEN PASS」は第一弾企画を2022年2月から約1カ月間、東名・海老名SA下りでEV所有者限定のラウンジを設置。約2000人が利用し、1時間以上の待ち時間が発生するなど盛況を収めた。

「ほかの地域でも展開してほしいというご要望が、第二弾の後押しとなった。今後も直接のタッチポイントを増やしていきたい。お客さまの反応を見て、となるが、第3弾も実現できるとよい」(増田氏)

日産の背後に迫る外国車


日産と輸入車の国内のEV販売台数の推移を示したグラフ
国内のEV販売台数では2021年から輸入車が大きく伸ばしている

増田氏は、「日産は過去11年間、国内でEVナンバーワンのリーディングカンパニー」と話す。しかし、近年では輸入車のEVの伸長も目立つ。

日本自動車販売協会連合会の燃料別販売台数(乗用車)によると、直近の22年9月時点の日産のEV販売台数は1263台で、前年同月比86.9%。輸入車合計のEV販売台数は同比3倍超の1965台で、日産を上回った。2021年通年では、輸入車EVは前年比で約2.7倍の8605台に伸長、22年もそれを上回る勢いで推移している。


日産の軽自動車EV「サクラ」の発表会
22年6月に発売した軽自動車EV「サクラ」は好調だ。EVと比較的短距離で乗り回す軽自動車の相性はよい(写真=ZUMA Press/アフロ)

中国企業の国内進出も間近だ。2023年1月にはBYDが乗用車の販売を始める。BYDは22年1〜6月、EVのほかプラグインハイブリッド車や燃料電池車を含めた新エネルギー車で約64万台を販売し、世界でもトップに躍り出た。日本でも、すでにEVバスで約7割のシェアを持つ。

日産は22年6月に「サクラ」の名称で、軽自動車EVを発売。9月までに1万2942台を販売し、10月で受注は3万台を超えたという。輸入車の足音が背後に迫る中、EVでの存在感を確かなものにしたい考え。


 

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