またボードメンバーは自身が考えるマーケティングの課題について、同じ問題意識を持つメンバーと集まって分科研究会を結成。半年かけて議論を重ね、その成果は11月10日、11日の2日間かけて開催される「CMO X FORUM」の場で発表されます。
ここでは各チームのこれまでのディスカッションの内容についてレポートしていきます。
コロナ後のオンライン・オフラインを統合した体験設計の在り方とは?
鈴木健氏がリーダーとなるチームでは「CMO X EXPERIENCE」をテーマに議論を重ねてきた。コロナ禍ではリテール業態を中心に、顧客接点が失われる事態に。この状況下において、企業のDXも促進。顧客と接点を取るべくデジタルシフトが加速することとなった。
しかし、再び顧客とのリアルな接点も復活するなかで、リアルとデジタル、さらには新たに起こりつつあるバーチャル空間をも組み合わせて、いかに自分たちならではのブランド体験を実現するか。これまでにないブランド体験の設計が求められている。
本研究会では、そんな現在進行形で進む課題に対して、異なる商材・業態のブランド担当者が集まり、議論を重ねている。
リーダーを務める鈴木氏はニューバランスジャパンに所属している。同氏は研究会の冒頭で設定したテーマについて次のように説明した。
「私が所属するニューバランスは矯正靴からスタートしたブランドで、現在も一人ひとりのお客さまの足形に合ったスニーカーを提供する姿勢が継承されている。そこで店舗では、3Dスキャナーを活用した足形の計測を行っているが、オンラインの接点ではこうしたブランドの姿勢を感じてもらえるような体験は、実現が難しい。この研究会では、皆さんのブランドにおいて、オンライン上で自分たちならではの強みを感じてもらえる体験をどう提供しようと考えているのか。またそこでの課題となっていることは何か。オンラインとオフラインの接点を組み合わせたブランド体験をどう構築しようと考えているか、など議論していきたい」。
研究会の参加メンバーには実店舗に強みを持つブランドを担当するマーケターの他、オンライン発のブランドながら、リアルの場での体験提供に挑戦してきたマーケターもおり、統合的なブランド体験を考える上で、異なるアプローチをとっている。それだけに同じテーマでありながら異なる課題感が提示されていく。
オンラインでの販売チャネルを中核に据え、日本において一気にブランドを浸透させたコアラスリープジャパン。国内D2Cブランドの成功事例として有名な「BOTANIST」などのブランドを展開するI-ne。デジタルの活用でブランドを成長させてきたが、成長の途中では、リアルの場でブランドを体験できる機会づくりに力を入れている。
また実店舗だけでなくECへと販路を 拡 大 し て き た、「AKOMEYATOKYO」と、魅力的なブランドを担当する3社が集まった本研究会。統一的な解は見いだせないであろうテーマではあるものの、これからの体験設計の在り方について、ひとつの考え方を提示できる発表になりそうだ。
【参加者】
ニューバランス ジャパン
マーケティング部 ディレクター
鈴木 健 氏
I-ne
BDマーケティング本部 執行役員
今井 新 氏
Koala Sleep Japan
マーケティングディレクター
尾澤 恭子 氏
AKOMEYA TOKYO
マーケティング部 部長
柘野 英樹 氏