またボードメンバーは自身が考えるマーケティングの課題について、同じ問題意識を持つメンバーと集まって分科研究会を結成。半年かけて議論を重ね、その成果は11月10日、11日の2日間かけて開催される「CMO X FORUM」の場で発表されます。
ここでは各チームのこれまでのディスカッションの内容についてレポートしていきます。
マーケターはカルチャーとどう関わるべき?
長田新子氏がリーダーとなるチームでは「CMO X CULTURE」をテーマに議論を重ねている。長田氏は前職のレッドブル時代に「CMO X」の活動に参加。当時から音楽やストリートスポーツなど、 カルチャーを支援するなかで、その カルチャーのなかにある「シーン」 を捉え、レッドブルの飲用シーンを開拓。単なるスポンサーシップとは異なるブランドとカルチャーのコラボレーション事例を国内でつくったパイオニアだ。
現在は、産官連携しての渋谷の街 のブランド力強化の取り組みを行っており、その文脈においても捉えどころのない「カルチャー」をテーマ にマーケター同士で議論をしたいと の目的で発案された。
企業はプロダクト・サービスのマーケティング活動を通じて、新たなライフスタイルを提案・浸透させてきた。それゆえ、広告そしてプロダクトが、その時々の文化をつくってきたと言っても過言ではないかもしれない。しかしプロダクトの機能だけでな く、その背後にあるブランドとして の思想や価値観も含めて、生活者がブランド選択の指針とするように なっている今、瞬間的な消費トレンドという意味での文化ではなく、会資産としてストックされる文化へ の貢献も検討するべきではないか。そんな問題意識の提示のもと、メン バー同士のディスカッションは始まった。
分科研究会では「文化」、「カルチャー」という言葉は人によって定義も異なるため、各自の考える文化の定義について発表しながら、議論の方向性をすり合わせていった。
葦原氏からはマーケティングが関わる文化には、文化事業(芸術、スポーツなど)、社内文化(風土、バリュー)、新しい文化(世界観、価値観)の3つがあるのではないか? との提示があった。
これに対し、メンバーからは「文化事業とお金を稼ぐことは相容れな いという意識が強いのでは?」「従来の協賛とは違い、レッドブルの事例のように双方がWin-Winとなる 文化事業の主体と企業の関わりを検討できないか?」といった意見が出てきた。
文化創造の拠点となる学校法人に 所属する世耕氏、スポーツの担い手側から企業の協賛・協力のための働きかけも行う葦原氏、スポーツさらに最近ではVTuberコラボなど、企 業のマーケティング活動のなかで、 社外の文化との連携を模索する角田 氏、ファンベースの専門家の津田氏と多様なメンバーが集う研究会。「企業が文化に感じる魅力とは、 そのコミュニティの熱量にあるので は?」という観点から、議論が進められている。
【参加者】
渋谷未来デザイン
理事 事務局長
長田 新子 氏
日本ハンドボールリーグ
代表理事
葦原 一正 氏
近畿大学
経営戦略本部 本部長
世耕 石弘 氏
ファンベースカンパニー
代表取締役社長
津田 匡保 氏
ロート製薬
マーケティング&コミュニケーション部 部長
角田 康之 氏