明治が展開する販促施策が成果を収めている。活用しているのは、楽天が提供するサービス「Rakuten Pasha」だ。ラクトアイス「明治 エッセルスーパーカップ」をはじめ、チョコレートやアイス、飲料を展開する「オリゴスマート」などの明治の各ブランドで実施した結果、ほぼすべてにおいて、高い新規購入率を記録したという。
「Rakuten Pasha」は、ユーザーがスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで対象商品を購入したレシートを撮影、送付すると、楽天が提供するポイントプログラム「楽天ポイント」が獲得できるサービス。企業は実店舗における自社商品の販売促進を目的としたプロモーションに活用することができる。デジタル施策のため、訴求したいユーザーを設定することも可能だ。
導入を決めたのは、明治の関東支社。1都6県と信越エリアを対象として明治ブランドの営業活動を担う。売上規模は全体の約40%を占める、旗艦的な位置づけだ。「Rakuten Pasha」によるクーポン施策の採用時、明治関東支社の塚本菜月氏の念頭には、新型コロナウイルス感染症の拡大があった。
「コロナ禍以前の販促施策は、店頭での試食やサンプル配布などの無料トライアルが主流でした。しかし、非対面、非接触が推奨されるようになり、そうした施策は実施しづらくなってしまったのです。特にトライアル客の獲得を絶やすことは、ブランドの将来にも大きく響いてしまいます。何か次善策を講じなければならない、という課題感がありました」(塚本氏)
「Rakuten Pasha」の利点のひとつは、ほぼすべてがスマートフォンで完結するという点だ。利用者が予め買いたい商品のクーポン「トクダネ」をスマートフォン上で取得後、普段通り購入した後、そのレシートをスマートフォンで撮影、送付というフローの中で、小売店側が新たにスタッフに求めなければならないアクションや、会計時にスマートフォン画面を見せたりタッチしたり、という購入者側の手間もない。
「『Rakuten Pasha』における『トクダネ』は、コロナ禍で顕在化した小売店やユーザーのニーズに合っていたこともご評価いただいているポイントになります」と話すのは、「Rakuten Pasha」の事業責任者を務める山口高志氏だ。
「というのは、コロナ禍で購買行動は大きく変化し、来店者の店頭滞在時間は短くなっているうえ、エッセンシャルワーカーである店頭スタッフのオペレーションの負荷軽減が急務となりました。販促におけるステークホルダーの労力を極力省くことが重要となっています。また、『Rakuten Pasha』は単なる割引というよりも、ユーザーに購買をより楽しんでもらい、お得さを感じていただけるよう、ポイント付与の形を採用しています。『楽天ポイント』をフックにトライアル機会を創出できれば、明治さまの課題解決につながると考えました」(山口氏)
明治関東支社限定だった「Rakuten Pasha」施策だが、全国の支社でも実施されるように。火付け役は、「オリゴスマート」だった。「オリゴスマート」は2019年に発売したチョコレート菓子をはじめ、現在では、アイスや飲料なども展開する横断型のブランドとなっている。砂糖の半分のカロリーの「フラクトオリゴ糖」を用いているのが特徴だ。
「『オリゴスマート』の直近の目標は、認知度の向上でした。『Rakuten Pasha』上での『トクダネ』の訴求だけでなく、専用のランディングページも用意した結果、『Rakuten Pasha』経由での購入者の9割が新規購入者となりました。健康志向の高い商品は、その価値をしっかり訴求することが重要で、その役割を特集ページが果たしたと考えています」(塚本氏)
「オリゴスマート」における販促効果と、それを実証するデータが明瞭であったことが、ほかの事業所でも導入される際の決め手となった。後者のデータこそ、「Rakuten Pasha」のもうひとつの特徴だ。楽天サービスの共通IDである楽天IDを介することで、実店舗の購買でもECでの購買さながらに、顧客理解を深めることができる。
「楽天はレシートを通じた実店舗での購買実績データを蓄積しており、データを分析していくと、例えば、女性をメインターゲットにした商品を男性が購入することや、その逆もまた見受けられることがあります。その場合、仮説で定めたメインターゲットとは異なるユーザーが購買者や消費者になっている可能性も考えられます。販促で実需を生み出しながら、実際にどんな人が買っているのかを起点に、マーケティングのPDCAを回すことで、楽天のアプローチから購買実績だけではわからないユーザー像を深く掘り下げていくことも可能です」(山口氏)
「実際に購入した層の分析結果は、私たちも今後の企画立案に非常に役立つと考えています」(塚本氏)
楽天IDに基づくデータ分析は、楽天側で対応する。データマネジメントプラットフォームを持たない明治にとって、「楽天が蓄積する消費行動分析データを活用できるのも優位点」だと塚本氏は話す。
「クライアントの皆さまには施策立案・実施に注力いただくうえでも、当社がデータ面でもサポートすることには大きな意義があると考えています。1億以上(2022年6月時点)の楽天会員からなる顧客基盤と70以上のサービスを活用して、オンライン・オフライン双方の消費行動分析データを蓄積している楽天ならではの強みで、今後も明治さまのさらなる発展を後押ししていきたいと思います」(山口氏)
自社だけでデータを蓄積、分析するのは、それなりに時間と労力を要する。個人情報保護のための手立ても必要なうえ、自社で得られるデータ以外の収集、紐付けなどにもコストがかかる。データを用いるなら、楽天が各種サービスを通じて蓄積する顧客の消費行動分析データを楽天IDに基づき分析すればよい、というのが明治のアプローチだ。
「今後販促施策のスケールが拡大していくと、消費行動分析データに基づいてユーザーセグメント別に継続的な購買動機付けをするような、いわゆる『Always Onマーケティング』の展開ができるようになればと期待しています。さらに、店頭のデジタルサイネージやビーコンなど、店内接点とつながる体験が作ることができれば、施策効果がより高まるともみており、今後の展開が楽しみです」(塚本氏)
「『マーケティングを行う上で、ECで当たり前のことが、オフラインでも当たり前になる。』2019年から、そんな世界観をもって進めてきました。対象店舗で会計時に『楽天ポイントカード』または『楽天ポイントカード』機能が搭載されたアプリを提示することによって、レシート画像の送付をせずに『楽天ポイント』を獲得できる『らくらく申請』という機能も追加し、これから販促施策の規模拡大が予想されます。それを前提に、セグメント別の継続促進プログラムなど、ご期待に応えられるよう、より一層取り組んでいきます。
並行して、ユーザーがあってこその取り組みなので、例えばユーザーが申請したレシートデータをもとに過去に取り扱いのあった店舗を表示することで、商品を見つけやすくする『ここで売ってテン!』機能など、ユーザーにとって利用しやすく、ついつい楽しくなってしまうような体験の強化を図っていきます。」(山口氏)
デジタル化が加速化するオフライン領域。そう遠くない将来に、オンラインとオフラインの垣根がない、まさにOMO型マーケティングが当たり前になるのではないか。
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