前年割れは4カ月連続に
広告業の2022年9月の売上高は、前年比8.7%減の4668億2900万円だった。前年割れは、ことし6月から4カ月連続となった。11月10日、経済産業省が速報値を発表した。サービス動態統計室によると、前年のオリンピック・パラリンピックの反動が続いているという。雑誌広告は13カ月ぶり、交通広告は4カ月ぶりの増加を見せた。
広告業売上高は、2020年4月にコロナ禍で打撃を受け、水準が低下。21年7月まで回復が見られたものの、同年8月から減少傾向にある。
テレビの減少傾向が続く
テレビは、前年同月比8.2%減の984億0100万円だった。8月に続いて1000億円を下回った。タイムでは「情報・通信」「家電・AV機器」「飲料・嗜好品」などが減少。スポットでは「情報・通信」「飲料・嗜好品」に加え、「流通・小売」が下がった。
テレビは2020年5月、水準の変動=レベルシフトが生じ、全体的に低下。東京オリンピック・パラリンピックが開幕した21年7月に向けて復調を見せていたが、同月を境に減少トレンドが続く。前年割れはことし9月で10カ月連続となった。
そのほかのマスメディアは、新聞が2カ月連続減で、前年同月比5.5%減の152億6300万円。「出版」「薬品・医療品」「自動車・輸送機器関連品」が減少。雑誌は13カ月ぶりの前年増で、同比10.6%増の4420億円となった。「ファッション・アクセサリー」「化粧品・トイレタリー」「金融・保険」などが増加した。ラジオは10カ月連続減。同比4.7%減で、27億6700万円だった。「情報・通信」「自動車・輸送機器関連品」「流通・小売」などが減少した。
ネットの成長率、低下
インターネットは前年同月比2.2%増の1137億4800万円だった。「外食・各種サービス」のほか、「情報・通信」「金融・保険」などが増加した。24カ月連続の増加。
長期データでネットをみると、成長率はコロナ禍前より下がっている。21年6月〜22年9月の月間平均成長率は約0.8%。コロナ禍前(13年1月〜19年12月)は同1.4%だった。
屋外広告は2カ月連続の増加で、前年同月比12.8%増の35億2200万円だった。「流通・小売」「情報・通信」「外食・各種サービス」などが増加した。交通広告は4カ月ぶりに増加し、前年比1.2%増の85億5600万円。「飲料・嗜好品」「情報・通信」「趣味・スポーツ用品」などが増加要因となった。「折込み・ダイレクトメール」も2カ月連続の増加。「流通・小売」「交通・レジャー」などが寄与した。
海外広告は2カ月連続の減少で、前年同月比81.8%減の16億5400万円に。「自動車・輸送機器関連品」のほか、「官公庁・団体」や「趣味・スポーツ用品」なども減少した。「SP・PR・催事企画」も2カ月連続減。同比11.1%減の630億7500万円となった。「官公庁・団体」「自動車・輸送機器関連品」「情報・通信」などが減った。
日銀が10月27日に発表した、9月の企業向けサービス価格では、インターネット広告が前年比7.1%増加した。雑誌広告は同比5.9%増、テレビは同比2.3%増。一方、新聞広告は同比3.5%減だった。広告全体では同比2.9%増で、全体の押し上げ要因となった。