BtoBマーケに効くCxOレター 大手の活用増える「letable」

新規顧客を獲得するため、あえてアナログの〈手紙〉を用いる企業が現れ始めた。サービスを提供するletable(レタブル)は、BtoB上場企業も活用しているという。髙橋直也・代表取締役は、「ハイクラスの方への到達率が、デジタル手法と比べてかなり高い」と話す。

letableが提供する「CxOレター」サービスは開始当初、BtoBのSaaS企業が新規開拓を目的に、決裁者とのアポイントを獲得するために用いることが多かった。しかし、高橋氏は「最近は、ほかのBtoB業種でもウェビナーや展示会などへの集客といった、より手前の段階で活用するケースが増えてきました。規模も新興企業だけでなく、大手上場企業で採用されるようになってきています」と話す。

letable 代表取締役の髙橋直也氏
letable 代表取締役の髙橋直也氏。金融機関で株式や投資信託の営業をする際、手紙をフル活用してきた経験を生かし、letableを立ち上げた

理由は獲得率の高さと、到達できる顧客の職級にある。「決裁権のレベルが高い方にお会いできる傾向が強いとご評価いただいています。結果、テレアポなどほかの施策と比べて、最終的なコンバージョン率がかなり高くなることが特徴です」(高橋氏)

決裁者にアプローチできるのが、アナログの手紙を用いる「letable」最大の利点だ。ハイクラスであれば自ら手紙を受け取ることは少なく、秘書や総務部などが一括して集め、取捨選択することがほとんど。ダイレクトメールならその時点で弾かれかねないが、封筒に手書きの宛名、手貼りの切手といった手紙は、本人の手元へ届く可能性が高い。

「letable」を用いてCxOレターを送付した場合、商談化率でみると平均で1%、ウェビナーの集客で言えば、最小で見ても3%強という。しかし、商材や内容によってもブレがある。「SaaSで言えば業界に特化したもののほうが成果は上がりやすく、商談化率でも5%など。ウェビナーでも10%を超えることがあります」(高橋氏)

スパムだと誤解されないか?
年間数万件にも及ぶCxOレターを送るletableだが、その分、異なるクライアント間で送付先が重複したり、スパムだと思われたりしないか――といった懸念は浮かぶ。そして、もちろん、そういった事態にならないように対策を講じている。たとえば直近に送付した宛先はリストから外し、時期をずらす、などだ。
「受け取る側の気持ちが高まることが最優先。必要あれば、受注を辞退させていただくこともあります。リストや時期は、いずれも先にご発注いただいたお客さまを優先しています」(高橋氏)
宛名は手書きと印刷、どちらが効果ある?
letableで、CxOレターを送付する際、宛名は「手書き」が最も良い数字となった。資料ダウンロードが可能な二次元コードを同封したところ、「手書き宛名」からのダウンロード数は、「手書き風印刷」の1.5倍、「一般的なフォント(游明朝体)での印刷」の2倍以上となったという。
手書き、手書き風印刷、一般的なフォントによる印刷
手書き、手書き風印刷、一般的なフォントによる印刷。手書き風印刷よりも手書きのほうがスコアが良くなった
宛名は筆耕でないと効果減?
letableの場合、字の上手い、下手でアクション数は変わらなかった。「手書きしていることが大切」と高橋氏は話す。letableでは、書道の有段者であるスタッフがすべて手書きしている。
切手は手で貼る? 後納?
市販の切手を1枚、1枚、手で貼った「CxOレター」のほうが、料金後納郵便よりもアクション数が2倍に。「人の手によって送られている」という印象を強めることが、決裁者の手元まで手紙を〈生き残らせる〉カギだ。

切手と料金後納郵便の比較
手で貼った切手と料金後納郵便では前者のほうがスコアが良い。しかし、担当者自身で行うのは現実的ではないはずだ

決裁者の目に留まる手紙を送り、リアクションを得るためには、アナログならではの煩雑さがある。「letable」は、CxOレターにまつわる諸業務を一手にアウトソーシングできる利点がある。

letableで送付する手紙のサンプル。宛名を手書きにするほうが到達率は良くなる。
letableで送付する手紙のサンプル。宛名を手書きにするほうが到達率は良くなる。しかし、数百通も送るとなると、かなりの労力を費やすことになる

たとえば手書きの宛名や手貼りの切手以外にも、リスト管理、送付タイミング、手紙の内容、送付後の電話やフォーム送信などのフォロー、反響の測定など。文面のカスタマイズ3パターンで、300通で27万円(税込、フォローアプローチは別)のプランと、事前に取り決めた100社に対し、文面をすべてカスタマイズした手紙を月に3通送る月額3万3000円のプランがある。

いざ書こうとすると詰まるのが内容だ。1社、2社ならともかく、100社単位となれば追いつかなくなる。letableでは、クライアントとのミーティングで送付スケジュールや訴求点を決めた後、送付先リストや手紙の文面を作成する。

「たとえばターゲットとする企業の中期経営計画などを見ると、この先3年〜5年といった視野で何を目指していくのかがわかります。『letable』で送るレター内で訴求するサービスは、そうしたビジョンにどう貢献しているのかなどを記していきます」(高橋氏)

月額制のカスタマイズプランなら、ターゲットに手紙を送るのに適切なタイミングを日次〜月次といったスパンで追跡する。季節要因としては四半期や上期、下期、年度替わりなどの企業が新しく施策を検討する節目、人単位・部署単位でも異動や組織改編が生じる。新事業や新商品の発表も、送付に値する出来事と言える。

letableでは現在、年間で数万通の手紙を送付している。それによりノウハウが蓄積され、より成果を出せる文面や送付方法、フォローの仕方などの改善にもつながっているという。自社で実施するとなると、どうしてもPDCAサイクルが1回転するのに時間がかかってしまう、というのも難点だ。

高橋氏は「内容だけでなく、書き方も大事なポイント」と指摘する。同氏自身が、前職の金融機関で株式や投資信託の営業をする際、手紙の力をフルに生かしてきた知見の持ち主でもある。

手紙には、差出人の顔写真や連絡先をまとめ、さらに資料を置いたURLの二次元コードを記載したカードも同封できる。二次元コードにどれくらいアクセスされたか、で効果測定も可能だ。高橋氏によると、単に名刺を入れるのと、カードとでアクション率が1%弱変わってくるという

「私が当時お客さまとしていた皆さまもそうでしたが、代表者や役員クラスは50〜70歳代の方が多く、また、多忙の方がほとんどです。ご本人に封を開けていただけたとしても、読む価値があるかが一瞬で判断されます」(高橋氏)

内容をひとめでわかってもらうための工夫や、文章として洗練されているか、言葉遣いは正しいか、という点も印象を左右する。「letable」では、受け取った企業のほうから、手紙の完成度について褒められるケースも出てきた。

相手と自社の関係も重要だ。すでに一度提案を入れているのであれば、その後の検討状況はどうなっているか。以前断られた企業であれば、そのポイントは何だったか、既存顧客ならいまの商品の使用状況は……など。

「ほかの手法でも同じだと思いますが、押し売り的なコミュニケーションでは成果が出づらいものです。お客さまの状況をくわしく共有いただければいただくほど、手紙というアプローチは有効になっていきます。独立した施策というよりは、BtoBマーケティングの大枠の中で、CxOレターは、ひとつの地位を占める手立てだと思います」(高橋氏)


お問い合わせ
株式会社letable
住所:〒151-0061 東京都渋谷区初台1-51-1
TEL:03-6271-8666
WEB:https://www.letable.jp/
EMAIL:info@letable.jp


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