※月刊『宣伝会議』2022年12月号(11月1日発売)では、「メディアDX――アナログメディア×テクノロジーで活用が広がる!」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
Hivestack Japan
ディレクター
片岡裕紀氏
国産データベース暗号化ソフトウエアのベンチャーにプログラマーとして入社、プレセールスを経て経営に参画。アプライアンスメーカーでクラウドストレージとセキュリティ製品のプロダクトマーケティングに従事、スマートアグリにも携わる。映像解析プラットフォームのベンチャーを設立後、マーケティングを経て、2019年にHivestack Japanへ入社。
Q1. 屋外広告におけるDXの潮流とは。広告主に対して、どのような価値を提供できると考えていますか。
A. データテクノロジーによって動作するプログラマティックDOOHプラットフォームの開発と提供です。
「DOOHにおけるDX」とは、DOOHの可能性を高めるためのデータを効果的に活用できるテクノロジーだと捉えています。テクノロジーとひとことで言っても、広告を配信するプラットフォーム、人や物を検知するセンシング、データセットの解析や分析、スクリーンに出力するデジタルサイネージの技術など多岐にわたります。この3年間でプログラマティックDOOHによるインプレッションを利用したビジネスモデルが進んでおり、そのプラットフォームの導入も始まっています。
広告主に対しては、インプレッションを前提として「天候(天気・気温)」、「花粉」「紫外線」「行動パターン」などのデータに基づいた広告配信により、新たな価値を提供できると考えています。これらを取り扱うためには信頼できるデータが必要になるため、データプロバイダーの取り組みも非常に重要です。
Q2. 統合型マーケティングの実現に際し、貴社の取り組みが貢献しうることは何ですか。
A. 広告配信から効果測定まで網羅できるプラットフォームの提供です。
大きく分類すると、①新たな広告収益 ②データに基づく広告配信 ③新たなユーザーエクスペリエンス の3点です。当社では、コンピューターサイエンスとテクノロジーによる予測モデルとデータを活用することによって、広告の接触と効果を高め、特定のロケーションではなく「人」というオーディエンスに対して広告を配信し、その効果想定を可能にします。
一方DOOHにおける広告審査や配信承認などオペレーションに関わる部分については、私たちにはまだまだ勉強が必要だと思っています。ユーザーエクスペリエンスを向上させることで配信オペレーションにかかる時間を圧縮し、結果的に、メディアオペレーターや広告を取り扱うマーケター、プランナーが、クリエイティブそのものを楽しめるような未来をつくっていきたいと考えています。
Q3. 屋外広告のDXがもたらす、生活者に提供できる価値とは何でしょうか。
A. スクリーンがクリエイティブを自動的に選んで放映する世界がやってくるでしょう。
当社のテクノロジーがDOOHのメディアに新しい潮流を生み出す契機となり、インターネット空間とDOOHを融合できるような広告クリエイティブを楽しんでもらえたらと思っています。また遠い将来に、ネットワークやコンピューターがさらに進化していくことで、スクリーンがセンサーやAIによって表示する映像を自動的に選んで放映するような世界がやってくるでしょう。近年、メタバースがトレンドになってきている中で実在空間と仮想空間の融合が始まろうとしています。
今あるテクノロジーの潮流から見ると、スクリーンそのものがコンピューターによって自立していくことも夢ではないと思っています。このとき、データセットの価値がさらに高まり、オーディエンスのメジャメントもより重要な役割を担ってくると思います。