自動化がもたらすコスト削減がマーケティングの民主化につながる

運用型テレビCMサービスを提供するノバセルでは、効果検証を分かりやすく提示し、PDCAを高速化することで、広告主のビジネスに寄与してきた。オフラインメディアのDXで実現するものとは何か、網野雄太氏に話を聞いた。

月刊『宣伝会議』2022年12月号(11月1日発売)では、「メディアDX――アナログメディア×テクノロジーで活用が広がる!」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

ノバセル
SaaS事業部
部長
網野雄太氏

新卒で博報堂に入社し、マーケティング戦略策定を担当。その後、ドリームインキュベータにて事業開発等のコンサルティングに従事。同社マネージャーを経て、ラクスルに入社。ノバセルのSaaS事業責任者を務める。

 

Q1. 「メディアDX」をどのように定義していますか。

A. 「プランニング」と「効果測定」のDXである、と捉えています。

メディアDXは「プランニング」と「効果測定」のDXである、と捉えています。プランニングには、戦略/メディア/クリエイティブのプランニングを含みます。順序は、効果測定のDXが先であり、その過程で蓄積したデータを活用することで、プランニングの工数削減/属人性排除が実現します。これらはWebメディアではすでに実現しつつありますが、テレビを中心としたオフラインメディアにおいても同様の形でDXが進むと考えています。

また、効果データの蓄積によるプランニングの自動化は、エージェンシーのオペレーションコスト削減も意味します。これにより、メディア予算が少額の広告主にも高いレベルのサービス提供が可能になり、「マーケティングの民主化」にもつながると考えています。

Q2. 近年のDXの潮流とは。また、メディア価値を高めるためにどのような取り組みをしていますか。

A. レスポンスで測定する効果測定で、投資最適化に貢献しています。

当社は発足当初より、テレビCMの効果をレスポンスで測定することにこだわり、広告主の投資最適化、事業成長に貢献してきました。特に、成長フェーズの事業/ブランドにおいては、レスポンス指標として「指名検索数」が重要になります。指名検索数は、顧客による純粋想起をアクチュアル指標化したものであり、それは単なる認知ではなく、“その業界とブランドの結びつきの強さ”、あるいは“ 顧客課題とブランドの結びつきの強さ”を表すものです。

この強さは、短期的な売上貢献のみならず、中長期での売上貢献≒ブランド資産にもなります。また、分単位で取得可能な指名検索数データを活用することで、最小粒度で広告投資効果を可視化し、最適化することも可能です。

Q3. 統合型マーケティングの実現に際し、取り組みが貢献しうることは何ですか。

A. 価値の創造にマーケターの時間をシフトさせることが、目指すべき未来です。

先述の通り、指名検索数を統一指標として、メディア横断での効果比較や予算配分最適化も可能になります。例えばコネクティッドTV(CTV)の領域も、指名検索に寄与するメディアのひとつであり、地上波テレビCMとCTVの予算を指名検索最大化という観点で最適配分する、というニーズは高まっています。オンオフメディア横断でのプランニングが、よりデータドリブンに合理化されていくのは既定路線かと思います。

これらの潮流は、“メディア投資の成功確率を高める作業の自動化”とも言えますが、これが実現すると、マーケターはより企画に専念することができるようになります。「確率の管理の自動化」により「価値の創造」にマーケターの時間をシフトすることが、メディアDXの目指すべき未来と考えています。

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