EMシステムズは俳優の林遣都さんを起用し、同社初となるテレビCM「エンドロール」篇のオンエアを、11月27日より開始した。
物語は、骨折が完治した主人公の青年(林遣都さん)が、恋人と感動の再会を果たすシーンから始まる。橋の上で抱き合う二人をとらえながら、WANDSの新曲「愛を叫びたい」がドラマチックに流れ、カメラはぐんぐん高い位置にあがっていく。まるで映画のエンディングのよう…と思ったその瞬間に、映画さながらのエンドロールが流れ始める。
骨折の診察や検査、リハビリの場面など、林さんが元気になるまでの道のりを支えてくれた、さまざまな人たちとのやり取りのシーンと共に、林さんの役名に続いて、次々と役職・氏名のクレジットが流れていく。全員の名前が流れた後で、林さんはこんなことをつぶやく。「でも、僕を支えてくれたこの人たちは誰が支えてくれているんだろう?」。そして、最後に「デジタルで日本の医療・介護の現場を支えるEMシステムズ」というクレジットが登場する。
同社は、医療・介護業務をサポートするシステムの開発・販売を行う企業だ。
「企画にあたり、磯島拓矢CDから提示されたのは、“医療・介護従事者は人を救う。では、医療・介護従事者を救うのは誰だろう。”というコンセプトでした。これはCMに関わらず、事業パーパスからグラフィックまで一貫しています」と話すのは、CMプランナー 村田俊平氏。
「私たちの日々の健康は医療・介護従事者によって支えられているわけですが、意識するのはお医者さんと看護師さんくらいになりがちです。直接顔を合わせなくともその裏には多くの医療従事者の人たちが一人の健康を考え・動いてくれている。CMプランナーとして、その事実にストーリーを感じ、スポットを当てたいと思いました」
村田氏がアイデアを思いついたのは、家でNetflixを見ていたときだという。
「いまだに映画のエンドロールを見ていると、私自身映像業界にありながら『こんなに映画には人が関わっているのか』と驚くことがありますが、これが少し医療に似ています。映画なり、健康なり、一つのものを成し遂げるのに、見えない多くの人たちが関わっている。映画でしかお目にかかれないエンドロールをCMで活用するのは、インパクトもありそうだと思いました」
そしてエンドロールらしさにこだわるため、演出は映画『桐島、部活やめるってよ』『騙し絵の牙』などで知られる、CMディレクターで映画監督でもある吉田大八氏に依頼した。
吉田監督は本作について、「CMの冒頭が映画のラストシーンという設定なんですけど、そこをどう説得力を出していくかということを一生懸命考えたというか。具体的には、演者さんに対して、そのシーンでどれぐらい感情を高めるとか、大げさにするとか、カメラワークにしても、どういうふうに登場人物のエモーションに沿ったカメラワークを作っていくかとか、いろいろ考え抜きました」と話している。
「冒頭の映画シーンのディテールや、モノクロ画像に思い切れたのも実際エンドロールを手掛けてきた監督ならではのアイデアだったと思います」と、村田氏。
本CMではクレーンカメラを使った大掛かりな撮影手法から、実際にあるクリニックの診察室やリハビリ施設、薬局で行われたロケーション、理学療法士や薬剤師など、本職の方々の指導のもとで行われた林さんの一連のお芝居まで、映画のような本格感とリアリティーを追求している。
「説得力はありつつ、あえてありきたりな冒頭の映画のようなパートを考えることが普段のクリエイティブ作業とは違って苦労しました。また、CM枠の中で目立つ真のエンドロールらしさを解き明かすべく、おびただしい量のエンドロールをチェックしました。検証を繰り返すことで、ソリッドにモノクロ、かつ静止画にすることができました。この思い切りが結構オンエア枠の中で目立ったと思います」(村田氏)
放映後、SNSには「ひとりを診るのにそれだけの人がかかわってるんだよね」「一人の患者にこれだけ医療関係者がおりチームアプローチしてるんだ」など、サッカーとも関連して、医療・介護行為のチームプレーの存在を再認識した感想が多く見られた。また、「自分の職種がちゃんといた」「私が漠然と感じていた気持ちを、言葉にしてくれた」など、医療関係者と思われる投稿もあったという。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+KEY pro
- CD+C
- 磯島拓矢
- 企画
- 村田俊平
- AD
- 中村彩梨
- Pr
- 城殿裕樹
- PM
- 山口幹太・林孝臣
- Cas
- 田山晃広(林遣都)、坪井明日美(彼女役)、舟橋義泰(サブキャスト)
- 演出
- 吉田大八
- 撮影
- 國井重人
- 照明
- 鳥羽宏文
- 美術
- 本庄梓
- HM
- 中西樹里
- ST
- 菊池陽之助(林遣都)、新田アキ(サブキャスト)
- 音楽
- WANDS