顧客行動が複層化する中、販売促進において喫緊の課題となっているのが、買い物前後の顧客体験(CX)を向上させる施策だ。博報堂プロダクツデータビジネスデザイン事業本部の菊地友幸氏は「現在の小売企業の潮流として❶CX ❷従業員満足度(EX)、この2点の向上を追求しています。かつてのモノを揃えて購買を促すような販促だけではなく、いかに便利に、いかに楽しく買い物をしてもらうかが重要になっています」と語る。
顧客接点の多様化とCX
今や誰もが日常的にスマートフォンと接し、コロナ禍をきっかけにEC参入する事業者も増加。消費の場が店舗からデジタルに拡大し、買い物に対する情報収集は店頭やチラシにとどまらず様々なチャネルから可能になった。こうした中求められる高感度な情報発信・店舗利用のユーザビリティ向上を可能にするのが、流通企業向けCRMアプリプラットフォーム「Katta!」だ。
「『Katta!』は、小売企業に特化し、アプリ開発からコンテンツ運用、販促施策、効果検証までワンストップで実現できるCRMアプリプラットフォームです」(菊地氏)。スマートフォンアプリを通じて、従来は店頭で接客をしていたような商品にまつわるストーリーやこだわりなどの、購買確率を高めるための魅力的なコンテンツを配信。さらに、アプリと店舗のポイントカードを連携でき、ポイント残高やチラシもアプリ内で確認することが可能だ。「自社電子マネーで決済処理をすれば、スマートフォンだけで買い物が完結。購買履歴を元にした1to1に最適化された情報発信も行えます」(菊地氏)。
データ分析から施策実行まで
同部の太田彰一氏は「『Katta!』の導入は大手スーパーを中心に広がっており、20代~40代を中心とした会員層の若返りや、特定商品の売上増など、一定の効果を得ています」と語る。「成功事例を元に配信コンテンツの内容のブラッシュアップも可能です。クライアントのID-POSデータを分析し、買い物行動に基づいたクーポンやコンテンツ配信といったターゲティングを実施していくなど、CRM支援にもつなげることができます」(太田氏)。
顧客との継続的な関係性構築のため、アプリを導入する企業が増えている中、自社で一から開発するコストや労力を懸念する声も多い。こうした中で、同社はプラットフォームの提供にとどまらず、課題ごとに企業に寄り添いながら施策の実行フェーズまで担うサポート体制を提供しているという。
細分化する店頭プロモーション
「日々リテールの支援をする中で感じているのが、プロモーションが細かくなっているということです」と語るのは、リテールプロモーション事業本部の吉田和史氏。同氏は「例えば地域ごとのリージョナルマーケティングや、『若年層を増やしたい』といったターゲティングなど、従来の販促だけでは対応が難しくなっています」と分析する。そこで要となってくるのが、デジタルを活用した顧客一人ひとりに対するアプローチだという。
本格提供を控えているOMO型プラットフォーム「GrowCR」は、オンライン、オフラインのデータや施策を融合させた一気通貫のコミュニケーションで1to1のアプローチが可能だ。例えば、❶購買・行動履歴を元にオウンドアプリでコンテンツやクーポンを配信、店頭へ誘導。❷ 店内ではプッシュ通知や、売り場のサイネージにシズル感のある広告を展開し、商品の魅力を最大化、購買意欲を促進。❸パーソナルクーポンなどで再来店誘導。と❶~❸のように、買い物導線においてテクノロジーとデータを組み合わせ集客・販促・CRM活動をワンストップで支援するという。吉田氏は「アプリでの集客から、店舗における顧客に向けたプロモーション、帰宅後のフォローアップまで、顧客が満足する情報接点をつくることで、ワクワクする買い物体験を演出、顧客のロイヤル化につなげます」と説明する。
同社が提供する買い物体験
同じくリテールプロモーション事業本部の安田敏孫氏は、「博報堂プロダクツでは、ビジネス・経営レベルの課題から販促・個店レベルの課題までカバーしています。データ分析から見えた結果を元に売上につながるコンテンツ制作を行い、顧客行動まで変えていくことが我々の強みです」と語る。「小売業ならではの課題に目を向け、売り場づくり、CRM、販売促進まで、様々なリテールにまつわる施策をデータドリブンなアプローチによって、買い物体験を提供。顧客とのエンゲージメント向上につながるリテールDX化を実現します」(安田氏)。
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