【前回】「営業・マーケティングのデジタル化。各社の成否を分けたポイント」はこちら
原口 拓郎氏
株式会社才流 コンサルタント
2013年にITベンチャーに入社後、西日本エリアの営業責任者として3拠点の営業マネジメントを経験した後、マーケティング部門やインサイドセールスの立ち上げを行う。才流では法人営業のコンサルタントとして活動。
第1回ではコロナ禍でのBtoBマーケティング、法人営業における顧客解像度の重要性について説明した。今回は顧客解像度を高めた後にセールコンテンツを活用して受注を増やすためには、何が必要なのかを解説したい。
成果が出ないコンテンツのよくある原因
コロナ禍をきっかけに、Webサイトやホワイトペーパーといったコンテンツの発信に取り組むBtoB企業が増加している。
コンテンツを発信し、リードや受注を増やしている企業がある一方で、コンテンツを作ったものの、成果につながらないという企業も多く存在する。せっかく作ったコンテンツが成果につながらないのはなぜだろうか。
理由の一つに、見込み顧客が求めていない情報をコンテンツとして提供する、いわゆる「押し売り」になっていることが挙げられる。たとえば、以下のようなケースだ。
●お役立ち資料の主な内容が自社サービスの案内になっている
●オンラインセミナーのタイトルと内容が合っていない
●他社のサービスとの比較表が自社のPRに偏りすぎていて、見込み顧客の参考にならない
いずれも情報収集段階の見込み顧客に対し、すぐに買ってもらうため、すぐに問い合わせをもらうための情報を提供してしまっているのだ。このような状況では、購買したいものがある程度明確になっている属性の人たち以外は、受注はもとより、商談にもつながりにくい。
自社が言いたいこと、伝えられることだけをコンテンツにして、見込み顧客に押し付けていないか今一度考えてみてほしい。
重要なのは顧客のニーズに合ったコンテンツを提供すること
押し売り的なコンテンツから脱却するには、見込み顧客の興味・関心がタイミングによって変化することを理解しなければならない。
見込み顧客が知りたい情報は、購買を検討するなかで変化していくものである。たとえば、サービスの導入が決まっていない状態と、導入は決まっているがどの企業から購入するかを検討している状況では、知りたい情報はまったく異なる。
つまり、見込み顧客の購買プロセスを理解した上で、各タイミングの興味・関心に合わせたコンテンツを提供することが重要なのだ。
そして講義ではこれを「階段設計」と呼び解説をしている。
各種プロモーション施策から、すぐに問い合わせや商談の獲得を目指すのではなく、見込み顧客と段階的にコミュニケーションを取り、関係性を構築した上で問い合わせや商談の獲得を目指す考え方だ。
顧客が踏む購買プロセスに沿ったなめらかな階段設計を行なえば、どの購買プロセスにいる見込み顧客にもニーズに合ったコンテンツを提供できる。これによって、購買プロセスが進んだタイミングで自社が想起され、商談につながりやすくなるのだ。
コンテンツを作成しているのに受注につながっていないと感じる企業は、まずは顧客の購買プロセスを調査、理解し、コンテンツの内容や提供方法を見直してほしい。
「階段設計」の始め方
階段設計を行なう際は、見込み顧客の購買プロセスを知るために、見込み顧客へのインタビューやモニターテストから始めると良い。
見込み顧客の正しい購買プロセス、興味・関心は実際に当事者にインタビューしないことには理解できない。顧客の声を聞かないと、コンテンツの内容や提供方法がどこかで押し売りになってしまう可能性が高いため、注意が必要である。
インタビューの具体的な進め方は以下のような流れだ。
1.ビザスクなどのスポット型のコンサルティングサービスを利用し、見込み顧客に該当する属性の人たちを募る
2.購買プロセスの全体像とプロセスごとの興味・関心を聞く
3.コンテンツを見てもらい、感想やフィードバックを得る
4.インタビュー結果を踏まえ、コンテンツを作成・改善する
こうすることで、顧客の声をコンテンツの内容や提供方法に生かすことができる。自社サービスの押し売りにならず、顧客の興味・関心に応えるコンテンツを提供できるはずだ。
そこで「BtoB企業のためのセールスコンテンツ作成講座」では具体的なコンテンツづくりも解説をしている。
BtoB企業において、顧客の興味・関心は検討状況に合わせて変わっていく。常に顧客視点を持ち続け、定期的に営業プロセスやコンテンツの改善を行なってほしい。押し売りではなく、顧客により良い購買体験を提供できる企業が今後のBtoB企業では生き残るための必須条件となるだろう。
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