ユニクロは、12月2日に同社サイトと公式YouTubeでクリスマスムービー「とある子ぐまのクリスマス」を公開した。
雪が深い山の中、窓から外を見つめる子ぐま。父親ぐまが冬眠を促すが、楽しそうな外の様子が気になって眠れない。父親に怒られ、しぶしぶとベッドに入った子ぐまは目に涙をためながら悪態をつく。その様子を見た父親が電話をしたのは……。
深夜、子ぐまのもとに届いたのは、暖かいフリース素材のジャケットとニットキャップとマフラー。朝になり、それらを身に付けた子ぐまは「ぜんぜんさむくない」と、喜び勇んで雪山を走り出す。メッセージは、「ふだん着のクリスマスを贈ろう。」。
このユニークなくまの一家が登場するムービーは、2021年から「LifeとWear」をコンセプトにコミュニケーションを展開してきたクリエイティブチームが企画を手がけた。
「ユニクロの広告を担当して2年目になりますが、この冬は『冬こそ外へ。』をテーマに、寒いからって閉じこもっていないで、ヒートテックやダウンなど、暖かいユニクロの服を着て外に出かけると、何かおもしろいことがあるかもしれない、という共通のメッセージをいくつかのCMで発信してきました。そんな流れの中で、クリスマス用のムービーを企画することになりました」(CMプランナー 福里真一氏)
ストーリーを考える中で、「冬に外に出かけない代表」として福里氏が思いついたのが、冬眠するクマだった。
「私もあまり出かけない方ですが、クマというのは冬眠中、3ヶ月ぐらいまったく出かけないらしいので、出かけない派の代表として象徴的に描けるのではないかと思ったんです。そこで、冬眠するのを嫌がる子ぐまが、クリスマスの日、ある出来事によって、元気に外に出かけていく、というストーリーを考えました」
このストーリーを受けて、アートディレクター 浜辺明弘氏と演出の児玉裕一監督がクマの造形と具体的な世界観をつくりあげていった。
「福里さんの企画を拝見し、ユニクロからのプレゼントとして『絵本のプレゼント』から世界が広がるようなイメージを持ちました。それで当時、別件でお世話になっていた大好きなイラストレーター市村譲さんに‟冬眠でなかなか外に出れない、チャーミングな子グマ、描いてもらえませんか?“と、リクエストしました。そして誕生した線画の子グマが、みんなに愛され、クマなのに、クマみたいなフリースを着るというチャーミングな立体の子グマになって動き出したというわけです」(浜辺氏)
このストーリーをエモーショナルに映像化する方法として、児玉監督は全編にわたって「ミニチュアのコマ撮り」アニメーションを選択した。
「人の手が人形を少しずつ動かすことによって生まれるちょっとした雑味、ミニチュアを撮影したときに画面に刻まれる手触りが、この映像にあたたかさとリアリティをもたらすのではないかと思ったからです。小刻みに震える子ぐまの目に反射する光が、まるで涙をこらえた目のように我々に映るのではないかと」(児玉氏)
ムービーには日本語字幕が出ているが、子ぐまたちが話している言葉は、児玉監督オリジナルの「くま語」。実は監督が自らアフレコをしているという。
本ムービーは公式サイト、YouTubeの他、ユニクロの店内モニターやUNIQLO TOKYO店外壁大型モニターでも公開。さらにTVerとAbemaで120秒バージョンを放映し、主要5都市の映画館では60秒バージョンの上映も行っている。まだ公開地域などは未定だが、今後は英語字幕版の制作も予定されている。
スタッフリスト
- 企画制作
- 連+ワンスカイ+WATCH+株式会社照井晶博+ギークピクチュアズ+トレードマーク
- CD
- 佐々木宏
- 企画+C
- 福里真一
- C
- 照井晶博
- AD
- 浜辺明弘
- PR
- 稲垣護、大野瑞樹、西澤恵子
- 監督+編集(オフライン)
- 児玉裕一
- 撮影
- 中原昌哉
- 照明
- 野口まさみ
- 美術
- 柳町建夫
- キャラクターデザイン
- 市村譲
- アニメーター
- 野中和隆
- STY:少年
- 片貝俊
- HM:少年
- 平野朱音
- ED(ONLINE)
- 坂巻亜樹夫
- CG
- jitto
- MIX
- 増冨和音
- SE
- 徳永義明
- 音楽
- 福島節
- キャスティング(少年)
- ヤマウチトモカズ