Pinterest Japanは2022年11月18日、宣伝会議主催「宣伝会議サミット2022」にて「ひらめきを行動につなげるプラットフォームPinterest」と題し、3つのセッションからなるセミナーを開催。今年6月から日本市場で「Pinterestアド」の提供を開始したPinterest Japan。
ユーザーにとって、そしてマーケターにとって、Pinterestという場はどのような“ひらめき”を与えてくれるのか。3部構成のセミナーの様子をレポートする。
世界で約4億人が利用 6月からは国内でも広告サービスの提供を開始
「ひらめきを行動につなげるプラットフォームPinterest」セミナーの第1部に登壇したのは、Pinterest Japan カントリーマネージャーの成田敬氏だ。
成田氏は「ユーザーの特徴的な消費行動として、購買までつながることが他のプラットフォームと比較しても多い」と話す。「アイデアを探すだけではなく行動に移すために利用する意欲的なユーザーが多いのがPinterest。探索して気になった商品は、実際に購入アクションに繋げる利用者が多いこともわかっている」(成田氏)。
また、Pinterestでの買い物体験は実店舗に近いセレンディピティの高さも特性のひとつ。ECでの購買のように決まったものを買うだけではなく、購入までの買い物体験自体も楽しむ利用者が多いという。
「Pinterest上で配信される広告『Pinterestアド』は、ユーザーのアイデアのタネになる提案のひとつとして配信される。そのため、広告がユーザーの気を散らす心配もなく、買いたいもののインスピレーションとして捉えられるような働きが期待できる。このように、ポジティブな広告体験を提供できるのもPinterestアドの強み」(成田氏)。
Pinterestアドは2022年6月に開始した、認知から購買までフルファネルで効果が実感できる広告サービスだ。配信面はユーザーの検索時、ホームフィード、ユーザーの検索結果に類似した画像や動画が表示される関連ピン画面の3つ。静止画だけではなく、動画、カルーセルやコレクションといった複数の画像を組み合わせたリッチなフォーマットも存在し、用途にあったアプローチで広告の配信ができる。
「ECサイトを運営するマーチャントは商品画像、商品名、価格や在庫情報といった商品のカタログデータのフィード連携でプロダクトピンを自動生成し広告として配信が可能。ユーザーも気になった商品の価格や在庫情報が一目でわかり、そのままECサイトに飛ぶこともできるので、スムーズな購買体験が提供可能なのもPinteresアドの強みと言える」(成田氏)。
Pinterest内の検索 97%が特定のブランドが紐づかない非指名検索
続く第2部では「インサイトデータに見る未来トレンドと、好きの発見と深堀り」と題してコンシューマーにインスピレーションを与えるPinterestだからこその特長。さらにその特長のマーケティング領域における活用可能性をテーマに議論が進められた。登壇したのはPinterest japanの本田絵里子氏、bydesignの石川森生氏、SHIBUYA109エンタテイメントの長田麻衣氏の3名だ。
日本においてPinterestの利用動向に関するデータの分析を通じて、ユーザーインサイトや今後のトレンドを導き出すInsight Leadの役割を担う本田氏からは2つの特長が提示された。そのひとつが「未来のトレンドを予測できるプラットフォームであること」だ。
本田氏は「Pinterestは未来の計画を立てるために使われることが多く、日々ユーザーが検索しているキーワードの中に、これから流行るトレンドの種が詰まっている」と説明した。同社では4億人を超える世界のユーザーのデータをもとに毎年、未来予測レポートである「Pinterest Predicts」も発表している。
2022年の「Pinterest Predicts」を目にしていたという長田氏は「実際、予測通りになっているものが多く驚いた。トレンドの兆しも細分化しているので、そこからヒットを予測するのは難しくなっている。その点で、Pinterestから得られる未来のインサイトは大いに役立つものだと思う」と話した。
Pinterestユーザーを取り込むことでデジタル広告投資の全体的な効率が高まった
本田氏から、Pinterestならではの特長の2つ目として提示されたのが「自分の好きの発見と深堀りのためにポジティブなマインドセットで使われるプラットフォーム」であることだ。「Pinterest内の検索の97%が特定のブランドが紐づかない非指名検索で、自分が興味のあるカテゴリーや商品を広いワードで検索していることがわかっている。様々なアイデアに触れながら絞り込んでいく使い方が一般的だ。何らかの欲望はあるのだけど、明確に言語化できていないような場合にもウィンドウショッピングをする感覚で様々なアイデアに触れ、欲しいものとの出会いから購入アイテムの絞り込みまでサポートすることができる」(本田氏)。
この点について長田氏は「Instagram上のハッシュタグ検索もワードはひとつしか入れられない。広すぎるワードだと、興味がないものまで出てきてしまい、情報収集が難しくなりがち。若年層にとっても漠然としたタイミングでの検索ができるというのは、新鮮な気持ちで支持されると思う」と話した。
D2Cの家具ブランド「KANADEMONO」を展開する石川氏は、同社のサイトへの流入元はPinterestが多いと話す。
さらに「D2Cブランドとしてネット広告は重視しているが、家具カテゴリーにおいてニーズが顕在化する手前、“漠然と家具に興味がある”状態のお客さまと接点を持とうとすると、競合が多く、広告費用がかさみがち。その点、Pinterestでの顧客接点はファネルの入り口部分にあたるお客さまとの出会いの場になっている実感がある。Pinterestユーザーを取り込むことで広告投資の全体的な効率が上がると考えている」と続けた。
最後に本田氏からは「マーケターの方々には未来に向けてポジティブなマインドでアイデアを探しにきているユーザーが多くいるプラットフォームであるPinterestの特長を最大限に生かした活用をしていただきたい」とパネルディスカッションをまとめた。
Pinterestアドを用いたパナソニックのライフスタイルに寄り添う商品提案
第3部のパネルディスカッションのテーマは「インスピレーションフォーマーケター モーメントデータが作るアドクリエイティブ」。Pinterestを活用する際、重要なポイントであるクリエイティブに焦点を当てながらブランドが新たな顧客との出会いをどう創出していくのかをテーマにディスカッションが繰り広げられた。
モデレーターを務めたのは成田敬氏。パネラーとしてはユーザーとしてもPinterestを使い、パナソニックのマーケターとしてもPinterestアドの活用実績のある山本智子氏、FIREBUGの佐藤 詳悟氏、Pinterest Japanでクリエイティブ・ストラテジストとして、クライアント企業のPinterest活用をクリエイティブ戦略の面からサポートする赤坂祐輔氏が登壇した。
佐藤氏が率いるFIREBUGは、タレントエンパワーメントパートナーとして、多くのタレントのプロデュース戦略を立案し、SNSを起点としたIP開発や広告商品の開発を手掛けている会社。2022年9月にはタレント・インフルエンサーを活用したPinterestアドのコンテンツ制作・運用サービスの提供開始を発表している。
赤坂氏はグラフィックデザイナーからキャリアをスタートさせ、アドテク業界も経験。現在はアナログ、デジタル双方のデザイナーとしての経験を活かして、クライアント企業のPinterestにおけるクリエイティブ活用の実践的なサポートの役割を担う。
本セッションは、最近Pinterestアドを活用したパナソニック「くらしスタイルシリーズ」の事例をもとにディスカッションが進められた。
ライスフスタイルに絡めたクリエイティブで自分ゴト化を促す
パナソニックでは10月6日、お客さまのくらしに寄り添ったテレビ「くらしスタイルシリーズ」を発表。本シリーズは「ウォールフィットテレビ」、「レイアウトフリーテレビ」、「ポータブルテレビ」の三商品から構成され、「テレビ中心のくらし」から「くらし中心のテレビ」という新たな価値提案を行うことを目的にしている。
山本氏は「ウォールフィットテレビは、アンテナ線にしばられず、好きな壁に簡単に掛けられるテレビ。テレビ台も不要で、まるで絵画を壁にかけているような、テレビの存在がミニマルなくらしの空間を実現します。今後も当社では高画質・高音質を追求する既存のテレビ事業を継続しながら、お客さまの心地よいくらしを実現する新たなテレビとして「くらしスタイルシリーズ」を提案していく。と話す。
そして11月1日からは「同シリーズの「ウォールフィットテレビ」のプロモーションを目的にPinterestアドの活用を開始した。
「今すぐテレビを買い替えたいと考えている方だけでなく、DIYや引っ越し、インテリアといったことに興味を持っている方にも広く知ってもらいたいと考え、Pinterestアドの活用を決めた」と山本氏。
広告では、同商品の特長である「どこにでも置ける」「すっきり置ける」「壁に簡単に掛けられる」の3点を分かりやすく訴求した。
【パナソニックでのPinterestアド活用事例】
「パナソニックの広告はPinterestアドを活用する上で、注意すべきクリエイティブの工夫が網羅されている」と話すのは赤坂氏。まず「音声を補足するテキストを動画内に入れている」こと。ミュートの状態で視聴しているユーザーもいるため、訴求ポイントをわかりやすく伝えるための工夫として必要だという。そして「動画の長さは6~15秒に抑え、内容はシンプルにする」ことだ。
さらに「Pinterestはユーザー一人ひとりが自身のライフスタイルをより良くするためのインスピレーションを求めて集まる場。広告を自分ゴト化してもらうためにも、クリエイティブにライフスタイルを絡ませることが重要」と赤坂氏は説明する。
さらにFIREBUGの佐藤氏とも対話した山本氏からは「Pinterest上で、FIREBUGさんが提案するようなタレントとコラボしたコンテンツにも興味を持った」との感想があがった。
全3部のパネルディスカッションを終えて、成田敬氏からは「Pinterestアドは認知から購買までのフルファネルに対応した広告サービス。ぜひ、いろいろな企業の方々に活用してもらいたい」とセッションを締めくくった。
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