手法もプラットフォームも多様化する中 各SNSをつないだ網羅的な施策が重要に

月刊『宣伝会議』2023年1月号(12月1日発売)では、「認知獲得から販促、CRMまで 最新・SNSマーケティング」と題し特集を組みました。
ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。

サイバー・バズ
SNSアカウントコンサルティング本部・執行役員
佐藤亮平氏

2007年4月、デジタルマーケティング関連会社に入社後、グループ会社に出向。出向中企業に籍を移し、データベースマーケティングを活用した広告営業に従事。2011年10月、サイバー・バズに入社。営業、新規事業の立ち上げ、広告商品開発、インフルエンサー事業責任者など多方面に携わり、現在はSNSアカウントコンサルティング本部を管轄する執行役員として、企業のSNS公式アカウント運用を支援している。

 

Q. 「SNSマーケティング」の定義とは?

A. SNSを軸とした施策で、商品・サービスにおける課題解決を行うこと。

インフルエンサー施策、公式アカウント運用、広告配信など、SNSを軸とした施策で商品・サービスの課題解決を行うことと定義しています。日本のSNS利用者が数千万人規模となった今、なくてはならないマーケティング手法と捉えています。

当社は2006年にブロガーマーケティングをメイン事業としてスタートしていますが、この数年でSNSの数も増え、マーケティング手法も多様化したことで、「この手法をやっておけば間違いない」という形が日々変化している点も、SNSマーケティングの難しさのひとつです。特に、SNSアカウント運用に関しては、ユーザーのSNS滞在時間が長くなり、SNS検索行動も当たり前化しているため、企業の「ブランドサイト」と「SNSアカウント」は同じくらい重要な立ち位置にあります。

また、プラットフォームが提供する広告手法も増え、「SNSマーケティング」が捉える範囲は広がり続けています。

Q. 日本企業におけるSNSマーケティングの最近のトレンドは?

A. 「ショートムービー」への注目が多数。Cookieレス時代のSNSでのデータ収集にも関心が高まる。

ショートムービーの活用は注目度が高いです。特に、TikTokやInstagramのリールは、投稿に対する評価によって、リーチ効率がどんどん高まるアルゴリズムをプラットフォームが用意しているため、投資対効果を著しく高めるポテンシャルがある仕掛けです。他にも、公式アカウントに訪問したユーザーや、公式アカウントの投稿にアクションしたユーザーのデータを活用したオーディエンス広告もトレンドです。

Cookieレス時代のマーケティングにおいて、生活者のSNS内での行動履歴をもとにした広告配信が主流となると考えており、各SNSでどうやってデータを蓄積していくか、を重要視しています。

Q. SNSマーケティングに対する企業の課題とは?

A. 「投資対効果の不明確さ」と「プラットフォームの多様化」が企業の課題に。

SNSマーケティングは拡散性が高い点や、検索行動の受け皿としてなくてはならない存在ですが、その一方で直接的な売上との相関性を見出すことが難しい点が課題です。

また、ユーザーが利用するSNSも年代や性別によって多様化しているため、単発的な施策や、単一SNSでのプロモーションのみではターゲットにアプローチしきれない場合が多く、網羅的に仕掛けを考える必要性が出てきたため、プランニングの難易度も高まっている印象です。中途半端な投資で、「効果が出なかった」と判断されることも多いのではないでしょうか。

SNS利用者が増えたからといって、ただインフルエンサー施策をやれば良い、ただ公式アカウントを立ち上げたら良いというわけではなく、企業の「ブランドサイト」と同様で、「検索の受け皿提供(公式アカウント)」と、「集客(広告配信やインフルエンサー、キャンペーン)」の役割を意識した戦略が必要です。効果を可視化する手法づくりや、プランニングの体系化、人材育成も、市場全体に求められています。

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