2022年主役は錦鯉、もはや季節の風物詩となりつつある「M-1グランプリ」プロモーション

年末の恒例イベントとなった、漫才日本一決定戦「M-1グランプリ」(朝日放送テレビ)。今年は、12月18日にオンエアされ、ウエストランドが優勝を勝ち取ったことは記憶に新しいだろう。そして近年、オンエア前に展開される「M-1グランプリ」のプロモーションにも注目が集まっている。

今年もアーティストとタッグを組んだプロモーションムービーをはじめ、TikTokでのラストイヤー組インタビュー、東京・大江戸線六本木駅の広告ジャック、大阪メトロ御堂筋線M-1感謝列車など、多彩なプロモーションを展開した。

「プロモーションに携わらせていただいてからは5年目、メインポスターなど全体のブランディングまでを担当させていただいてからは3年目になります」と話すのは、本プロモーションのクリエイティブディレクターを務める有元沙矢香氏。

「毎年夏頃にM-1のプロデューサー陣から今年のM-1にかける思いをお話いただきます。それをもとにキャッチコピーやプロモーションを考えます。今年は去年から引き続き『人生、変えてくれ。』というコピーは残しながら、今年ならではのテーマとして『漫才を塗り替えろ。』というコピーを追加しました。史上最年少優勝、史上最高得点、漫才か?漫才じゃないか?論争、史上最年長優勝ときて、M-1も漫才もどんどん進化してきた2022年、誰が優勝するか全くわからない、0からの新たなM-1がテーマでした。コピーを軸にしたメインポスターでは、それぞれの色で塗り替えて欲しいという思いを込め、M-1ではこれまで使ってこなかったカラフルな色を昨年の王者にぶちまけさせていただきました」(有元氏)

中でもクリエイティブチームが力を入れて制作しているのが、今回で3回目となるアーティストの楽曲を使ったプロモーションムービーだ。今年は、ウルフルズの2005年の名曲『暴れだす V』を使い、ラストイヤー組への感謝と、彼らをも凌ぐ爆笑で決勝への切符を得たファイナリスト、敗者復活組へのエールを込めてつくったという。

「どの施策も全力で作っているのですが、プロモーションビデオは緊張感がありますね。『板の上の魔物』(Creepy Nuts)、『昇る太陽』(宮本浩次)とこれまで使用させていただいた楽曲がその年の王者に通じるものになっていたり、たまたま最後に話した人が優勝したり、うっかり奇跡が起きてしまっていて。でも本当に偶然なので、あまり気負わずやるようにしています。楽曲はスタッフみんなで出し合い、絞った楽曲を朝日放送テレビの皆さんにも聴いていただいて。今年はこれだよね!とみんなのイメージが合致する曲が不思議と出てきます。インタビューの使いどころは監督が膨大な素材を見て、響く言葉を拾ってくれています。おそらくいちばん強い思いを持った人の言葉が自然と残って、結果使われているのかなと思います」(有元氏)

ウルフルズ「暴れだす V」× M-1グランプリ2022プロモーションムービー

プロモーションのモデルとなったのは、2021年の王者である錦鯉。六本木駅ジャックでは、錦鯉・雅紀さんのさまざまな表情のビジュアルがポスターになり、エスカレーターを行きかう人を楽しませた。また、大阪では、大阪メトロ御堂筋線をジャックM-1のナレーター畑中ふうさんと亀井佐代子さんによる車内アナウンスも実施。さらに、渋谷と雅紀さんの故郷である札幌には、「ライフ イズ ビューティフル」をメッセージした交通広告も出稿、さらにはTikTokでのM-1ラストイヤー組のインタビューやCRまさのりサイネージなど、あらゆるメディアを使ってプロモーションを実施している。

「錦鯉さんがビジュアルなのでとにかくバカバカしいものをやりたいなと思って、思いついたアイデアを片っ端から提案しました。すると、まさかの片っ端から採用してくださって…気づいたらすごい量のアウトプットになっていました(笑)。毎年制作過程では、芸人さん、運営の皆さんの本気に触れるので、感化されて気づくと異常な熱量で仕事している自分がいます。終わった後は抜け殻になります」(有元氏)

M-1というコンテンツ力ゆえに、毎年ポスターや広告に対して必ずファンはもちろん、芸人たちからの反響も大きい。SNSでは「今年も、この季節が来たか」「年の瀬感あるな」とつぶやく人も多く、広告ジャックを見るために六本木駅にやってくるファンもいる。

「錦鯉の雅紀さんはご自身が出ている屋外広告をわざわざ見に行って写真をSNSで投稿してくださっていました。六本木の駅貼りは毎年やっていることもあって風物詩化してきていて、ポスター撮影の際にどのかたも“あそこに俺出るんですよね!?”と嬉しそうに言ってくださいます。広告も王者への副賞のようになっているのは本当に光栄なことです」(有元氏)

大江戸線六本木駅をジャックした錦鯉が登場したポスター。

大阪メトロ御堂筋線M-1感謝列車

雅紀さんの地元・札幌に掲出されたポスター。

@m1gp_official 今年ラストイヤーだった #ランジャタイ に感謝と敬意を込めて。今後もお2人らしい漫才を楽しみにしています! #M1 #M1グランプリ #ラストイヤー ♬ オリジナル楽曲 – M-1 グランプリ

TikTokで展開したM-1ラストイヤー組のインタビュー

サイネージで展開した「CRまさのり」。

1週間前から大阪・阪急梅田駅に掲出した屋外広告。

スタッフリスト

企画制作
電通+Dentsu Craft Tokyo+たきコーポレーション
CD+C+企画
有元沙矢香
AD+企画
川腰和徳、上田美緒
C+企画
水本晋平
企画
宗像悠里
CPr
鹿山日奈子、清水颯太

 

  グラフィック

D
小林香奈、鈴木駿哉
撮影
堀内誠
レタッチ
古田雅彦、笹崎彩
PR
里見勇人、茨木美帆

 

  映像

PR
藤岡将史、山下誠
演出+撮影+編集:橋浦脩人
撮影
志田誉幸、石山健太郎
編集(オフライン)
佐伯崇、海藤嘉寛
カラリスト
足立悠介
アシスタントカラリスト
Zulpukarov Eldar
ミキサー
福田実希
SE
藤井意弘
アニメーション
EDP graphic works
楽曲
ウルフルズ

 

  TikTok

PR
藤岡将史。市来優太
PM
綿谷萌花
演出+撮影+編集
畑野亮
編集(オフライン)
小林佑、前田佳佑

ECD:エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事