コロナ禍で対人接触の機会が減った大学生は、SNSなどを駆使しながら効率の良い友人づくりを実践していた――。東京広告協会がこのほど発表した調査結果から、近年の大学生は友人関係構築を戦略的に実践している様子が浮かび上がった。
調査は、同協会が広告やマーケティングを学ぶ学生を支援する目的で毎年実施しているもので、大学生らのチームが調査の企画から実施、分析までを行うのが特徴。今回は青山学院大学、江戸川大学、駒澤大学、専修大学、千葉商科大学の学生が参加した。
現在の大学3年生は、入学当初からコロナ禍に見舞われキャンパスへの通学が制限された。授業はオンライン化され、対面での講義のほかサークル活動やアルバイトなど、これまでの学生が当然のように享受していたリアルな接触機会が失われた。
こうしたなかで活用してきたのがSNSだ。調査結果によると、「SNSの投稿やストーリーズをきっかけにオンラインの場で初対面の人に話しかけたことがある」と回答した大学生は43.4%に上った。また、「ストーリーズで気になる事柄があれば親しくない人でも反応する」と33.3%の学生が回答。「現在の大学生はSNS上にある相手の情報をもとに、今後仲良くなりたい人を探し、SNS上で交流を図っている」といえる。
また、SNS利用の理由について「自分の趣味や好きなことを発信することで友達作りのきっかけにできるから」(36.6%)と回答するなど、多くの学生がリアルに知り合う前にオンライン上の「アカウント認知」のプロセスを経ていることが明らかになった。
仲の良い友人にはLINE上のコミュニケーションで「短文」(78.8%)、「スタンプのみ」(3.5%)と効率性を求める一方で、仲良くなりたい人とは長時間電話をしたり常に同じ友人と行動したりするなど、戦略的に仲間づくりに取り組んでいることが読み取れる。
調査は2022年7月13日~8月18日、首都圏の大学に在籍する大学1~4年男女を対象にWebアンケートで行い、1379件の回答を得た。この取り組みは1995年から毎年続いているもので、調査やレポート、プレゼンテーションについては広告会社の現役プランナーらが指導にあたった。