Cookie利用の規制により進む 1st Party Dataの活用
組織内に存在する、あらゆる顧客データを収集し、統合・分析ができるデータ基盤「Treasure Data CDP」を提供するトレジャーデータ。企業が自社のデータを“活用できるように整える”サポートを行ってきたデータ利活用支援のエキスパートだ。
ここ数年で、企業内におけるデータ利活用は進んでいる。特にプライバシー保護を強化する世界的な潮流により3rd Party Cookieがマーケティング活動に使えなくなりつつある今、1st Party Dataを活用する重要性は増す一方だ。商品を直販していない企業においても、1st Party Data収集のニーズは高まっている。
顧客接点が増えると、取得できるデータの種類も増える。どのような環境で、どのようにデータを収集すべきか。データを利活用してマーケティングの成果につなげる前段階で、壁にぶつかる企業も少なくない。こうした課題に対し、トレジャーデータはすぐにデータ収集・分析・活用を始められる環境として、CDPを提供してきた。
しかし1st Party Dataの収集・分析・活用が進んでくると、次に立ちはだかるのは自社だけで収集できるデータでは分析に限界があるという課題だ。他社が保有するデータと突合させ、より高度な顧客分析を実現したい。しかし、当然ながらプライバシー保護は必須。こうしたニーズを持つ企業に対して、トレジャーデータではTreasure Data CDPの機能を活用したデータクリーンルームを提供している。
国内プラットフォーマーと連携 CDP活用の延長で利用可能に
こうしたサービス実現の背景には、トレジャーデータが、顧客企業のみならず、データクリーンルームの機能を提供したい大手プラットフォーム企業にも、その知見を提供していることがある。
実際、同社はYahoo! JAPAN、LINEとタッグを組み、企業が活用しやすいデータクリーンルームを構築している。トレジャーデータの山森康平氏はその取り組みを以下のように話す。
「当社がYahoo! JapanとLINEで開発しているデータクリーンルームを用いると、企業は自社のデータとYahoo!Japan、LINEのもつデータを突合し、分析できるようになります。ここで扱うデータは法令を遵守し、プライバシーが守られたものです。データを活用する事業会社と、データを提供するYahoo! Japan、LINEの双方にとって、コンプライアンス違反や情報セキュリティに関するリスクを低減した分析が可能です。また、分析結果をもとに広告やメッセージ配信などの施策へ連携することで、高精度のPDCAサイクルを回せるのも提供価値です」(山森氏)。
これまで、他社のデータと連携するには、双方のどちらかがデータをコピーして相手に渡すという形式をとっていた。しかし、Treasure DataCDPの「Secure Exchange」機能を活用すれば、企業間のデータ連携の際のコピーが不要になる。プライバシーを考慮してデータ連携できるのはこのためだ。
Yahoo! Japan、LINEとの取り組みは3rd Party Cookieが利用できなくなる中でも、両社が提供するデジタル広告成果の把握、プランニングの精度を維持するための施策と言える。しかし、データクリーンルームの活用可能性は、3rd Party Cookieの代替手段にとどまらないと山森氏。具体的には、リテール業態の企業からのデータクリーンルーム提供が進むのではないかと推測する。
「データクリーンルームが現時点で広告プラットフォーマーからの提供が多い理由は、Cookie規制で広告の効果測定精度が下がることを懸念した事業者が多いことが挙げられます。海外ではAmazonやWalmartなどがリテールメディアなどの、データクリーンルーム的なサービス提供を始めています。3rd Party Dataが使えなくなったことにより、購買データの価値が相対的に上がっているのも背景にあると思います」(山森氏)。
担当者の運用負荷を低減 分析のテンプレ化も視野に
今後、データクリーンルームを活用したマーケティングの必要性はますます高まりそうだが、データクリーンルームは、各プラットフォーム事業者からそれぞれ提供される。UIも異なり、学習コストやシステム開発の手間もかかるため、広告主企業だけで活用するのは運用負荷が高い。この解決に向けて、トレジャーデータはCDPの機能拡充を続けている。第三者の立ち位置で多様なデータホルダーと企業をデータでつなぐ。企業は多様なデータホルダーと横断的につながり、自社にとって必要な外部データを安全に利活用できる。これがトレジャーデータの目指す、CDPを中心としたデータクリーンルームソリューションの構想だ。
山森氏はYahoo! Japan、LINEと開発中のデータクリーンルームについて、顧客企業が自ら活用しやすい、運用負荷を低減したシステムの構築を目指していると話す。
「データクリーンルームの利用ハードルが上がる理由のひとつに、分析にあたり専門的な知識を必要とする点があります。そのため、現在検討しているのは、分析のテンプレート化や顧客のスコアリング機能を追加し、データ分析をサポートすることです。顧客企業が自社でデータクリーンルームを活用できるようにするためのアップデートは、継続的に行う予定です」(山森氏)。
Amazonのデータとも連携可能 次の潮流を捉えたCDP
先述の通り、購買データの価値が上がる今、リテールメディアやデータクリーンルームを提供する大手小売プラットフォーマーとの連携も必要になりそうだ。トレジャーデータは、この潮流にも対応している。
「Treasure Data CDPは、Amazonが提供するデータクリーンルームとの接続も可能です。今後、顧客が求める様々なメディアやネットワークとのデータ連携など、幅広い活用をサポートします」(山森氏)。
トレジャーデータ
執行役員
最高戦略責任者(CSO)
山森康平氏
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