「ほどほどの人生」シリーズはじまる。お酒とのいい付き合い方をメッセージする、サントリー新モデレーション広告

1986年より長く続けてきた、サントリーの適正飲酒を促す広告(モデレーション広告)が、2022年11月に一新。「お酒は、なによりも適量です。」というキーコピーはそのままに、新しいクリエイティブを展開している。

新しいキャンペーンのキーワードは、「ほどほど」。これはかねてよりサントリーが適正飲酒について抱いていた考えを表したもの。そして登場したのが、ヒトミさん、カオルさん、ホトさん、ススムさん、ヤナギさん、カイコさんという6人の新キャラクターによる“ほどほどな仲間たち”だ。今回のキャンペーンでは「ほどほど」というキーワードを軸に、新聞広告、OOH、アニメーションを使ったムービーを展開している。

11月5日に日本経済新聞に出稿された「ほどほどの人生(シリーズ)」新聞広告。

ほどほどの話 # 001『居酒屋での攻防』篇 30秒
ほどほどの話 # 002『立ち飲みBAR?』篇 30秒

この企画のキャンペーンソングとも言えるのが、土岐麻子さんが歌う「サントリーほどほど応援歌」(菅野よう子作曲、岩崎亜矢作詞)だ。ミュージックビデオには、“ほどほどな仲間たち”が登場し、♪~お酒は、なによりも適量です と歌って踊る。

『サントリーほどほど応援歌〜ミュージックビデオ(1番のみ)〜』

 

登場するキャラクターたちには、かつてのサン・アドとサントリー宣伝部にゆかりある人たちの名前を拝借している。

「お酒の適正適量を語る時、“決してお説教にはしない”という思いがとにかくすべてでした」と、キャンペーン全体のコピーを手がけた岩崎亜矢氏。今回、歌とアニメーションという手法で展開した理由を次のように話す。

「お酒ってほどほどの量であれば、心をほどいて、人と人との距離を近くしてくれる。なんか熱く語っちゃったり、苦手だと思っていた人と仲良くなったり、やる気が湧いたり、帰り道に妙にエモい感情が湧いて月を見上げてみたり…。長くやってきたプロジェクトなので“適量”を促すメッセージがやや標語化していたところもあって。

コピーや企画を進める際にチームとして大事にしたのは、今までのクリエイティブがやってきたこと、すなわち、“お酒を悪者にするのではなく、ほどほどの量を通じてお酒とのいい付き合い方を知ってもらう”という目的を踏襲しつつ、そのうえで今までよりもさらに“楽しさ&優しさ”がクリエイティブのベースになることでした。そこにまっすぐと向かう時、心の距離の短さ、軽さ、わかりやすさのバランスにおいて、“歌とアニメーション”というのは非常によい手段だった次第です」

このような考え方でクリエイティブを進めていく中で、岩崎氏は自分の中に重なっていた「お酒を飲んだ時の思い出」を振り返りながら、歌詞を書いたという。

「“話しかけたいけど、どうやって声をかけようかな…”、“話してみたら案外いい人だったな…”。そんな過去の思い出を歌詞にしながら、『ほどほどの酒量の恩恵=やっぱ、お酒は適量だよね!』のメッセージにつながるようにと歌詞をつくりました。最初の打ち合わせで菅野よう子さんから言われたのは、“4〜5歳でも歌いやすい音であること!”。そこに向かって、何度か書き直していきましたが、実際ローンチしたら、うちの4歳児が毎日口すさんでくれているのでかなりホッとしています」

歌と共に目を引くのが、アニメーションに登場するキャラクターたちのイラストだ。いまなおCMに登場するサントリー「トリス」のキャラクター「アンクルトリス」で知られる柳原良平氏を思わせるタッチと色遣い。実はこのイラスト、アートディレクター 白井洋平氏が描き下ろしたもの。今回、すべてのイラストは柳原氏のご遺族のチェックを受けており、氏のトレードマークとも言える「Ryo」のサインも入っている。

柳原氏はサントリー宣伝部の出身であり、本クリエイティブの制作を手がけたサン・アド創立メンバーの一人。そして、1986年より続いてきた前回の適量適正飲酒広告は、サン・アドのアートディレクター 葛西薫氏が手がけてきた。そんな経緯もあり、制作チームは「サントリー宣伝部のユニークな個性」や「サン・アドのものづくりへの姿勢」をこのクリエイティブに込めることが、サントリーならではのマナー広告につながるのではないかと考えたという。

新たにイラストを描きおこすにあたり、白井氏が念頭に置いたのは「現代の人が登場人物を見た時に、“自分ごととして感じられる”」こと。そして、柳原氏の絵の資料をできるだけ集め、参考値を定めた上で、男性と女性のフォルムの描き方や服装の描き方を現代にチューニングしている。

「従来の柳原さんのイラストでは、男性と女性のフォルムの描き方は全く異なるのですが、女性の描き方を男性に取り入れたり、またその逆を試行錯誤しています。そうすることで性別の隔たりなく、より生き生きと表現する事が可能になったように思います。また服装も現代に感じられるような意匠や色遣いを取り入れて作成しています」(白井氏)

新キャラクター“ほどほどな仲間たち”が登場するアニメーションの声優には、注目の女性落語家・桂二葉さんを起用している。今回、今の時代にお酒のマナーにまつわるメッセージを出すにあたって、今の気分をきちんとふまえた広告をつくろうと考えた結果、桂さん、作曲の菅野よう子さん、歌い手の土岐麻子さんと、女性を中心としたキャスティングに至った。

現在、サントリーの「DRINK SMART」サイトでは、「ほどほどな仲間たち」の紹介や「ほどほど応援歌」のフルバージョン他、「お酒ほどほど診断」や同社の適正飲酒啓発活動の取り組みなど、さまざまなコンテンツを公開している。
 

スタッフリスト

企画制作
読売広告社+HASHI.Inc+サン・アド
CD
菅野紘樹+橋田和明
C(キャンペーン全体)+企画+作詞
岩崎亜矢
C(「お酒は、なによりも適量です。」)
⻑沢岳夫
AD+D+I+企画
白井陽平 ※イラストは著作権利者許諾済
PR
脇達也、福地陽介、永松美穂、畠山雄栄
PM
岡 美穂子
AE
⻑谷川琢也、川野滋之、矢野優毅
演出
柴田恭輔
アニメーター
泉優次郎
編集
野崎慧
MA
川瀬加奈子
SE
磯村享平
振付
伊藤千枝子
作曲
菅野 よう子
土岐 麻子
音楽PR
冨永 恵介
製版・印刷
トーン・アップ

ECD/エグゼクティブクリエイティブディレクター/CD:クリエイティブディレクター/AD:アートディレクター/企画:プランナー/C:コピーライター/STPL:ストラテジックプランナー/D:デザイナー/I:イラストレーター/CPr:クリエイティブプロデューサー/Pr:プロデューサー/PM:プロダクションマネージャー/演出:ディレクター/TD:テクニカルディレクター/PGR:プログラマー/FE:フロントエンドエンジニア/SE:音響効果/ST:スタイリスト/HM:ヘアメイク/CRD:コーディネーター/CAS:キャスティング/AE:アカウントエグゼクティブ(営業)/NA:ナレーター


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