待望の第三期は2023年3月に開講が決まり、現在受講生を募集しています。次期の開講を控え、第二期の最終課題で最優秀賞を獲得した竹内駿さん・徳光一蕗さんコンビをゲストとしてお招きし、阿部さんを交えて本講座の魅力をお話しいただきました。
ある人は自分を試しに、ある人は仲間を見つけに
—まずは、この講座の設立の経緯を阿部さんからご説明ください。
阿部:3年ほど前、宣伝会議さんから「専門コースをやりませんか」と打診をいただいた時に、ふと、なぜこれまでの講座ではコピーライター(以下CW)はCW同士で、アートディレクター(以下AD)はAD同士で独立して学んでいるんだろうと疑問に思ったんです。
というのも私自身はCWをしていますが、実際の仕事では私一人で何かをつくりあげることはほとんどなく、9割近くがADやデザイナーの方たちと一緒に打ち合わせをして練り上げているんですよね。
こうした実際の仕事に近い形での講座があることで、共鳴しながら一緒に進んでいける仲間との出会いや講座をきっかけに具体的に何かをつくっていくような関係性が生み出せるのではないかと考えて立ち上げたのが、この「アートとコピー」です。
—お二人は、どんな目的を持ってこの講座を受講したのでしょうか。
徳光:私は普段、ストラテジックプランナー(以下ストプラ)という肩書きで戦略づくりの仕事をしています。主な業務はコピーでいうところのWhat to sayにあたる部分、つまり企画の大きい方向性をデータやインタビューを通して決めています。
戦略をつくることにやりがいを感じつつ、仕事によっては私に求められる役割が企画の「前段」までにとどまるシーンが多々ありました。どれだけその先に興味や意欲があっても、周りは私に企画のアイデアまでは期待していません。自分にだってチャンスがあれば、企画だってできるのに……という気持ちがだんだんと抑えきれなくなり、ここでひとつ、自分の力を証明できる実績をつくるんだという気持ちで参加しました。
竹内:私の参加理由は三つです。一つ目は同じ志の仲間が欲しかったこと。二つ目は一人でつくることに限界を感じていたこと。そして三つ目はグラフィックデザイナーとして働いていた私に、ADとして出向するタイミングが来たのがちょうどこの頃だったことです。
私はこれまでも、コピーも含めて一人で制作した作品を公募に出したりしていたのですが、ファイナリストまでは残れても受賞にはなかなか届かない。その一方でグランプリ作品の制作者はチームやペアで取り組んでいる方が多いなと感じていました。自分にもコピーを任せられる人がいたら心強いでしょうし、また視野を広げることでADとしてのスキルアップにもつながるだろうと思って受講しました。
「戦略×互いの武器」で、極限まで質を高める
—お二人は最終課題でコンビとなり、最優秀賞を獲得されました。最終課題にはどのように取り組んだのでしょうか。
徳光:まず、自己紹介をして互いの武器を確認する時間をしっかりと取りました。今まで手がけた仕事や、好きな広告、目指しているもの、普段仕事でモヤっとすることなどを共有し、その中から私の武器は課題設定と言語化力、竹内さんの武器は圧倒的なクラフト力だと整理しました。さらに言えば、竹内さんは「シンプル」「グラフィカル」「見立てる」表現が得意であることも、この時点で把握しました。
もう一つ、最終課題のテーマである「アートとコピーの広告をつくる」に対する勝ち筋を設計するため、「クライアント(=阿部さん)の視点」「審査員(=最終回ゲスト講師の副田高行さん)の視点」「ターゲット(=次年度の受講者層)の視点」の三つを考えました。
そこから導き出したのが、「真剣勝負ゆえの緊張感を伝える」「アートとコピーという講座の機能的な違いを伝えるのではなく、もっと『大きなメッセージ』を伝える」「たかが講座、されど講座。本格的なアウトプットが生まれる場だと信じてもらえる表現を目指す」の三つの目標設定をし、これらを作品に盛り込んでいくことに決めました。
徳光 一蕗(電通 プランナー/第2期コピー生)
2018年電通入社、プランナー。戦略からクリエーティブまで。 イマジナティブなコンセプト設計を大事にしています。 受賞歴は、販促コンペ ゴールド、ヤングカンヌPR部門ショートリスト、ACCヤングコンペファイナリスト、枠を超える新聞広告賞 広告主特別賞など。「など」とつけましたがこれが受賞歴すべてです、すみません。
竹内:私からはビジュアルづくりについて話します。まず、初回の打ち合わせに100案のビジュアルを持っていきました。その後のやりとりの中で、基本方針としてはアート生とコピー生の関係をモノに喩えてビジュアル化する方向に落ち着いて行きました。
中でもマッチという案は、ただの足し算では終わらず「火が起きる」という現象に昇華されている点がいいなと私は思っていて、徳光さんも気に入ってくれたので、この案を展開させていくことにしました。以降は、写真にするのかイラストにするのか、どんな色やテクスチャーにするのか、マッチと箱の距離感はどれくらいかなど、選択と微調整の連続でした。僕しか気づいていない検証も多いと思います(笑)。
—選択をされる際や、制作において意識していたことはありますか?
竹内:一目で惹きつけられるか、コンビの個性を活かせているか、講座に申し込みたいと思ってもらえるかの三点だったと思います。また、アート生とコピー生が「寄り添った」感じの作品が多いだろうと予想されたので、いい意味でぶつかりながらも互いに自由にやる作品をつくれたら目立つんじゃないかなとも思っていました。徳光さんにはその辺りも非常に伸び伸びとやらせてもらい、サポートしてもらったと思っています。
竹内 駿(アドブレーン アートディレクター/第2期アート生)
1994年新潟県生まれ。2017年大阪芸術大学卒業後、株式会社アドブレーン入社。現在、電通にアートディレクターとして出向中。グラフィックデザインを中心に社内外問わず幅広く制作活動を行っています。
阿部:今、「目立てるか」という話がありましたが、2期生の全21コンビが同じ課題に取り組むと「こんなにも他人と視点がかぶってしまうのか!」という気づきがあるんですよね。それを全8回の課題で繰り返すうちに、どうすれば人とかぶらずに、明確にメッセージが打ち出せるかが体に染み込んでくる。お二人の作品はその集大成だったのではないかと思います。
アートとコピーは終わらない。本当の舞台はここから
—この講座をどんな人におすすめしたいですか?
徳光:これは私自身の動機でもありましたが、自分を「証明したい人」におすすめしたいです。自分には今よりもっとやるべき仕事があるんじゃないか、もっと行くべき会社があるんじゃないか、もっと評価されるべきなんじゃないか。そう感じている人には、おそらく「まだまだ証明すべき自分がいる」のではないかと思います。そんな人に、ぜひ、証明しにきてほしいと思います。
阿部:徳光さんは最終課題のグランプリだけでなく、第3回ACCヤングコンペのファイナリストに残るという結果もこの講座で出会ったアートディレクターの方と組むことで達成されています。こうしたことで、何か実際の仕事に変化はありましたか?
阿部 広太郎(電通 コピーライター)
電通入社後、人事局に配属されるも、クリエーティブ試験を突破し、入社2年目からコピーライターとして活動を開始。自らの仕事を「言葉の企画」と定義し、広告クリエーティブの力を拡張し、社会と向き合う「クリエーティブディレクター」を目指す。連続講座「企画でメシを食っていく」を主宰。「企画する人を世の中に増やしたい」という思いのもと、学びの場づくりに情熱を注ぐ。著書に『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』(弘文堂)、『コピーライターじゃなくても知っておきたい 心をつかむ超言葉術』(ダイヤモンド社)、『それ、勝手な決めつけかもよ? だれかの正解にしばられない「解釈」の練習』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
徳光:ACCヤングコンペは会社の中でも唯一ファイナリストに残っていたので、そうした客観的な事実があると少し自信がつき、一緒に仕事をするクリエイティブディレクターや営業さんに「僕、ストプラだけじゃなくて企画もできると思うんですけど、そういった関わり方もできるか」と交渉するようになりました。その結果、講座を受講して以降、企画のアイデア出しや制作まで担当する案件も増えてきました。
阿部:キャリアにつながってきたんですね。とても嬉しく思います。
竹内:私は、「きっかけがほしい人」にぜひおすすめしたいです。今の自分に満足していなかったり、周りからの評価に乖離を感じていたり、転職を考えていたりする人にとって、仲間との出会いが何かを叶えるきっかけになるかもしれません。私自身、この講座で出会った人と、仕事をしたりコンペに出したりと現在進行形でいくつものことを進めています。去年からは考えられなかったことです。
阿部:同じ熱量で取り組める相方が見つかったんですね。
竹内:はい。この講座の仲間と組んで応募した、長崎新聞社主催の広告賞「ワクコエ」でも3作品で審査員特別優秀賞をいただきました。良いコピーを書いてくれる人と出会えたからこそ、一人の時にはなかなか手が届かなかった「受賞」という結果につながったのだと思っています。
—最後に阿部さんから、受講を検討する方に向けて一言お願いします。
阿部:この講座は、デザインやコピーを手取り足取り教えて添削するタイプの講座ではありません。相方と組む上での大切な姿勢を伝えて、後は実際にコンビで制作していく講座です。そこで何が得られるかは、参加する人次第ですし、集まる人の思いが何よりも大事です。思いを持ち寄ってくれた方に、私たちは全力で舞台を用意し、サポートしていきたいと思っています。みなさまのご応募をお待ちしています!
◉竹内さん・徳光さん以外の受講生の感想は、こちらからお読みいただけます。広告代理店勤務者のみならず、経営者やフリーランス、広告関連の仕事を志望されている方、小さい子どものいる方など、いろんな立場の42人それぞれの奮闘をぜひ覗いてみてください!
(質疑応答)
Q. 申し込みと同時にポートフォリオは必要ですか?
A. 同時である必要はありません。ポートフォリオは、お申し込み後に自動送信で届くURLに、2月16日23時59分までにアップロードいただければ大丈夫です。
Q. 仕事でコピーとデザインの両方を担っており、どちらの能力も磨きたいので、両方の役割で参加することは可能ですか?
A. 本講座ではコピーライターとデザイナーの人数を均等に揃え、一対一で組むシステムとしているため、原則どちらか一つに決めていただいての参加となります。ただし、コンビとして一つの課題に取り組む中で、デザイナーの側からコピーの案を出すことや、コピーライターの方がデザインの案を出すことは大いにありえます。ご自身の能力と相手の能力の全てを駆使して課題に取り組んでいただければと思います。
Q. 仕事と課題のサイクルをどのように回していましたか?
A . 徳光:私はすべての打ち合わせをリモートでおこなっており、頻度は大体週に一度、平日の終業後の時間帯が多かったです。基本は最初の1、2回で企画の骨格をつくり、3回目でラフを見せてもらい、4回目でブラッシュアップしていくというサイクルでした。ただ、方針がなかなか決まらない場合には、平日の夜や週末に30分でも打ち合わせを入れることもありました。皆さん仕事があり、家庭の事情もあり、様々な制約がある中で、どんなサイクル、スケジュールで回したらベストなアウトプットを提出ができるかという「プロジェクトマネジメント」の視点も重要な講座だと思います。
竹内:私もほぼ同じですが、相手が多忙だったりお子さんがいたりすると臨機応変に対応していました。
事務局:全体サイクルとしては、各講義(大体月1ペースで開催)の最後に次回の課題とコンビが発表されます。課題の提出日は次回講義の約一週間前であることが多いため、課題ひとつあたりおよそ23日間かけて取り組んでいただくことになります。
Q. アウトプットは毎回印刷して提出するのでしょうか。
A. 受講生はデータで提出し、出力が必要なものは事務局の方で出力します。
Q. 参加者はすでに仕事でコピーやデザインをしている人が多いのでしょうか?私は本業は別分野で、でも言葉に興味があってCW養成講座を受講しています。そういう人でも大丈夫でしょうか。
A. コピー生に関しては、仕事上の肩書きがコピーライターではない方(プランナーなど)も多くいますので、職種に縛られずにご参加いただけます。デザイナーに関しても制限はありませんが、制作する上で具体的なスキルが必要な面もあるため、過去の受講生はほとんどの方が仕事でデザインをされています。
Q. 受講した半年間で、新たな発見はありましたか?
A. 徳光:プロジェクトマネジメントをする意義を再発見しました。単に納品日から逆算してスケジューリングするというだけではなく、「相手に伸び伸びと制作してもらうこと」を意図的に狙う場合、企画を立て、深掘りすることと深掘りしないことの線引きを「言葉」にして整理していました。それが結果的に、アートディレクターの潜在能力を引き出すことにつながるシーンがあり、そこに価値と手応えを感じました。
竹内:私は実はこれまで自分のデザインにあまり自信がなかったのですが、他の受講生に何度も見てもらうことを通じて、名前を伏せても伝わっていく自分らしさや個性があることに気がつくことができ、それが自分の武器であることを再確認できました。
広告業界を超えて活躍する、最強のコンビを、ここから。
コピーライター養成講座×アートディレクター養成講座
「アートとコピー」コース 阿部広太郎クラス
第3期、エントリー締切(2月16日)迫る!
コピーライターとデザイナー・アートディレクターが共に学び、切磋琢磨し合う特別な講座です。
◯2023年3月4日(土)開講
◯コピーライターとデザイナー・アートディレクターをそれぞれ25名ずつ募集します。
◯2023年2月16日(木)エントリー締め切りです。
◯エントリーのためにはポートフォリオ提出が必要です。
詳細・お申し込みはこちら