BtoB企業の新たな選択肢「Microsoft 広告」の有用性とは

2022年5月、マイクロソフトは広告事業を再始動し「Microsoft 広告」を開始した。この動きにいち早く対応したのがデジタルマーケティングを支援するメディックスだ。今後、注目度が高まるであろう「Microsoft 広告」の優位性はどこにあるのか、メディックスの根口邦彦、河分奈々子両氏と、日本マイクロソフトの有園雄一氏に聞いた。

写真左から、メディックス ビジネスマーケティングユニット ユニット長 根口邦彦氏、日本マイクロソフト Microsoft Advertising Regional Vice President 有園雄一氏、メディックス ビジネスマーケティングユニット チーフ 河分奈々子氏

検索エンジン「Bing」のシェアが伸長

−−今回、マイクロソフトが日本で広告事業を再始動させた理由は

日本マイクロソフト Microsoft Advertising Regional Vice President の有園雄一氏

有園:さかのぼると、当社の広告事業は1995年の「MSN」から始まっています。日本でも2000年代にはサービスを展開していました。2015年に日本の広告ビジネスはAOLへ譲渡し、縮小していましたが、2022年5月31日に日本での広告ビジネスを再始動させました。

近年、マイクロソフトの広告事業はグローバルで1兆円を超える規模に成長しています。その背景となっているのは世界的に進められている3rd Party Cookie(クッキー)規制です。グーグルのブラウザー「Chrome」は、まだ大手では唯一3rd Party Cookieを使用できますが、2024年に廃止することが発表されています。

一方で、私たちはブラウザー「Microsoft Edge」や「Microsoft 365」などの自社製品を通じて取得した、1st Party Dataを所有しています。また、検索エンジン「Bing」のシェアも伸びています。日本でも17%近くになっており(StatCounter調べ)、これからも増えていくと予測しています。

各検索エンジンの日本国内シェア率
(出典元: https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/desktop/japan/#monthly-202112-202212

2024年以降、Cookie規制が完了すると、これまで広告配信に使用していた3rd Party Cookieのデータが使えなくなります。そのようなデータ規制は、マイクロソフトにとっては、追い風になっていきます。なぜなら 1st Party Dataをマイクロソフトは大量に保持しているからです。当社のミッションは「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」です。このミッションに基づいて、私たちが所有しているデータを活用して、広告業界や広告主企業の支援、潜在能力の発揮に貢献できると考えています。

当社はアマゾンやアップルに匹敵する、世界でトップクラスのデータ保有企業です。世界的にMicrosoft 広告に勢いがある理由は、そのデータを活用した検索結果のレベルの高さ、広告配信のターゲティングの精度の高さなどに、エンジニアなど最先端のユーザーと最先端の広告主が気づき始めたからです。日本にもその勢いが波及しており、売上も急激に伸びてきています。

データが裏付けするアドバンテージ

−−メディックスがBtoB企業の支援として「Microsoft 広告」に注目したポイントはなんですか

メディックス ビジネスマーケティングユニット ユニット長 根口邦彦氏

根口:理由はふたつあります。ひとつは検索エンジン「Bing」にポテンシャルを感じたことです。私の部署は、BtoB企業を専門にマーケティング支援をしており、BtoB企業のマーケティングデータに目を通す機会が多くあります。その際の分析の指標として、各検索エンジンの自然検索経由の流入や、そこからのCVR(コンバージョンレート)があるのですが、CVRの比較では概ね「Bing」の数値が良かったです。セッション数でも、グーグルには及ばないものの、ヤフーと同等のボリュームが出そうな傾向が見えています。
よって現在、グーグルやヤフーのリスティング広告を実施している企業においては、「Bing」を追加することでリード獲得数を上積みできそうだと感じました。

二つ目はBtoB特有の事情にあります。企業内で使用されるパソコンでは、セキュリティを含めた社内ルールなどによってブラウザーは「Microsoft Edge」、検索エンジンは「Bing」しか使えないようになっているケースがあると聞きます。当社のクライアント企業でもブラウザーを起動したときに表示されるスタートページは、デフォルトでBingをベースとした「Microsoft Edgeの専用ページ」が設定されており、ユーザーごとに自由に変えられないような企業も実際にいらっしゃいます。

某大手人材サービス会社のスタートページ。このケースではホールディングス配下の全事業会社が「Microsoft Edge」で固定されている。

こうした環境の企業をターゲットとする場合、グーグルやヤフーへの出稿ではリーチし切れません。特に、数千万円~数億円規模の商材を扱う企業は、ターゲット企業をバイネームでリストアップしているケースもありますが、もしリストアップしたターゲット企業が「Microsoft EdgeやBing」しか使っていない場合、グーグルやヤフーへの出稿だけでは機会損失に繋がってしまいますよね。ターゲット企業の検索環境をふまえて、出稿先の選択肢を広げる意味でも「Microsoft 広告」の併用は検討に値すると考えています。

有園:私は8月に日本マイクロソフトへ入社していて、その前は個人でコンサルティングをしていました。その際にコンサルティングしていた金融系の企業は、社内用に私にもパソコンを用意してくれていたのですが、「Microsoft Edge」しか使えず、変更もできなくされていました。金融系は特にセキュリティが厳しいという事情もありますが、このケースほどではなくても日本の、特に大企業と呼ばれるような会社は同じような体制をとっていることが多いと思います。

「Microsoft Edge」のダウンロードは日本でも7500万あります。個人で複数台、パソコンを持っているケースや、スマートフォンも含まれているので、単純に7500万人が使っているとは言いませんが、先ほどふれたとおり、企業も含めて7500万のデバイスに入っているのは事実です。

他媒体の入稿データもボタンひとつで流用可能

−−6月以降の運用でどのような成果が得られていますか。また、運用して感じる優位性はどこにありますか

メディックス ビジネスマーケティングユニット チーフ 河分奈々子氏

河分:「Microsoft 広告」の特徴はCPC(1クリックあたりコスト)の圧倒的な低さです。BtoB企業の業種別データを見ても他社比で10分の1以下になっているものもあります。また、CPAも良い水準で獲得できているので、クライアント企業にも喜ばれています。また、クライアントからはリードの質が高いという報告も受けています。

そのアカウントのオーディエンスデータを見ると、Google 広告のインプレッションは年齢層が25歳から40歳までの割合が多いのに対して、Microsoft 広告は35歳から64歳の層が多い傾向が見られました。このデータから、「Microsoft 広告のオーディエンスは企業内の意思決定層が多い」ことが想定され、そのことがリードの質の高さの一要因につながっていると考えられます。

根口:BtoB企業のコンバージョンポイントは、お問い合わせや資料請求などで個人情報を開示するという部分で設定されることが多い。つまり、コンバージョンすなわち売上というわけではありません。当然ながら、広告を配信してコンバージョンが獲得できればそれでいいわけではなく、その先にある商談や受注に繋がっているかも重要です。

そうした前提をふまえて、弊社ではMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング活動によって創出されたホットリード)単価やSAL(Sales Accepted Lead:フィールドセールスへ引き継がれたリード)単価についても検証しています。

河分:実際運用してみて感じるのは、スタートの障壁が低いということです。広告配信する企業にとって初めての媒体を使うときは初期入稿に伴う作業負荷やクライアント側の確認負荷が発生します。「Microsoft 広告」は、ボタンひとつでほかの媒体の配信内容をインポートでき、すでに他媒体を実施している企業であれば、始めやすいのではないかと感じています。

有園:インポート機能は、他のインターネット広告用に設定しているキーワードや広告の文言、リンク先などの各条件をダウンロードして「Microsoft 広告」の管理画面に連携することができます。

我々が推奨しているのは、最初はインポート機能による素材流用から始めて、媒体の特徴に合わせてカスタムしていくことです。根口さんや河分さんからも説明があったように、媒体によってオーディエンスや検索の動向、トレンドの違いがあるので、調整した方が成果も高まると思います。

河分:広告表示オプションも独自性があって興味深いですね。他社ではひとつしか表示されない画像も、「Microsoft 広告」ではマルチで表示させることができますし、CTAをつける広告表示オプションもあります。

企業内の意思決定層にアプローチ リードジェネレーションの質を向上へ

−−どのようなBtoB企業に「Microsoft 広告」をおすすめしたいですか

根口:グーグルやヤフーのリスティング広告を既に実施しているBtoB企業には優先的にご提案を進めていきます。想定効果としては、グーグルやヤフーとは違ったユーザー層にリーチできるため、コンバージョン数の純増はもちろんのこと、媒体ごとのコンバージョンの質の違いを検証した上で、広告のPDCAが回せるという点です。

というのも、先ほどBtoB企業のコンバージョンポイントの多くはお問い合わせや資料請求だと言いましたが、よくある悩みとしては、コンバージョン数は獲れている、CPAも低く抑えられているが、商談や受注につながらない、というもの。これではクライアントの本質的なゴール、課題解決につながっていません。私たちは、コンバージョンがきちんと商談につながり、売上に貢献するところまで伴走したいと思っており、今後は「Microsoft 広告」という新たな選択肢も加えて、クライアントの本質的なゴールに向き合っていきたいですね。

−−「Microsoft 広告」には、今後さらに機能の追加などもあるのでしょうか

有園:近いうちに「LinkedIn」とのデータ連携によるターゲティング機能が実装される予定です。「LinkedIn」が持っているデータやメールアドレスも、個人使用よりも法人内で使用しているものが多いので、BtoB企業にとっても価値を感じてもらえるサービスになるでしょう。

リードジェネレーションの次のステップについてふれておくと、BtoB企業がやるべきことのひとつは、顧客データプラットフォーム(CDP)を整備することです。CDPが整っていれば、そのデータに基づいたターゲティング広告を配信できます。

このとき、BtoB企業にとって重要なのは、法人でターゲティングすることですよね。一般的にSNSなどのWebサービスは個人でアカウントを持つ方がほとんどで、自社で蓄積した顧客データとの合致率が低くなりがちです。

一方、マイクロソフトのサービス、たとえば「Microsoft 365」のアカウントは、基本的に社用のメールアドレスで登録されているので、ターゲティングの精度が高くなります。
見込み客のデータから受注へつなげたり、あるいは既存顧客のアップセルやクロスセルにつなげたりする上で、1st Party Dataを活用して成果を伸ばそうと思えば、ターゲットとの合致がカギになります。

今回、メディックスのデータを拝見して、改めて「Microsoft 広告」がBtoB企業の意思決定層への影響力が高いことを認識できました。私たちが持っている1st Party Dataは、BtoBだけではなく、BtoCにも活用可能だと考えているので、メディックスさんとは今後も協力できればと考えています。

根口:クライアント企業が保有するメールアドレスをもとにターゲティングして広告配信する場合、BtoBだとマッチ率の低さがネックとなることが多かったのでそれは興味深いですね。

2023年2月には日本マイクロソフトとの共催でセミナーも予定しています。そこでは今回お話ししたものよりも、より詳細なデータを用いながらBtoB企業における「Microsoft 広告」の有効性を具体的に解説できると思うので今後も良い取り組みを続けていければと考えています。



Information

2月7日(火)13:00~14:00 
【Microsoft社がゲスト登壇】
BtoB企業向けMicrosoft 広告徹底解剖ウェビナー
https://info.webbu.jp/SE_20230207_microsoft-ads.html

株式会社メディックス
URL:https://btob.medix-inc.co.jp/index.html


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