パートナー選びの注意点
サイバー・バズとデジタルインファクトの推計によると、国内インフルエンサーマーケティング市場規模は、2023年に前年比20.5%増の741億円に拡大するという。広告案件やプレーヤーが増える中、電通でインフルエンサーマーケティングの専門組織であるインフルエンサーターミナルを主宰している山川綾氏は、「インフルエンサーを扱う企業は数多あり、さらにコモディティ化してしまっている印象があります」と話す。
インフルエンサーターミナルには、年間で約20社のインフルエンサーマーケティング企業からケイパビリティや情報共有の依頼がある。パートナーとして選びで気をつけたい点は次のとおりだ。
・熱意だけ or データだけ
・求めている案件数に乏しく、知見が少ない
・インフルエンサーについての理解が浅い
・熱意だけ or データだけ
「担当される方はやる気があって印象が良くても、分析ツールが整備されておらず、事例や詳細なデータを出す術がないと、クライアントへ精緻な提案、正確な成果が出せません。逆に、優れた分析ツールを持っていても、それを使いこなせておらず提案に反映されていないと意味がありません。ここのバランスが取れているか見極めるのが大切です」(山川氏)
・求めている案件数に乏しく、知見が少ない
「インフルエンサーマーケティングは急伸している市場ですが、まだ過渡期でもあります。クライアントはもちろん、ともすれば広告会社にも十分な知見があるとは言いづらい面があります。実際に携わっているインフルエンサーマーケティング企業で、どういったケースにはどう対応すべきか、という実績があると安心材料になります」(山川氏)
・インフルエンサーについての理解が浅い
「今やインフルエンサーは星の数ほどさまざまな方が活動されています。クライアントがインフルエンサーをどうやって選べばいいのか? 悩むのは当然のことです。リストにあげたインフルエンサーの一人ひとりのパーソナリティやフォロワーの傾向、投稿のスタイルを把握し、依頼されている案件にどう適しているか、新しい発見や切り口を一緒に考えられるのが良いパートナーだと思います」(山川氏)
「インフルエンサーを起用したタイアップ広告、PRなどの施策は、インフルエンサーの人格をフィルターにして打ち出すものです。その方が築き上げた物語があって、共感するフォロワーが集まっています。インフルエンサーとそのフォロワーにも深い理解があり、客観的にそれを示すエビデンスがある。パートナー選びに迷った時は、この2点において納得できるかがひとつの指標になると思います」(山川氏)
こう話す山川氏が、「安心して任せられる人の一人」と話すのが、BitStarの中村心美氏だ。
相性の良い企画まで先回り
BitStarは、当時「インフルエンサーが活躍できるインフラを作る」というビジョンを掲げ、2014年7月に創業。インフルエンサーマーケティングがまだ草創期といったころだ。現在は上場を視野に入れ、インフルエンサー支援のほか、コンテンツ制作、D2Cブランドへの参入など、事業を広げてきた。
草創期と言える頃からインフルエンサーマーケティングに携わる同社で、重要視しているのが「キーメッセージの策定」だ。中村氏は、「この商品にはこのインフルエンサーが合います、ということではなく、何を伝えるかから考える、ということです。インフルエンサーは、そのメッセージと親和性のある方を選ぶべきです」と話す。
「たとえば、ある化粧品が伝えたいメッセージが、『自分らしさをどう表現するか』ということであれば、必ずしも美容系のインフルエンサーが適切だとは限りません。より、そのメッセージを発信するにふさわしい方がいます。きちんと自分を持っていて、ふだんからそうした投稿をし、共感を得ているインフルエンサーのほうが、メッセージは伝わります。商品のターゲットの年齢や性別といった枠組みや、ある種の先入観から選んでいくと、成果としてはふるわないケースも出てきてしまうのです」(中村氏)
メッセージも、キャンペーン全体のコンセプトなのか、SNSキャンペーンのハッシュタグなのか、といった規模の大小もある。クライアントがインフルエンサーマーケティングで何を目的にしているのかによるのはもちろんだが、「基本的にはインフルエンサーを活用することで何をどのように届けられるのか、プランニングに近いところまで実施できるようになってきました」(中村氏)
山川氏が、中村氏の提案の特徴のひとつに挙げるのは「切り口」だ。ほかの企業が提案してきたインフルエンサーと、セレクトは同じでも、その仕方が違うという。中村氏はこう話す。
「その商品にこのインフルエンサーを勧めるのはなぜか、はもちろん、もしアサインするとしたら、どんな企画と相性が良いと考えられるか、などを先んじてご提案することを心がけています」(中村氏)
それを下支えしているのが、インフルエンサーの分析力だ。自社で開発しているツール「IPR(Infulencer Power Ranking)」は、インフルエンサーキャスティングのためのデータベースで、40万人のインフルエンサーのデータを登録している。ツールの導入企業は3000社に上るが、自社のプランニング時にも強い武器となっている。
「IPRを用いて、デモグラフィックデータやタイアップ時の実績、人気を集めているコンテンツといった定量データはもちろん確認します。それに加えて、動画も含め投稿を目視で確認します。ふだんからどんなトーン&マナーで投稿をしているか、それに対してフォロワーがどんな共感を示し、反応しているか、などを確認した上で、適したインフルエンサーを選んでいきます」(中村氏)
「IPR」には山川氏も太鼓判を押す。
「とあるクライアントで、細かな分析を求められた際、IPRで詳細なデータを簡潔にまとめてもらい、とても助かりました」(山川氏)
インフルエンサーをファンにできるか
インフルエンサーマーケティングは、「ある分野で影響力を持っていたり、専門家としてみなされる人による推薦を利用した、ソーシャルメディアマーケティングの一種」だ。しかも、「その人は、より生活者に近い存在。そういった人が発信するので、信頼が増す」(中村氏)。
では、インフルエンサーマーケティングを成功させる上で、最も重要なことは何か。中村氏は「インフルエンサー自身が、そのブランドのファンになるためのコミュニケーション」だと言う。
「インフルエンサーは、その方自身がメディアとなっています。普段からの投稿をどんな思いでしていて、それをフォロワーがどう受け取っているのか。そのやり取りの中で、インフルエンサーが『私は、これをおすすめしたい』と、自身を主語にして紹介するからこそ、信頼され、広まります。なので、インフルエンサーがそのブランドのファンになることがベスト。熱量につながった瞬間に、最も効果を発揮します。そのためのコミュニケーションも不可欠です」(中村氏)
もちろん、広告であることを隠さないのは言うまでもない。むしろ中村氏は、「広告であることは、フォロワーにとってはプラスに働くケースが少なくない」と話す。むしろ、インフルエンサーに『企業案件(広告のオファー)が来た』ということを、フォロワーが歓迎するようになったという。
しかし、それも、インフルエンサーを真の意味で巻き込むことが必要だ。山川氏も、こう語る。
「インフルエンサーは広告会社やクライアントからすると非常にパワーのある新しいメディアですが、彼ら、彼女らは生きている一人の人間であって、フォロワーはその方が築いたコミュニティです。だからこそ、その方自身の言葉で発信してくれたら高い効果が期待できますが、逆にこちらがコントロールし過ぎようとすると残念な結果を生んでしまいます。この機微を踏まえ、インフルエンサーマーケティングに対する深い理解をもったBitStarさんなら頼れるパートナーとして共にインフルエンサー施策を成功へ導けるのではないでしょうか」(山川氏)
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株式会社BitStar
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