主演映画が20カ国以上で公開。意外だった海外の反応は?(岸井ゆきの)【後編】

「ご飯」が実現しないのは、リマインドするのがイヤだから!?

澤本:でも、難しいよね、あれは。リマインドするの、嫌じゃない?

権八:リマインド?

澤本:リマインドっていうのは、「あの時、ご飯行きましょうって言ってましたよね?」って言うのがイヤじゃん。

権八:ああ~!まぁね。

澤本:リマインドしたものの返事が来ないとか、最悪じゃん。

岸井:うわぁー!さみしいー!!

澤本:もうホントにイヤになっちゃうからさ(笑)。

権八:わりかし、傷つくことを織り込んでやらないと、イヤになっちゃうんだね(笑)。

澤本:そうそうそう。

岸井:でも、ホントに澤本さんが佐久間宣行さんとご飯に行きましょうって言ってくださるじゃないですか?

澤本:はいはい。

岸井:ホントに行きたいのに、誘ってもらえないんですよ。

権八:あっはっはっはっは!

中村:それはリマインドしないからですよ!澤本さんからは絶対にリマインドしないから。

権八:クレームですよ、クレーム。面と向かって(笑)。

岸井:そう。8カ月間も全く誘われず……。

権八:なにぃ~!?(笑)

澤本:いや、でも……。感想を送った時には、言ってるよ?

権八:うろたえてる!(笑)

岸井:それからどうしよう、っていうのが難しくて……。

澤本:いや、僕だって「例の案件ですが、そろそろいかがですか?」って言うの、イヤじゃないですか、なんか。どうしましょうね?

岸井:どうしたらいいんです?

権八:だから、飯でしょう?何が好きなんですか、ご飯は。

岸井:最近は、行ったらいろいろ頼めるところが好きですね。「鉄板焼」とかってなると、鉄板焼しかなかったりするじゃないですか?

権八:はいはい。

岸井:そうじゃなくて、〇〇の炒めものと、魚と、みたいにいろいろ選んで、ミートボールと煮物もある、みたいな(笑)。

一同:ええ~!?

権八:なかなか……。急にハードルがガンガン上がって。みんな「じゃあ、やめとくか」ってなるかな。

一同:(爆笑)。

権八:お酒は結構飲むんですか?

岸井:いやー、強くはないので。いっぱいは飲めないんですけど。安く済みますよ!

一同:あはははは!

岸井:すぐ「わーい!」ってなるので。「楽しいね!」とか言っちゃう。

一同:(爆笑)

権八:いいね~!その柴田理恵さんみたいなノリが(笑)。

一同:あはははは!

岸井:「今日、たのしいです!」とか言っちゃう。

権八:あ、最高じゃないですか!なんでそれなのに行ってないんだろうね。なんで澤本さんは行かないんだろうね?

岸井:なんでですか?

澤本:いやいや……。

権八:わははははは!

澤本:いや、僕も誘いづらいわけですよ。頑張らないと(笑)。

一同:(笑)。

同じ映画でも海外だと感想が変わる

権八:映画の話に戻すと、『ケイコ 目を澄ませて』は世界中の映画祭で絶賛されているじゃないですか?まずはベルリンだったのかな?

岸井:はい。ベルリンに行きました。

権八:そういう「海外志向」みたいなのは、岸井さんはあるんですか?海外の作品とかに興味は?

岸井:興味はあります。映画は基本的に海外のものを多く見ているので。この仕事を始める前からずっと影響を受けていて。そうですね、興味があります!

澤本:あはははは。

岸井:興味があるし、この映画は日本公開がほぼ最後ぐらいの感じで。もう21カ国を回ってから帰ってきた形なんですね、この『ケイコ 目を澄ませて』は。

澤本:あ、そうなんだ?

岸井:そうですね。なので、日本語以外の感想を先にもらっているんですよ。そういうのを見ていると、やっぱり感覚が結構違うなと。

澤本:それは興味があるな、どう違います?

岸井:まずは伝え方というか。どう思ったのかを自分の生活にちゃんと重ねて感想をくれるというか。

一同:へえ~。

岸井:あとは、映画祭にわざわざ出かけて見る方は本当に映画が好きな方なので。「このショットの意味は?」とか「このショットが最高なんだよ!」とか。あとは、私がかなりお気に入りのコメントが「小津安二郎がクリント・イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』を撮ったみたいだ」っていうもので。それもすごい面白かったし。

権八:ほお~。なるほど!

岸井:私のことを知らない方が多いので、ドキュメンタリーだと思う方も多くて。ドキュメンタリーだと思うとまた感想も変わってきますよね。感想を読むと皆さん、自分の意思がハッキリしているな、と思いましたね。見方を自分で決めていいというか「自分はこう思った」と。そこに他人の意見が全く入っていない感じがしました。

澤本:いいですね、なんか。

岸井:「皆はどう思うかわからないけど、私はこう思いました」みたいなのが日本映画の場合はあるなと感じるんですけど、そういうのが全くない。「自分の映画」にしてくれている感じがしたし、もしかしたらこの映画がそういうつくりになっているのかもしれないんですけど。

海外の作品に出ることにも興味はありますけど、たとえばこの映画を海外で上映した時に、他の国の人がどう感じるのか、この目で見てみたい、というのがありますね。なので、演劇でもそれができるな、と思って。海外のツアーとかもあるじゃないですか?

澤本:うんうん。

岸井:私は「演劇を見ている人たち」を見たい。この映画が世界を旅してくれたことで、そういうことに興味があるんだなと気づかされました。

澤本:実際に、映画祭で上映されている場で観客側として見たことはありますか?

岸井:はい。釜山でそれをやりました。

澤本:どうでした?

岸井:「ここで笑うんだ?」っていうのはありましたね。ちゃんと楽しんで観てくれているんだな、という。ひとつの物語として「グッ」と入ってくれたなという瞬間を肌で感じたのが面白かったんですけど、最後まで観られなかったんですよ。映画祭の「Q&A」があったので。

澤本:あ〜、そうかそうか。

岸井:でも、「これ、最後まで観たかったな~」って思いましたね。

次ページ 「海外のお客さんは「つくり手」に忖度しない」へ続く

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