人材・システムエンジニアリング・インターネットメディアサービスなどを手掛けるレバレジーズは、TikTok広告を活用することで、運営する就活アプリのインストールあたりの広告費(CPI)を、4分の1以下に低減させた。主導したマーケティング責任者の夜久昂平氏は、 「TikTok for Businessの『Spark Ads』を活用して、TikTokらしい動画広告を実施したことが功を奏した」と話す。
理想の流入構成に近づけたい
レバレジーズが運営する「career ticket scout(キャリアチケットスカウト)」は、大学生向けの就職活動支援アプリだ。登録した学生に対し、企業側から新卒採用への応募を呼びかける、いわゆるスカウト型のサービスを提供している。TikTokへの広告出稿は22年4月ごろに始めた。
TikTokを出稿先として選んだ決め手について、夜久氏は「運用可能で『キャリアチケットスカウト』とも相性が良く、学生のユーザー数を担保できているプラットフォームだったため」と話す。
「理想は、ネットやアプリストアでの指名検索流入が多いこと。また、アフィリエイト広告や提携媒体からの流入は、目標CPIの範囲内に収めつつ、露出面を多く獲得できている必要があります。それでも目標に達しない場合の補助的な手段として、Web広告があると考えています。
しかし、TikTokへの広告出稿を始める前後での状況は、SEOやASO、あるいは運用型広告など、自社でコントロールできる部分が少なく、アフィリエイトが多い状況でした。そうした状況だと、たとえば経営方針の変化にタイムリーに応えるといったことが難しくなります。ある程度の規模の学生をユーザーとして抱え、運用可能なチャネルを探していました」(夜久氏)
TikTokは、大学生を含む幅広い世代に根強い人気を持つ。さらにここ数年で、「教養関連のコンテンツ人気度は、22年は前年比で2倍以上に伸びるなど、TikTokを介して有益な情報を得たいというユーザーが増加しています。就活支援サービスとTikTokの相性が一段と良くなってきているため、レバレジーズ様へTikTokの広告ソリューション活用を提案し、広告配信の実現に至りました」(TikTok for Businessの桑原裕也氏)。
かねてより、大学生が応募先の企業を探して応募するナビ系のサービスだけでなく、企業側からオファーを出す流れも強まってきた。レバレジーズは2017年から展開していた就活エージェントサービスの知見を生かす形で、2021年10月ごろ、「キャリアチケットスカウト」の配信を開始。スカウト型サービスとしては後発で、流入は先行するサービスに奪われてしまっていた。
「就活生への直接のリクルーティングへの追い風は強まっているものの、市場環境としては、自社サービスへの流入はまだまだ少ない状況でした。当時から動画プラットフォームでの広告や、SNSの動画広告は実施していました」(夜久氏)
3カ月で7パターンの改善
当初実施したのは、ほかのプラットフォームで使用していた動画の転用だった。そして、思うような成果には至らなかったという。
「本当に広告的な広告といいますか、TikTokらしいものとは言えないクリエイティブでした。結果、CPIが上振れてしまったため、想定しているCPIとの乖離を解消すべく、動画の見直しにすぐ取り掛かりました」(夜久氏)
「TikTokでの広告配信をより成功に導くクリエイティブのポイントとして、“TikTokらしさ”というものがあります。TikTokらしさとは、人物が登場して、ユーザー投稿のようなリアルさがある動画を指します。現実味のある情報がユーザーの信頼を高め、結果的に広告パフォーマンスの向上に繋がるのです。TikTokで人気のあるクリエイターを活用したクリエイティブを制作し、『Spark Ads』というクリエイターの投稿がそのまま広告として配信されるメニューの活用を提案させて頂きました」(桑原氏)
「TikTok for Businessのみなさんと一緒に出稿のたびにTikTokらしさが反映される指標を分析し、検証すべきことを定め、その結果を踏まえて次の動画、次の動画、と改善を重ねていきました」(夜久氏)
レバレジーズは、TikTokに限らず、広告の企画や制作、運用を自社内で担務しているという点も大きい。「Spark Ads」で実施した動画は、3カ月間で7パターンに及ぶ。必要に応じてMCNとの連携も開始した。
「ほかのTikTokクリエイターさんで『いいね』の多い投稿を見て、どういう言い回しをするといいねが増えるのか、といったことも分析したりして。管理画面でさまざまな指標は自分たちでも見られるので、TikTok for Businessのみなさんとは定例のミーティングを月1回設け、この指標とインストールに相関がありそうだ、という仮説を提示して、分析を深めていきました」(夜久氏)
結果、最終段階では、当初の動画に比べて、TikTok広告における「キャリアチケットスカウト」のCPIは75%減、約4分の1にまで圧縮したという。
「アプリをインストールしてもらえる動画クリエイティブを『Spark Ads』という形式に合わせて作り上げられたのがすばらしいと思います。それぞれの指標はどういった関係性があるのか、というより深ぼった知見は、様々なシチュエーションで活用させていただいており、大変うれしく思います」(紺野氏)
広告を受け入れるユーザー
TikTokでの広告を開始して、間もなく1年が経過する。「今後は、自社でのアカウントを開設し、プロモーションを実施していきたいと考えています。自社でTikTokらしさを備えた広告の制作体制を整えられたこともあり、引き続きファンを増やすための広告を出していきます」(夜久氏)
そのほかのプラットフォームとの違いも明確になった。TikTokでの広告を実施する前は、広告セットやキャンペーンの構成について、「ほかのプラットフォームと同じようにやればいいと考えていました」(夜久氏)
「しかし実施後、そのほかのプラットフォームや動画サービスと比べて、ユーザーの目的が大きく違うということを感じました。そのほかのプラットフォームは、何かを見に行こうと思っていくことが多いのではないでしょうか。一方、TikTokはテレビのザッピングに似ていると思います。比較的広告を受容する余地がある。テレビでも面白いCMであれば見てしまうのと同様、TikTokでも広告色が強くなく、目を引くコンテンツであれば、見てもらえる」(夜久氏)
目標CPIの範囲に抑えつつ、認知も広がってきたという。検索やアプリストアでの指名検索も増え、理想としていた流入構成にも近づいてきた。レバレジーズでは、「キャリアチケットスカウト」以外の人材サービスでもTikTok広告の活用を増やしていくという。
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