薬の価格比較アプリに150万ドルの支払い命令 健康データを広告に活用

米連邦取引委員会はこのほど、処方薬の価格比較や割引サービスを提供する「GoodRx」に、利用者に無断で健康情報をメタやグーグルなどに提供し、広告配信に使用していたとして、150万ドルの罰金の支払いなどを含む同意命令案を発表した。連邦裁判所の承認を経て発効する。「GoodRx」は支払いには同意している。

「GoodRx」のWebサイトのスクリーンショット
「GoodRx」のWebサイトから

 

「GoodRx」は、処方せんで指示された薬が最も安く買える薬局を探したり、割引クーポンを取得できたりするサービスを提供する。利用は無料で、収益の多くは薬剤給付管理会社から得ている。遠隔診療や定期購入サービスもある。2022年第3四半期の収益は1億8731万8000ドルで、前年同期比で約4%減。

訴状によると、「GoodRx」は利用者の健康情報をFacebookやInstagramのターゲティング広告に使用していた。2019年8月には、心疾患や高血圧などのための特定の処方薬を購入した利用者をリスト化し、メールアドレスや電話番号、モバイル広告IDをFacebookに登録して、健康関連の広告を表示させていたという。

グーグルにも同様に、薬の種類や名称、量、関連する健康状態のほか、電話番号、メールアドレス、郵便番号、IDFAやAAIDなどの広告IDを送信していた。FTCは、「GoodRx」が第三者企業に、健康情報を広告の改善など内部目的のために使用させていたとも主張している。

命令案には罰金のほか、広告目的で利用者の健康データを第三者と共有することを永久に禁じることも含まれる。処方薬の購入や病気などの情報を共有したメタやグーグル、クリテオなどの第三者に、データを削除するよう指示する旨も盛り込まれている。

FTCは消費者の健康データのプライバシー保護を強化しつつある。FTCは21年6月にも、同様にグーグルやメタにデータを提供していた、生理周期などを追跡するアプリ「Flo」に措置命令を出していたが、その際は事前に利用者の同意を得ることだけにとどまっていた。

 


 

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