世界一のOOHマーケットを創るために。LIVE BOARDの2023年の挑戦。屋外におけるあらゆるモーメントで広告プランニングが可能に

LIVE BOARD 代表取締役社長 櫻井順氏。

“トリプルスクリーン元年到来”を旗印に事業を展開した2022年。LIVE BOARDは、デジタルOOH(以下、DOOH)施策の基盤となるデータ活用体系を見直し、全国各地のスクリーンとのネットワークを強化した。その成長の先にあるLIVE BOARD、そしてOOH業界の未来像とは。代表取締役社長の櫻井順氏の考えに迫った。

ドコモのビッグデータを活用 ユーザーの興味・関心などの推計も可能に

コロナ禍という未曽有の事態を経て、人々の生活体系は変容した。社会を映す鏡と称される広告業界にも影響が表れ、広告費におけるOOHの割合はコロナ以前の8%から6%に減少した。こうした状況下にあっても「DOOHには伸びしろが、十分にある」と断言する櫻井氏。その自信の背景には、2022年の同社の進化があった。

LIVE BOARDは、NTTドコモ(以下、ドコモ)と電通が手を組み2019年2月に創業した。約9,200万人のdポイント会員数を誇るドコモのデータを用いたインプレッション計測やターゲティング、効果測定を行ってきたが、よりデータの力を発揮するためにはDOOHに特化した運用が必要だった。

そこでLIVE BOARDでは2022年、ドコモのビッグデータを活用した0次分析から施策展開を的確に行える基盤を整備。同社ではこれまでも広告のターゲティング配信を行う際にはドコモ「モバイル空間統計®」等のデータを使用していたが、インプレッション計測やアスキング調査といった効果の可視化への活用に限定されていた。
ドコモの会員基盤によるデータも活用できるようになったことで、ユーザーの興味・関心などの推計も可能に。緻密なターゲティング戦略に対応した、広告配信のプランニングを可能にする体制を整えたのだ。

こうした動きに合わせてLIVE BOARDは、2022年4月にデータサイエンティスト・エンジニアを採用し、約9,200万人の会員情報にアクセスできるデータクリーンルーム(docomo deta squareTM)を社内に内製化もしている。

 
現時点でLIVE BOARDでは全国16,800以上のスクリーンと連携するLIVE BOARDネットワークを構築している。緻密なプランニングに基づく適切な枠への広告の配信、さらには効果測定までが一気通貫で実施可能となっており、従来のOOHでは難しかったPDCAサイクルを回した運用が実現している。

またバイイングにおいてはプログラマティック取引にも対応。これまでデジタル広告を中心に活用してきたブランドマーケターなど、あまりOOHを活用したことのない企業の利用障壁を取り除くことにつながっている。
 

“トリプルスクリーン”でリーチ補完、態度・行動変容喚起の効果が見えてきた

LIVE BOARDが取り組んだ基盤整備の効果は、OOHというメディアの価値の可視化だけにとどまらない。櫻井氏は2022年の年初にテレビ、デジタル、そしてOOHが連動するトリプルスクリーン戦略に寄与するという目標を掲げていた。
これは、OOHの効果の可視化に取り組むことで、テレビ・デジタルとの比較が可能となり、より統合的な予算アロケーションに組み込みやすくなるという構想だ。
実際、2022年の取り組みを通じて、テレビやデジタルにOOHを連携させることで、若年層など前述の2メディアだけではリーチしづらい層へのリーチ補完効果であったり、複数メディアで重複してリーチすることで態度・行動の変容を促す効果などが確認できているという。
「テレビ・デジタル・OOHが連動する広告戦略である“トリプルスクリーン”を掲げて1年。成果は着実に出ている」と櫻井氏は手応えを口にする。

【参考記事】
テレビ・デジタル・DOOHによるトリプルスクリーン元年到来
 

変容期を迎えるOOH業界で、DOOHに特化したデータ運用とスクリーン連携を拡大

振り返ると、2022年はOOH業界の変化が顕著に表れた年だ。『クロス新宿ビジョン』や『渋谷スクランブルスクエアビジョン』に象徴される大型デジタルサイネージが地方都市にも拡大し、DOOHの設置領域は駅や電車をはじめとした“人流の大動脈”にとどまらず、社会に点在するコンビニエンスストア店内やトイレサイネージなどにも範囲を広げた。

これに伴い、LIVE BOARDが管理する全国のスクリーン数は、2023年1月時点で16,800以上に拡大した。交通機関の車内スクリーンとの連携強化により、2021年と比較して4倍近い増加幅を記録している。
「ネットワーク面では、2022年は鉄道各社との連携を強化した1年でした。活気が戻りつつあるOOH業界ですが、車内広告はコロナ禍の影響から脱しきれていません。精緻なデータ分析にもとづく施策により、車内広告をかつての水準に回復させることもLIVE BOARDのミッションだと考えています。そうすればOOH業界はさらに活気づくはずです」(櫻井氏)。

【図表/2022年連携スクリーン一覧】
2月:埼玉高速鉄道 車両内デジタルサイネージ『ダイナミックビークルスクリーン』(計480面)
3月:名古屋駅・栄駅 『スクエアビジョン』(計52面)
4月:京王線 新宿駅 大型LED『新宿 K-DGキングウォール』(計2面)
渋谷スクランブル 大型ビジョン『Mighty Vision SHIBUYA』(計1面)
小田急線(7駅) 『小田急ステーションビジョン』(計9面)
5月:東京メトロ丸ノ内線(6駅) 『M Station Vision』(計72面)
7月:都営地下鉄大江戸線 『六本木ホームビジョン』『汐留ホームビジョン』(計32面)
8月:大阪メトロ 『Osaka Metroネットワークビジョン』(計249面)
11月:近鉄 『京都アーバンビジョン』『あべのハルカス1Fアーバンビジョン』(計24面)
新宿駅南口 『デジタルピラー』(計20面)
12月:西鉄福岡 天神駅 『デジタルアドビュー』(計2面)
東京メトロ日比谷線 車内ビジョン『Tokyo Metro Vision』(計2,464面)
 

メジャメントの業界統一をグローバルガイドラインの改定経験を活かして後押し

もうひとつ、日本のOOH業界の2022年の動きとして10月、グローバルOOH業界団体のWorld Out of Home Organization (以下、WOO)が発表した「OOHオーディエンス測定の新しいグローバルガイドライン」の日本語版発行(一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムより)も大きなトピックといえる。
LIVE BOARDでは、WOOのグローバルガイドラインの策定と意見交換に日本企業として唯一参画し、デジタル化をはじめとした潮流の変化に対応する内容を取り入れたガイドライン改定にも貢献している。
櫻井氏は「LIVE BOARDの取り組みが、世界基準を築く一助になれたのはとても光栄なことです。シングルソースから分析とプランニング、ターゲティング、さらには効果検証までワンストップで実行する仕組みは世界的にも先進性があり、他国の参画企業から興味をもたれました」と振り返る。

 
世界的な流れを受け、日本のOOH業界でも指標統一の動きが進んでいる。「OOHオーディエンス測定の新しいグローバルガイドライン」をもとに業界統一のメジャメント確立に向け、着実に動き始めている。OOH業界とはいえ主要分野が異なる企業が集まるからこそ、“共通言語”としてのガイドラインが必要であり、OOHのさらなる発展とグローバルメディアへの飛躍のため、LIVE BOARDも主体的な役割を果たしていくという。

OOH業界の発展にはクリエイティブの向上も欠かせない。LIVE BOARDのDOOHを活用した広告施策は国際的にも評価され、次代の担うクリエイターも注視する存在となっている。時間帯や場所、人的反応などのオケージョンに応じて広告が変化する『ランダムマック』はACCシルバー賞を受賞し、さらには『ジュラシックワールド』が国内で話題を呼び、ツイートをタイムリーにOOHに表示するグローバルキャンペーン『The Matrix Resurrections』はAdweek’s 2022 Experiential Awardsで受賞。『The Matrix Resurrections』はグローバルなマーケティング施策にもかかわらず、プログラマティックバイイングの仕組みにより容易に実行できる点も特長である。

 

2023年の様々な挑戦の先に見据える、OOH広告費『10%』の大台

2022年にLIVE BOARD、国内OOH業界が取り組んだ基盤整備は、2023年のさらなる発展への足掛かりになるのだ。その一方で、OOHが台頭する過程では様々なニーズへの対応が求められる。広告主の信頼を得るための定量データにもとづく広告価値の可視化や、インフルエンサーがリアルメディアに登場するといったオンライン・オフライン横断施策がその一例である。また、櫻井氏が「新しいアウトプットになり得るかの挑戦」と位置付けるのが、スクリーンを活用したライブ施策。リアルタイムに広告配信する現状から一段階上げて、インタラクティブなライブ配信の実現を目指し検証を進めている。

櫻井氏は“トリプルスクリーン”を深化させるための鍵となることにも言及。質的なデータ分析を今年取り組むべき課題として挙げた。

「同じ1インプレッションでも配信されるエリア特性やその時のユーザーのモーメントにより、その価値は変わると考えています。その価値をどのように可視化するのかが今年のテーマです」(櫻井氏)。

そして、2023年はOOH業界の飛躍に向けた重要な年になる。日本の広告費に占めるOOHの予算は約6%で、コロナ禍から微減している。櫻井氏はここから『10%』の大台に乗せるため業界内関係者と共に思案している。全国に張り巡らされたドコモのビッグデータを活用する基盤が整い、全国のスクリーンを連携して運用することができれば達成できると確信しています。だからこそ、まずはOOH業界に携わる企業が一つにまとまり、メジャメントの統一化を実現することが重要だし、その中でLIVE BOARDはリーチメディアとしても、2023年末には3000万MAU(Monthly Active Users)レベルに到達したいと考えています。

【LIVE BOARD4周年ウェビナー開催】
日時:2023年2月22日(水)15:00~16:15
タイトル:「OOHのあらゆるモーメントを活用した最前線の広告プランニング~効果検証」
ゲストとして、博報堂様、ドコモ様、サントリー様、大阪メトロ アドエラ様 が登壇!
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