※本記事は月刊『宣伝会議』2022年6月号に掲載した内容をもとに作成しています。
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Q.1 「よいオウンドメディア」とはどのようなオウンドメディアでしょうか?
A. 内と外から期待されているメディア。
社内からは「私たちの声をこのメディアで取り上げてほしい」と声が集まり続け、ユーザーからは「このコンテンツはおすすめ」と推奨され続けるメディアのことかと思います。メディアのグロースだけが目的として先行するばかりに社内の声をなおざりにしたり、逆に社内からの要望に応えることに躍起になって読者を置いてきぼりにしたりせず、内と外から期待され必要とされているメディアはヘルシーに運営できているように見受けられます。
また、そのオウンドメディアが何を目指していて、読者に何を持ち帰ってほしいのかを、コンテンツ内容や登場人物、文体や写真、デザイン等を通じて伝わるメディアもよいオウンドメディアと言えるでしょう。いずれにせよ社内からも読者からも「そのメディアに何を期待したらいいか」がわかるメディアであることが大切です。
Q.2 新しくオウンドメディアの運営担当になりました。どこから手をつけてよいのかわからないのですが、運営担当が最初にすべきこととは何でしょうか。
A. 社内外の情報に触れ、自社の方針を理解する。
まずは社内外に発信されているすべての情報に触れることと、経営課題や自社のビジョンや方針を理解することです。また、他社のオウンドメディアをくまなくチェックすることも大事です。コンテンツ内容、読者の反応を粒さに見ることで、そのメディアの目的や、世の中の気運を自分なりに解釈することです。その上で、自社が発信できていないことや発信しないといけないことがあるかを精査していけば、理想とするメディアの骨格がつくれるようになります。
既存のメディアを引き継ぐのであれば、その評価について「外からの反響」である定量的な視点のみならず、社内を回り、どんな発信をしてほしいかを改めてヒアリングすることも必要なことでしょう。こうした作業を丁寧に行うことで「よいオウンドメディア」の条件である社内外から期待され必要とされるメディアに近づくことになると思います。
Q.3 オウンドメディアの役割のひとつは「顧客との長期的なつながり」を構築することですが、そのために何ができるのでしょうか。
A. 社員にとっての「代名詞」になること。
まず、オウンドメディアにとっての「顧客」を考える必要があると思います。あくまでオウンドメディアのコンテンツを構成する大部分が「社内の声」にあることを考えれば、取材対象者の社員(とその周りの人たち)が一番目の読者でもあるわけです。その社員にとって「代名詞」になるくらいのコンテンツを目指せば、必然的に社内から声が集まる状態はつくれると思いますし、サステナブルなオウンドメディア運営の第一歩であると言えるでしょう。
情報が集まらなければメディアは続けることはできません。ですので、そのオウンドメディアであればきっと新しい価値を提供できるはず、よりよい価値を見出しくれるはず、という期待を生むだけのメディアであることです。期待を生むために必要なことは、メディアの役割や読者像がハッキリとしていることと、クオリティが担保されていることだと思います。ここまでできれば、自然と「読者」との関係もサステナブルなものになっていると思います。
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「オウンドメディア進化論」出版記念勉強会
日時:2023年2月28日(火) 19時〜20時半
開催方法:YouTubeライブ配信(主催:note社)
詳細はnote社のイベント情報をご確認ください。
平山 高敏 (ひらやま・たかとし)
キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部
2005年、新卒でWeb 制作会社に入社。昭文社の旅行ガイド『ことりっぷ』のWebプロデューサーを経て、2018年にキリンホールディングス入社。note 公式アカウント、オウンドメディア「KIRINto」の運営、インハウスエディターの育成も担当する。宣伝会議「自社メディアやnote、メルマガ等で発信する企業の担当者のためのコラムライティング基礎講座」講師を務める。日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構 第10回Webグランプリ「Web 人大賞」受賞。