国や企業でもカーボンニュートラルへの取り組みが活発化し、脱炭素社会の実現に向け、動き出している。
サイン・ディスプレイの製作・加工を手掛けるシンボの新保敬義氏に販促現場での取り組みについて話を聞いた。
SDGsの理念が消費者に浸透するにつれ、販促にも環境に配慮したツールが求められるようになってきた。環境負荷の高い素材を再生素材等に変える事で、環境配慮をPRする企業や自治体が増えている。近年は国の目指す「脱炭素社会」実現に向けて、より具体的に「CO₂削減」「カーボンオフセット」などの取り組みをPRできる販促物が求められてきている。
素材を変えることで環境配慮に一歩ずつ取り組む
サイン・ディスプレイの大規模工場を営むシンボでも、環境に配慮したエコな販促物を推進している。「現状の環境をすぐに変えることは難しいですが、環境に配慮した素材を選び、使用後はリサイクルすることで廃棄物を減らし、一歩ずつ環境保護に繋げていくことができます」と代表取締役社長の新保敬義氏は話す。
「例えば、現状のサイン・ディスプレイは、塩ビ(ポリ塩化ビニル)やプラスチックを使用した素材が主流です。しかし、塩ビは焼却するとダイオキシンの発生、可塑剤による人体への悪影響、プラスチックは海洋ゴミなど環境問題になっています。横断幕や広告幕でよく使われるターポリンも、塩ビを使用しています。この生地をポリエステルクロス素材のノンターポリンにすることで、環境に配慮することができます(図1)」。
シンボはバナーやボードなど、多様な販促物のプリントを製作から加工までワンストップで行っているが、環境に配慮した製作物のニーズが増えているという。
温室効果ガス排出量を数値化 企業姿勢のPRも可能に
また、シンボではさらにその先をいく展開として、素材そのもの以外に、印刷・加工工程でもカーボン・オフセットへの取り組みを進めている。
「環境に配慮したエコな素材への変更ももちろん効果的ですが、印刷・加工で発生するCO₂の排出量をゼロにする取り組みを進めています。太陽光などの再生可能エネルギーを使用し、今までの製作工程で発生していた温室効果ガス排出量を相殺できるCO₂ゼロ工場として事業を行っていきます。屋外の広告物製作では先進的な試みとなるのではないでしょうか」と新保氏。
環境に配慮した素材に変更するだけでは、生活者には伝わりにくい。きちんとサステナブルに取り組む企業姿勢を、販促物を通じて伝えることはできないか。
こうした思いから、シンボのカーボン・オフセット印刷では、希望があればその旨をPRできる表示を印刷物に表記できる(図2)。
「当社は大型インクジェットプリンターによる出力から、工業用高速ミシンによる縫製加工まで自社工場内にて、印刷部門と加工部門が連携しながら一貫製作しています。そのため、製作物における温室効果ガス排出量およびカーボン・オフセットでの取り組みは明快に数値として出すことができます。今回のCO₂ゼロ工場へのシフトも、お客さまへのご要望や社会の変化を踏まえ、実現させました。今後も寄付型オフセットの枠組みを設けるなど、環境に配慮した取り組みを推進していければと思います」(新保)。
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